ストロベリーラブ 【 56章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/26 22:20:20
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。
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第五十六章 『 真相は何? 』
行動がまったく読めないソイツは、私達の目の前に立っていた。
憎たらしい寂しそうな瞳を潤わせ、こちらを伺うように見ている。
「 …な、何ですか? 」
自分の肘を掴み、目を逸らしながら尋ねる。
そんな香理奈の横で、冷や汗を流しながら蒼井竜馬を見ていた。
蒼井竜馬はまるで被害者のような顔をし、私を見ている。
まるで、私に何かされたと言わんばかりの表情だ。
そんな顔が余計私を苛立たせた。
「 何かご用でしょうか? 」
少し冷めたような声で突き刺すように尋ねる。
そんな私の声にうろたえながらも、苦笑いで、
「 …か、香理奈に用がね。 」
と、答えた。
その表情の裏には企みが見えた気がした…。
きっとまた香理奈を苦しめるつもりなんだ…。
頭にそんな嫌な考えが浮かぶ。
その瞬間、私は香理奈の腕を握り締め、
「 香理奈は私と話しています。取り込み中なので後にしてもらえません? 」
睨みつけながら言ったその言葉は、ナイフのように蒼井竜馬に突き刺さった。
もう苦笑いさえできなくなった彼は、顔を引きつらせながら頷き、
その場を去っていった…。
そんな背中を香理奈は愛おしそうに見つめる…。
やっぱりまだ好きなんだと思わせるような瞳だった。
それに気づいた私は香理奈の袖を引っ張りながら、
「 ねぇ、話したいことがあるの… 」
と、気を引き取らせるかのようにして囁いた。
だが、香理奈は次の瞬間、
「 …やめてっ!! 」
私の腕を振り払い、私から目を背けた。
驚くほど赤くなった彼女の目はあの短時間で泣き腫らした事を語っている。
さっきの目を逸らしていたあの短時間で…
すごい量の涙を流したという事を物語っていた。
「 …香理奈 」
不意に伸びる手…。
だが、香理奈はまた強く強く振り払い、
私から離れて行った。
その距離は叙所に離れていき、もうとうとう香理奈の背中も
見えない距離へとなってしまったのだった。
いくら伸ばしても、伸ばしても届かない香理奈の背中。
そしてすぐ届くのは…コンクリートの壁。
なんて残酷な世界なんだろう。
次から次へと壁が落ちきて…関係を破壊する。
どんだけ試練と思って乗り越えても、またやってくる。
「 ごめんね、香理奈… 」
そう囁き、拳を握り締めながらコンクリートを背もたれにする。
香理奈の泣き腫らした涙の後が頭を過ぎる。
何もしてやれない自分自身にも腹が立つし、
香理奈を苦しめ続ける蒼井竜馬にはもっと腹が立つ。
どうしてあげればいいんだろう…。
そんな事を考えながら、目を瞑った。
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…キーンコーンカーンコーン♪
いつの間にかチャイムが鳴り響いた…。
瞑っていた目はいつの間にか開かなくなり、そして、
意識も段々と遠のいていった…。
人気のない4階ならバレないのだが…
いくらなんでも授業をサボるのは良くない事だ。
「 よっこいしょっ…とっ!!! 」
掛け声と共に起き上がらせた体。
その体は驚くほど重たかった…。
きっと疲れが溜まってるのだろう。
授業中寝てしまわないか心配になる…。
「 はあ… 」
ふと窓の外を見つめ、ため息を溢す。
意識が薄れ掛けてる状態でも、香理奈の悲しむ姿は頭からはなれなかった。
深い深いため息と共に、蒼井竜馬への怒りもこみ上げる。
いつか叱るべき報いを受けさせてやるべきだ…。
拳を握り締め、そう思った。
そして…、
「「 …うわっ!? 」」
…ドンッ!!!!!
激しい音と共に舞う資料…。
ふとみたその資料には、あり得ない真実が書かれていた。
「 …っ 」
驚いて声もでないとはこの事だと感じた。
※実話ではありません(続く)
気になります!