Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 第70章 】

第七十章 『 香理奈の説得 』


イヤホンを耳に挿しながら、一人部屋に篭る三連休...。
私はボーッと窓の外を眺めながら、無意味に耳へと音楽を注ぐ。
こんな事していたって何も変わらない事は承知の上だ。

「 はあ...。 」

ため息が零れる。ベッドに座りながら、頭をクシャクシャと掻き毟る。
一体自分がどうするべきなのか、どうすれば一輝を傷つけずに居られるのか...。
その問題が導く答えは一つしか出てこなかった。

それは、”一輝と別れる”と言う事。

このままでも、気まずいだけ。きっと一輝も私への信用をなくしている。
今この現状で弁解しようとしたって、全て一輝の耳には言い訳にしか聞えないだろう。
そんなの一輝だけじゃない。香理奈や宮木君だってそうだ。
それに私はあの二人の会話を聞いてしまった。モタモタしていられない。

グシャグシャの心のまま、綺麗な空に目を上げる。

そして思う。

( 空はこんなに晴れているのに...。心は一切晴れないな。 )

そんな事を寂しげに思いながら、またため息を吐く。
窓に肘を着きながら、ゆっくり流れる雲を眺めた。

そんな時だった...、

─ピルルルル....

「 .....? 」

突然鳴り響く着信音。私はイヤホンを慌てて外し、電話に出た。

「 も、もしもし...? 」
『 もしもし、私だけど...。 』
「 ....あ 」

声の主は香理奈。少し怒りを感じさせるような...そんな声だった。
香理奈は怒りを必死に抑えながら電話してるようだ。
私はそれを察しながらも、会話を続ける。

「 うん、どうした...の...? 」
『 今から会える? 』
「 .....会えるよ。 」
『 じゃ、家行くわ。 』

─プツッ。

いつもと違った声、いつもと違った切り方─。
何を言いに来るのか...すぐに察しがついた。

私は携帯を握り締めながら、インターホンの音が聞えないようにまたイヤホンを挿す。
今度は、大音量で音楽を耳に注ぎ込んだ...。
でも、嫌な予感という物は人間全てが察しできる物だ。

─ピンポーンッ。

何も知らないインターホンは無常に明るい音を出していた...。
私はゆっくりゆっくり一階に降りていき、ドアを開いた。

ドアの隙間から見えた香理奈の綺麗な髪...。
そして、何故か大きな大きな荷物。

「 ....香理奈。 」

私は目を丸くしながら、その荷物に目を向ける。
だが香理奈はお構いなしにズカズカと部屋に入り込んできた。

香理奈の目は鋭く、私の罪悪感にまた突き刺す。

「 お邪魔します。苺華 」
「 ....ど、どうぞ。 」

部屋まで香理奈を案内し、私はジュースを2階まで運んでいった...。
丸い透明なテーブルに置いたジュースを香理奈は数秒で一気飲みした。
そして、大きな音をガシャンッ...!と鳴らし、コップを机にたたきつけた。

始まる...。香理奈の言葉が...。

私はお盆をギュッ...と握り締めながら、香理奈の正面に正座した。

「 苺華、アンタ...今から私が言う事わかってるよね? 」
「 ....わ、わかんないな。 」

わざとだ。わざと知らない振りをした。
知らないはずもない、こんな嘘通用するはずもないのに。

「 じゃ、言うね。一輝君と別れ...「 嫌だっ....!! 」

つい出た拒否。私も驚いて口に手を当てたくらいだ。
自然に零れた。頭では分かってるのに、口に出てしまったのだ。

私の言葉を聞いて香理奈は目を丸くしている。
そして、段々を鋭くなっていく─。

「 ....じゃ、聞かせてよ。キスした理由をさ。 」
「 そ、それは...、無理矢理...で... 」
「 でも受け入れたわけでしょ? 」
「 受け入れるとか入れないとかそういう問題じゃないの...。 」
「 じゃあ何...!?「 私だって突然されたからわかんない...!!! 」

言ってしまった。ついに自分の非を認めない発言をしてしまった...。
その言葉を聞いた香理奈は呆れた表情を浮かべた。
言い訳、って思ったんだ。

「 やってられない。もう...、本当駄目だ。 」
「 香理奈... 」
「 おばさん、今日はいないの? 」
「 え...?う、うん。旅行行ってて帰ってこない...けど... 」
「 ....よし。じゃあ今日中にアンタを説得してやる。一晩掛かってでも。 」
「 えぇぇえ.... 」

大きな荷物の意味はそれか、と理解した。
でも...説得するってまさか別れるって言うまで...やる気?ってことだよね。

....でも、それを突破すればもしかしたら認められるかもしんない。
それをやれば...私は....、一輝と別れずに済むかもしらない...。

「 わかった、やる... 」
「 ....言ったね、苺華。 」

ここから、私達の長い長い夜が始まった。


続く。

アバター
2013/11/03 19:12
別れてほしくないです!!!

続き気になります!
アバター
2013/11/03 19:05
コメありがとうございますm(_)m

そうなのでしょうか?

全然^^



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