Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 第63章 】

第六十三章 【 誤解を生む方法 】


「 竹川...琴美.... 」

北山は何度もあの女子生徒の名前を呟いていた─...。
蒼井に異常な執着をしているようにも思えた北山は何度も名簿に目を通す。
だが、そこには何も新しい情報など得られなかった...。

「 まぁ、気のせいかもね。 」

そう呟いた北山は、ズズッ...とコーヒーを喉に注いだ。
すると、カーテン越しに見えた蒼井が起き上がる影が見えた。
それに気づいた北山はタタッ...と足音を鳴らし、蒼井に近づき、カーテンを開いた。

「 蒼井先生、あまり動かないほうがいいですよ。 」
「 あぁ、北山先生...。大丈夫ですよ。 」
「 専門家が言ってるんだから駄目です。全身打撲だし、骨も折れてます。 」
「 アハハッ...、命があるだけ幸せですねぇ 」

そう冗談っぽく笑った蒼井にムッとした顔で北山は説教を続ける。
そんな説教にいい加減辛くなった蒼井はそそくさと話を変えた。

「 そんな事より、助けてくれた人がいるんですよね? 」
「 ええ、あ、そういえば...竹川琴美さんって知ってる...? 」
「 え...!?竹川琴美...ですか...? 」
「 ええ、顔見知りなの...? 」
「 ....い、いえ。 」

少し眉間にシワを寄せながら必死に思い出そうとしている蒼井。
どうやら本当に”竹川琴美”の事を知らないようだった─...。
だったらどうしてあそこまで竹川琴美は蒼井に執着していたのか...?と、疑問が生じた。
ますます気になる北山だったら、人の生活を干渉するのは良くないと思い、
これ以上調べる事をやめた。だが、どうしてもしこりは取れなかった。



*******

─コンコン....

「 はーい、どうぞ~ 」
「 ....失礼します。 」

扉を開ける音と共に呟いた声...その声の主は斉藤苺華だった。
北山は椅子をグルリと回し、苺華を見ながら呟いた。

「 あら、斉藤さん...。どうかしたの? 」

北山は少し不安げな表情で尋ねた。何故ならば、苺華の顔色が異常に良くないからだ。
顔は真っ青、唇は白くなって、苦しそうに胸を押さえている─。
何かあったに違いない、と確信した北山はとりあえず小さな丸椅子を差し出した。
スカートを気にしながら、ゆっくりと丸椅子に腰を下ろす。
そして、ゆっくりと事情を聞きだしていった─....。

「 何かあった?顔色がよくないわ。 」
「 ...じ、実は聞きたいことがあって 」
「 私に答えれることがあれば何でも聞いてちょうだい。 」
「 あの...あの...蒼井竜馬って...どうなりました? 」
「 えぇ? 」

聞いて驚いた。また一人、蒼井竜馬の事を尋ねる人が現れたから─...。
しかもその相手はあの斉藤苺華。よく苺華を知ってる北山は目を丸くしたのだった。
そんな北山を見て、苺華は不思議そうに北山を見た。

「 あ、あの...? 」
「 え?あ、蒼井先生ね...。あの人は病院に運ばれたわよ。 」
「 えっ...?命は...? 」
「 別状なし。全身打撲と骨が折れてるだけよ。 」
「 そっかぁ.... 」

どこかホッと安心したような苺華...。またこの姿に北山は誤解を生ます。
斉藤さんも蒼井先生が気になるんだ...。そう思い込んでしまった北山だった...。

この誤解が何を生むのか、まだ誰も知らなかった─。

続く─。




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