初夢の続きは (SS1)
- カテゴリ:学校
- 2013/09/25 20:17:30
この作品は「初夢の続きは4話」とリンクしています。
そちらも、合わせてお読みください。
初夢の続きは side story1 『暦村君の野望』
やぁ俺の名前は暦村竹文。
自分で言うのもなんだが、極めて有能な男だ。
どの辺が有能なのかって?
そこから説明が必要か
一言で言うなら文武両道。
三中ではテニス部部長であり、俺の代では全国大会へ出場している。
自慢じゃないが三年間、学年1位を譲ったことはない
無論人望も厚く、生徒会長を務めていた。
そんな俺のあだ名はエース。
文化祭では俺のプロデュースした、たこ焼きの模擬店が歴代最高の売り上げをたたき出した!
なんてこともあったな! おっと少々自分語りが過ぎたな。
無論高校でも、この俺の才能を放っては置かないだろう。
適度に、内申を稼ぎながら、生徒会長にでもなるつもりだ。
かったるい式は終わりHRが始まった。
「それじゃ、そこの2人進行お願い」
(早速、担任からのご指名か…。 俺の名声もう届いていましたか?
これは案外すぐに生徒会に食い込めるかもな。
一年生で生徒会長…。悪くはない
だがこの相手の女、ひょっとすると障害になるやもしれんな。一応注意しておくか……
しかしこれはチョロすぎて笑いが…)
「ククク… アハハハ… あーはっはっはははは」
「暦村君?」
(は!? 俺喋っちゃってた?)
「失礼、箸が転げました」
会心のフォローのつもりであったが誰一人笑う事無く、教室内は静まり返っていた。
(なんだと!?)
そんな暦村のことは、まるで気にする素振りも見せず担任は口を開いた。
「まずはクラス委員を決めてもらおうかしら? 立候補が望ましいけど、推薦でも良いわよ」
いままで、水を打ったように静まり返っていた教室が、にわかにざわつきはじめた。
だが、無論名乗り出ようなどと言う奴はいない。
(まったく……。 大衆に上に立つ素質があろうはずもなかろう
この俺以外は考えられない人事だが、仮にも三中の生徒会長であった俺が立候補というのもな…
推薦が望ましいが、このままほっとけばこの溢れ出るカリスマで俺に決まるだろう)
脳内会議がそんな結論を導き出した頃 教室に、やじが一つ飛んだ。
「暦村委員長顔だし、お前がそのまま委員長で行けよ」
途端に教室はどっと沸いた。
(ナイスやじだ! 貴様には明日やきそばパンを奢ってやろう。この空気、この肌触り…貰ったな!)
ところが、女教師は首を縦に振ることはなかった。
「そんないい加減な決め方は許しません
今、決まらないのなら放課後に決まるまで残ってもらうけど、それでもいいのかしら?」
再び教室内は静けさを取り戻した。
(そろそろだな…さあ、誰でもいい。暦村君を推薦しますと言え!)
暦村のニヤニヤは止まらない。
しかし、そんな彼の妄想を打ち砕く事件が起こった!
シンとした教室の静寂を一人の女生徒の声が切り裂いた。
「私、やります」
途端にクラスのあちこちから歓声が上がる。
「えっと、名前は?」
「梅子です。篠田梅子です」
(梅子ってお前! どう考えてもその他大勢の名前だろうが! なんで、でしゃばるんだよ。
今9割9分俺の流れだったろう。 まったく……。
ここで立候補するか? いやすでに空気は奴を委員と認めちまってる…。
これは完全にフラグ立ってるな。 この流れで対抗しても勝ち目はないだろう
この暦村、負ける戦いはしない主義だ!)
「他に、立候補する方いませんか?」
暦村は、唇を噛み締めながら声を振り絞った。
(誰か来い! 他に対抗馬がいれば、三つ巴なら何とかなるかもしれん!)
そんな暦村の思いとは裏腹に静けさを再び取り戻した教室内に手はあがるはずもなく…。
暦村は屈辱に打ち震えながら声を絞り出した。
「では、篠田さんを委員長に決定します」
教室内は歓喜に膨れ上がった。 ただ一人を除いて…。
(覚えておくぞ篠田梅子! やはり貴様とは共に頂は望めぬようだな!)
教壇の下の暦村の拳は、静かに震えていた。
(この俺は…。 三中の生徒会長だぞ)
「次に、副委員長ですが…」
暦村が興奮を抑えつつ声を出した。
そこへ担任が口を挟んだ。
「委員長が女子だから、副は男子ね」
その言葉に暦村の瞳がにわかに色めきたった。
(ナイスだ担任! 間違いなくこれは俺が副になるためのフラグだな!
副になった俺があの梅子を上回る活躍をすれば……、
「ねぇやっぱり~暦村君の方が委員長向きじゃない?」
ってなことになって梅子を失脚させることもできる。
そうして晴れて俺が委員長に返り咲くというシナリオ…。
おいおいこれって新しい上にアリじゃないか?)
暦村がそんな妄想をしている頃、男子生徒は一斉に下を向いていた。
(そんな骨がある奴が居るはずもないか…
ってことは…キタコレ! 俺が推薦されるのは時間の問題。これは間違いない!)
一時の沈黙が場を支配した。
そして沈黙を突き破ったのは、他ならぬ梅子であった。
彼女はスッと手を上げ、澄んだ声で発言した。
「推薦したい人がいます」
(ほほう、一流は一流を知るというわけか。
貴様の推薦というのが気に入らんが、真正面からぶつかってくるとはいい度胸だ。
だが俺がいつまでも貴様の下にいると思うなよ。 いつでも首を食いちぎってやるぜ!)
「間宮悟君です」
(へ? 間宮ってダレソレ? 俺の名前は暦村竹文ダヨ?)
次の瞬間、一斉に男子生徒から拍手が沸いた。
(だから僕は暦村 え? え? ボク三中の生徒会長だよ? エースだよ? あれれれ?)
暦村の中で何かが弾けた。
「だから俺は~ 会長で、エースで、模擬店なんだよ~!」
そう叫ぶと教卓に、暦村は突っ伏した。
「先生、暦村君の口からエクトプラズムが出ています」
「戻してあげて!」
無事意識を取り戻した暦村君!
けれど満身創痍で立っていることもままならないほどのダメージを受けていた。
「先生 気分がすぐれないので、保健室に行かせてください」
「そうね、ここからはクラス委員にやってもらいましょう。お疲れ様」
(これで勝ったと思うなよ…)
ヨロヨロした足取りで暦村は、教室を後にした。
(俺の名前は暦村竹文 極めて有能な男だ)
ちなみに暦村君が、エコ委員なる校内のCo2を6%を削減するという
謎の委員会を押し付けられたことを知るのは、次の日のことだ!
がんばれ暦村! 負けるな暦村!
生徒会長になるその日まで!
ちょうど1から読み直していた途中だったのですぐ、場面が浮かびました^^
どの登場人物よりも暦村くんの設定が一番細かいような。。笑
気のせいですよね(´艸`)"笑
生徒会長への道は遠いけれど、エコ委員長にはすぐなれそうだね。
プライドが・・・^^; 思いもよらぬ方向へ・・・^^;
もしかして 師匠のリアネタだったりして?