Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


巾着田へヒガンバナを その2


巾着田へヒガンバナをみに、続き

 高麗川のほとり、河原で、昼ごはんをたべる。これもいつものことだ。川で漁をしている男性がいる。この人も毎年おなじみだ。網をなげる。かかった魚を水槽にいれる。水槽には、獲れる魚の写真と名前が。カワムツ、アユ、ヤマメ、ドジョウ…。声をかけるときさくに応じてくれるようだ。しらない婦人が彼に声をかけて、一緒に写真を撮っていた。川の水は澄んでいる。この川で遊ぶのを目的に来るだけでも、心地よいものだろう…そう思うのだけれど、なぜか、自分はその気にならない。自分の中では、彼岸花と高麗川はセットになっているからだろう。
 巾着田の彼岸花群生地(彼岸花と書いているが、ほんとうは祭りの名称としては、縁起のよい名前である、別名、曼珠沙華が採用されている)は、日高市が主催しているものだが、袋のさらに内側から上部にかけて、市とは無関係の私的な馬の牧場がある。だからパンフレットなどには、個人の敷地です。立ち入り禁止、などとあるが、実際は、子供のポニーへの乗馬、馬たちへの人参のえさやり体験などをさせてくれていて、そうした意味では立ち入ることができる。柵ごしにだが、馬にもさわれる。
 これらもわたしの中では彼岸花とセットになっているものだ。そして水車、コスモス畑、ツリガネニンジン。
 そして。今年突然できたわけではなかったろうに、池があるのに気付いた。ハスの葉が目立つ。そしてその近くにもうひとつ、さらに池が。こちらはスイレンの葉がうかんでいる。どちらも花期はおわっていたが、その姿をほうふつとさせていた。なぜ今まで気付かなかったのだろう。おそらくいつもと今年は車をとめる場所が少々違っていたから、その関係で、ちがう道を通ったからだろう。巾着の中なのに。池はまわりのほんの少し高い丈の芦やススキに隠れて、見えなかったのだと多分思う。
 初めてだったからか(新しいものへの新鮮な驚き)、池の水がわたしにはっと大切なしぶきを送ってくれた。空が水に映っている。
 家に帰ってきて、次の日。ふと家の裏の道沿いに畑があるのだけれど、その畑の縁にシロバナヒガンバナと赤い彼岸花が咲いているのを見つけた。畑は道路よりほんの少し下にあって、ヒガンバナたちはのぞきこまないと見えないようになっている。だから今まで気付かなかったのだが、どうしてのぞきこんだのだろう? ああ、そうだった。そのあたりに人なつこい猫がいることがあるので、それをさがそうと思ったのだ。猫はいなかったが、ヒガンバナがいた。巾着田からついてきてくれたような感じがした。今年もありがとう。来年もできたら。うちの近くのあちこちの彼岸花たちは、もうおわっているものが多い、これから、葉をまっすぐのばして、冬の季節を青い葉たちで、すごすのだ。




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