ホタルの墓場。
- カテゴリ:30代以上
- 2013/10/28 14:59:54
事務所の前を、場違いな親子連れが通った。
どう見ても、成金のいやらしいオッサンと、
サングラス、ピンヒールの水商売系のオネエ、
その間をチョロチョロとする三歳くらいの男の子のワンセット。
直感で、「嫌な野郎だな」ということは分かったが、
通行止めのゲートの鍵を持っていたので、
地権者かと思い声をかけた。
消防からの連絡事項があったからだ。
だが、それに対する反応は、
居丈高、恫喝めいた大声、ガムを噛みながら横柄な態度、
外見の通り、嫌な野郎だった。
しかも、その嫌な野郎は、うちの隣地の所有者だった。
(初めて見た顔だが)
こんなものだ。
世の中、そうそういいことばかりあるものではない。
うちと小川一つ隔てた隣地で、
太陽光発電施設を建設するという。
去年あたりから、業者の下見は入っていたが、
海沿いの北向き、太陽光に向くはずもないと思っていたのだが・・・。
そのあたりは希少種のヒメホタルが生息する地である。
毎年初夏になると、乱舞する美しい光で、
訪れる人々の目を楽しませてくれたのだが、
おそらくコロニーは、破壊されるだろう。
いずれうちが買い取ろうと思っていたのだが、
間に合わなかったようだ。
来年の夏の夜は、
無機質なパネルが並べられるばかりの、
つまらない景色に変わってしまうのだな。
仕方がない。
残しておきたい場所だからと言って、
全部が全部、うちで買い上げられるものではない。
あいつが「嫌な野郎だ」という印象は、
小さなホタルたちでも、同じだろうなあ。
ごめんね、なんにもしてあげられそうにないよ。
去年だったか、銀行関係が土地調査に来て、話しをしたのですが、
かなりの根抵当権が設定されているうえに、
「死に地」(使い道のない土地)で、どうしようもないと言っていました。
だから、いつか買えるかなあと考えていたのですが、
甘かった。
残念です。