Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 第67章 】

第六十七章 『 修羅場 』


「 一輝.... 」
「 苺華、こんなとこで何やって... 」

不意に一輝の視界に、雅人が入る─。
それと共に胸倉を掴んでいる功の姿や、苺華を守ろうとする香理奈の姿までも。
今来た一輝には、どうも理解できない光景だった。

「 ....ど、どういう状況なんだ? 」

思わず、尋ねた。すると、苺華は慌てて一輝に駆け寄った。
涙を流し、必死に「 違うの、違うの!!! 」と、叫び続けた─......。
苺華は気が動転していて、あのキス事故を見られたと思い込んでしまっていた─。
小さくて細い苺華の手は、必死に一輝の腕に巻きついて放さない。

「 な、何が違うんだよ...。 」

何も分からない一輝には意味がわからない発言だった─。
そんな一輝に教えるように、功は胸倉を押し、雅人を地面に倒した。
馬乗り状態になり、頬を何度も拳で殴る─。
それを見た香理奈は、慌てて止めに入る...。

「 宮木君やめてっ...!そんな事したら宮木君が...! 」
「 うるせえっ!一輝の前でも堂々としてるコイツを許せねぇんだよ...! 」
「 で、でもっ...「 オイ 」

香理奈の発言を強制終了させ、割り込んだのは一輝の声。
それに、声はいつもより低くいトーンで、明らかに怒っている声だった─。
目はキッと鋭くなっており、その目は功を睨んでいた...。
そして、こう続けた。

「 それ、どういう意味?詳しく説明してくれる? 」

その声は、まさに怒りが頂点に達した声─。
そして、すぐに察したのだろう。”苺華に関わる問題”だと...。
苺華が関わってるとなれば、一輝は人が変わったように必死になるのだ─。
それを知っている功は、慌てて事情を説明した─。

「 ─....ってなわけだ。これが俺の見た一部始終だよ。 」
「 ....何だと? 」

キスの事は二人も見ていないため、一輝には伝わらなかったものの、
この二人は”抱きしめた”という事実を知っている。それは曲げようのない物である。
これが伝わってしまっただけでも、ある意味大惨事なのだ─...。

一輝の鋭い視線は、雅人のほうに向き、胸倉を掴んだ。

「 へぇ、お前ってやっぱそういう奴だったんだなァ。 」
「 あァ...?何がだよ? 」
「 女子にチヤホヤされてる時はクールな顔してるけど、
結局そういう女遊びが好きな男だったんだなぁって事だよ。 」

普段絶対に一輝の口からは出ない言葉達が、並んでいく─。
これには、苺華も驚きを隠せなかった。口に両手を当て、涙を流す。
自分が悪いんだ、自分の身を守れなかった自分が...一輝を。...そんな風に思った。

そして次第に二人の口喧嘩はヒートアップしていった─。

「 俺は本気だ。女遊びが好きなわけじゃねぇ。 」
「 嘘つくな...。お前の事誰が信じるかよ。 」
「 本気だよ。だって俺.... 」

屋上に居る5人に冷たい突風が吹いた瞬間、その言葉は放たれた。

「 ファーストキス、あいつにあげたし。 」
「 .....は? 」
「「 え.....? 」」

その言葉はまるで、四人の関係を崩す大砲のような物だった─。
その言葉と共に、疑惑が走り、四人の関係にヒビが入った。
三人は一斉に苺華のほうを向いた。

「 苺華ちゃん...どういう事...? 」
「 苺華...。コイツの言ってる事、嘘だよね...?キス...なんて... 」

二人は焦りを隠せず、瞬きもしないで尋ねた。
だが、苺華は否定できない。いや、できるはずもない。
だって、あのキスには気持ちが入っていなかっただけで、実際はしたから。
しかも、クラス全員の前で「 コイツは俺の女 」とまで言われた。
否定したってすぐにバレる事なのだ...。逃げも、隠れも、通用しない...。

苺華は唇をかみ締め、口を開いた。

「 ...ごめん、皆。それは本...当...。 」

拳を握り締め、俯く。そんな苺華を見る三人の目の色は、変わっていた。

「 ...何ソレ。意味わかんないっ!! 」
「 香理奈、落ち着けっ... 」
「 信じらんないよ!一輝君が必死になって探してる間にそんなっ...最低だよ! 」

そう言って、苺華のもとへいき、香理奈は思わず手を上げた。
それと共に、鳴り響く痛々しい音─....。

─パシッ...!

「 ィタッ.... 」
「 この...人でなし....! 」

その一言だけ残し、香理奈は泣きながら出て行った。
必死に呼び止めながら香理奈を追いかけていく功も出て行く。
屋上には、三人だけとなった。

「 ....... 」

何も発さない一輝は、ただただ苺華を見ているだけ。
苺華もただ俯いてるだけだ。そんな沈黙の中、アイツが口火を切った。

「 わかんねぇの?キスしたって事はつまりどーゆー事なのか... 」
「 ....ハァ? 」

奴はチャンスだと言わんばかりに、ニヤリとしたり顔を浮かべ、言った。

「 ....あいつも俺が好きだっつー事だよ。お前よりも、遥かになァ。 」
「 ......! 」
「 やめてよ...!それは違うよ...!! 」

必死に否定の言葉を並べる苺華。だが、その言葉は一輝の耳に届かない。
一輝はただ俯き、苺華の隣を黙って通っていった...。

「 かずっ....「 おっと、待ちなァ。まだ終わっちゃいねぇぞ。 」

そう言って、腕をギュッ...と掴んだ。
苺華は泣きじゃくりながら、雅人に訴えた。

「 お願い、放してっ...!一輝だけは...うっ....失くしたくないよっ....! 」
「 .....ハァ? 」
「 一輝...はっ....初めて好きにっ...なった人だからっ...!こんなに初めて愛せた人だから! 」
「 ....チッ。その言葉がムカツクって言ってンだよ...。 」
「 .....っ!? 」

苺華の泣き声は止まった。雅人の胸に抱かれながら止まったのだ。
肩で呼吸を抑えられ、気持ちを落ち着かせた。

「 っ....うっ... 」
「 ...マジ、むかつくよ。お前も...あの野郎も...。 」

その言葉は、今までの勝気とは違う。
どこか寂しげな言葉だった。

続く─。

アバター
2013/10/27 11:18
なんか・・・いちかちゃんかわいそうですね・・・


続き気になります



月別アーカイブ

2019

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.