素描 2
- カテゴリ:日記
- 2013/09/07 21:59:24
鈍く光る黒金色のボディに、銀色と金色の装飾文字でメーカー名が刻印されている。
指でそっとその文字にふれ、まだ傷ひとつない天板をなでる。
椅子に座って足踏み台を踏んでみる。
軽い機械音とともに、ミシン針が動きだした。
その音に、彼女はかすかな満足感を覚えた。
退職金で買った真新しいミシン。
自分でそろえた嫁入り道具の中で一番高価な品だろう。
昭和30年代前半。
まだミシンを持っている女性は少なかった。
「自分にできることは全部する」
それが彼女のモットーだ。
普段着の洋服から、着物の訪問着まで。
新生活に必要な洋服と着物は、全部新調した。
結婚が決まってから、一ヶ月の早業だった。
文字通り、心機一転。
彼女にとって結婚は、そんな気分だった。
と、母が結婚前夜の気分を話してくれた。
結婚式当日。
一晩降り続いた雪がやみ、あたりは銀世界となった。
そわそわそわ。
立ったり、座ったり、タバコをふかしたり。
紋付袴の花婿殿は、檻に入った熊のごとし。
うろうろと歩きまわっては、恨めしそうに二階を見上げる。
花嫁の着付けに時間がかかってるせいだ。
女遊びもした。
一時は「女のヒモ」もしたらしい。
親友兼義兄と、いろいろいろいろ、やんちゃもしたらしい。
なのに、初体験の花婿役は、からっきしだw
「見えるんは天井だけやろうになあ」
花婿の親友兼義兄、つまり、私にとっての叔父が、当時の様子を話してくれた。
さもありなんと、私は思う。
デレデレな父と、ツンデレな母。
新婚当時のエピソードも多数聞いております。
そのうち書きますね^^
若いころ、かなりシビアでシニカルだった母。
父に普通の人生を歩ませたのは、母の力が大きいかもです。
大きな子供みたいだったからなあw
自分でも深刻してましたからねw 我が父は^^:
女のヒモを2週間やったと^^:
結婚後、父は大阪で船を作ってた時期がありました。
沙羅さんのお父さんが父の作った船に乗ってたのかもしれんねえ。
思わず、絵が浮かんで来そうな情景に 頬がゆるんでしまいました^m^
……にしても、随分とやんちゃなお父様ですなw
とか言いつつ、うちの父も若かりし頃は心斎橋あたりでやんちゃをしてたと
本人から聴いた記憶があったりするw
若い頃は船に乗ってたから、大阪で遊んでたそうな^^
当時は母も大阪に住んでたから、知らずにすれ違ってたりしてねw