Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


キンモクセイが


道端に白い星がおちている…
つぶつぶと。
しろいキンモクセイだった。
自転車でそこをとおったら
地面におちているそれであったが
香りをはなった。
最後の香りだ。

桜の花びらなら、地面におちてなお
香ることはないのでは…と、思ったりした。

地面からわきたつ最後の香り。
それは、どこからともなく
姿をみせなくとも、
濃艶に、匂い立つ、あざやかな
キンモクセイの香りではなかったけれど、
たしかに、ひたむきなキンモクセイの
おわりをつげる
香りだった。

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