Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 61章 】

第六十一章 『 死と性の境目 』


またあの男に屈辱を受けてしまったと、唇をかみ締める。
苺華の憎しみは、もう香理奈への同情とかだけではなかった...。
今でも思い出す憎かったはずの玲奈の涙、そして、一輝の初めてみた顔...。
全てが積もりに積もって、もう苺華の我慢は限界へと達していた。

許さない、許さない...

心の中で何度も何度も繰り返し、走り回った。蒼井を見つけ出すためだ。
廊下の端、人気のない教室、いそうなとこは全て調べつくした─...。
そして、最後に残ったのは屋上。もういる場所はここしかないと確信した....。
屋上への階段を一段一段ゆっくりと上がっていき、ドアノブに手を掛ける.....。
鼓動が速まると共に、ドアノブを回した。

─ガチャッ...!

「 .....!? 」

苺華の予想は見事に的中。蒼井は屋上で腰ぐらいまでの柵に肘を置きながら、
プカプカと臭い煙を浮かべている。臭いですぐ分かった...。
苺華は腕を組みながら、キッ...と睨んだ。

「 ...煙草ですか?教職員になるというお方が...。 」
「 え...?アハハッ、どこでその情報手に入れたの?誰も知らないからいいかと... 」
「 そういう問題じゃないでしょっ....!? 」

そう言って、短くなった煙草を取りあげた─。その瞬間、蒼井の目の色が変わった...。
細い指に持たれた短い煙草を睨みながら、指を差す。

「 それ、返してくれない? 」
「 ....ダメです。校長にチクりますよ? 」
「 ....そんな事言うなら、こうしてやるぞ。 」
「 いやっ....! 」

蒼井はコンクリートの地に苺華を押し倒し、馬乗り状態となった─。
苺華からすれば絶体絶命のピンチ...のはずなのだが、苺華は笑っている。
それもなんだか嫌な笑いだ...。ニヤリ、と唇を右斜めに上げた。
そのニヤつきにも気づかず、自分の欲望だけに任せて胸のリボンに手を伸ばした瞬間...

「 きゃあああああああっ....!!! 」

突然上がった悲鳴。これは蒼井も何がなんだかわからない。というか予想外。
苺華がここまで悲鳴をあげるとは思ってもなかった。強きな女だと思いこんでたからだ。
だが、今この現状がバレてしまってはまずい。そう思った蒼井はスッと離れようとした。
しかし、苺華の細い細い指でがんじがらめにされてしまった。

「 ...逃がさない。 」

そう呟き、またニヤリと笑った。これは苺華の策略の一つであった─...。
これがバレれば即退職。晴れて蒼井はクビとなるからだ。
香理奈や、苺華にとってはこれ以上の好都合はない。

「 いやあああああっ...!だれか助けてぇっ....! 」

お見事な名演技。これには蒼井もビックリして体が硬直した─。
こうして数分固まっていると、すぐに悲鳴に気づいた者がやってくる。

─ガチャッ.....!

「 苺華っ....!? 」
「 一輝.....!助け....てっ...! 」
「 ....あ、蒼井...!!!! 」

ダダダダッと足音を鳴らし、蒼井の頬を思い切り殴り、苺華を保護。
苺華はまるで何も考えず襲われたかのように泣きじゃくり、一輝の胸に飛び込む。
そして、一輝はまた蒼井を睨む...。

「 ...お前、何がしたいんだよ。 」
「 ちがっ...これはぁっ....! 」
「 俺はこの目で見た。苺華に手ぇ出してるとこ。 」
「 違うと言ってるだろっ...!信じてくれないなら...ここから飛び降りるぞっ!? 」

そう言って、柵を飛び越える。屋上と死の境目でぐらついている。
だが、それを信じない一輝と苺華は黙って帰ろうとした...

....瞬間。

「 あっ...!!!!! 」
「「 えっ....? 」」

あっという声と共に、振り向くと蒼井の姿はもうなかった─。

「 ...え?嘘でしょ? 」

口を両手で押さえながら、苺華はその場に崩れ落ちた。

続く....

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2013/10/16 12:04
えええ

蒼井さんしんじゃったんですかね!?

続き楽しみです



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