ストロベリーラブ 【 54章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/23 18:37:32
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。
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第五十四章 『 蒼井竜馬の姿 』
香理奈の目に映ったあの蒼井竜馬の姿。
それを見つめる香理奈の愛おしい瞳。
間違いない…。
香理奈はまだ完全に吹っ切れてないんだ。
無理矢理押し殺した気持ちが溢れかけているんだ…。
「 か、香理奈っ…教室早く行こうっ!! 」
まるで香理奈の気持ちを覆い隠すかのように声を掛ける。
だが、そんなのには聞く耳も持たない。
香理奈はただただ愛おしそうに一点を見つめている。
何度も何度も名前を呼ぶが、香理奈はまるで見向きもしない。
こんな香理奈見た事もなかった。
「 香理奈ってばっ!!!! 」
今度は強引に腕を引っ張り、こちらに向かせた。
そして、やっと香理奈の目はこっちへと向いたのだ。
「 …へっ? ああ、ごめん。 」
存在には気づいたが、まだ蒼井竜馬が気が気でない様子。
私に見せるのはシュッとした横顔ばかりだった。
まさか宮木君以上に好きなんじゃ…
心が揺らいでいるんじゃ…
そんな思いが頭を過ぎる。
その瞬間、
「 …香理奈ちゃん? 」
鞄を肩に担ぎ、香理奈を潤んだ目で見る宮木君の姿が。
何故かその瞬間、私は彼を見れなかった。
「 い、苺華ちゃん…香理奈何かあったの? 」
少し焦った様子で私に尋ねる。
だが、目も見れない私は返答さえできなかった。
宮木君にどんな顔すればいいんだ。
今この現状で笑って説明しろとでも言うのか…。
そんな事、絶対に無理だった。
私にはそんな残酷な行動はとれない。
「 香理奈に聞いて 」
私はまるでその場を投げ捨てるかのように言葉を放ち、
その場を去っていった。
手を震わせ、教室のドアを開く。
そこにはいつもの一輝の背中があった。
「 …か、一輝 」
振り向く彼の笑顔は今の私を一番癒した。
思い切り抱きつきたい気持ちを抑え、彼に近づく。
すると、彼はニコッと笑顔を見せたまま、
「 どうした? 何かあったのか? 」
と、尋ねる。
だがあの事情をペラペラ話すワケにはいかない。
私は無言で左右に首を振り、ただ俯く。
そんな私に何も聞かず、黙って受け入れてくれた一輝。
本当に感謝しきれないよ。
…ガラッ
「 …っ? 」
ドアの開く音と共に振り返り、入り口を見る。
そこに立っていたのはパリッとしたスーツ姿の蒼井竜馬…。
髪の毛もさっきとは別人のように整えている。
「 …は、はぁ? 」
思わずそんな声を上げてしまう…。
驚きを隠せない私は口に手を当て、体を震わす。
彼のやりたいことがまったくわからない。
どれだけ香理奈を苦しめれば気が済むんだろう…。
その姿、もう二度と見せないで欲しいのに…どうして現れた?
意味がまったく理解できない…。
彼の考えてる事が分からない。
「 …苺華? 」
誰の言葉も耳に入れないまま、私は一点だけを見つめた。
不思議な魅力を持つ、蒼井竜馬の姿を…
※実話ではありません(続く)

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- ぱち公
- 2013/09/23 19:37
- 続き気になります!
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