ストロベリーラブ 【 第62章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/10/16 20:13:26
第六十二章 『 落ちて行った 』
「 うわああああっ...! 」
「 え....? 」
突然聞えた男性の悲鳴声。それは校庭に居た人々を驚かせた。
落ちてくる男性、それはパリッとした灰色スーツを着用する蒼井竜馬だ─。
女子生徒の悲鳴と共に、蒼井竜馬は芝生へと倒れこんだ。
ドゴッ...!という鈍い音共に、蒼井の意識は遠のいていった─...。
「 ....嘘でしょ? 」
両手を口に当てて、脱力してしまった苺華はその場に崩れ落ちた...。
一輝は慌てて柵から顔だけをはみ出し、校庭を見た─。
その目に映ったのは、芝生に倒れこむ蒼井を助ける生徒達の姿だった...。
「 どうしよ...どうしようっ...一輝... 」
「 何がだよ...。俺らは悪くないだろ? 」
「 ....絶対アイツまた変なこと考えるよ。私達に落とされたとかっ...! 」
「 証拠もねぇんだぞ?大体そんな事やってねぇし...。 」
「 そ、そうだよね... 」
少し目を泳がせながらも、納得した言葉をポツリと呟く─...。
そして、一輝は大丈夫大丈夫というかのように、苺華の頭を撫で、抱き寄せた。
苺華の小さくて、細い肩はガタガタと小刻みに震えている。
震えた苺華の体をまた力を増してギュッ...と抱きしめる。
「 うっ...怖いよ... 」
頬を濡らし、自分の胸で泣く苺華の頭をポンポンと撫でながら、抱きしめる。
一輝は苺華が泣き止むまで、泣いてる顔は見ずにずっと抱きしめてくれていた...。
*******
「 先生、あの人の容態はどうでしょう...? 」
ある女子生徒が保健の先生、北山に尋ねる─。
北山はキリッとつり上がった目を閉じ、眉間に眉を潜めながらメガネを外す。
「 そうねぇ...。命には別状はないけど...全身打撲してるわね。骨も折れてるし。 」
「 えっ...!?そうなんですか...!? 」
「 ええ、あとで病院行かなきゃねぇー。 」
「 せ、先生っ!この人は...私が病院連れて行きます...! 」
「 えぇ...? 」
突然の言葉に驚きを隠せない北山は細い目を大きく見開いた。
眉間に人差し指を当て、はぁ...と大きなため息を吐く。
だが、威勢のいい女子生徒はまったく引こうとはしなかった─....。
それに負けた、というかのように「 いいわよ。 」と返事を返した北山。
その返事に喜び、大きく万歳をした。
だが、そんな女子生徒にある疑問が生じた...。
( どうしてこの子...こんなにこの人に.... )
そして、ふと生徒の胸にある名札に目をつける─...。
そこには『 竹川 』と書いてあった。
そして、その生徒が帰った後、クラス名簿を探し出し、竹川のページに目を通す。
「 ...竹川...琴美... 」
不思議そうにポツリと呟いたその名前。
北山はその名前に違和感を感じていた─...
( この名前、どこかで... )
続く─。