ストロベリーラブ 【 52章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/02 18:18:41
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。
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第五十二章 『 実は 』
「 話してください。納得行きません。 」
竜馬さんを屋上まで連れて行き、問い詰める。
眉を歪ませながら、困ったような顔で、
「 …ごめん、香理奈と俺の問題だから。 」
の一点張りで、一向に答えようとしてくれない。
そのような答えに「 納得行かない 」の一言で返す。
だが、それでも”これだけは”と言うかのように口を開かないのだ。
私は口を尖らせ、
「 だったら、もういいです。 」
と言って帰っていった。
鞄を背負いなおし、病院を後にした。
…そして、私が向かった先は…
*******
いつの間にか私の目の前には真っ白な家があった。
そこに掛けられている看板には、「 長谷川 」と書かれている。
私は深呼吸をしながら、インターホンを押した。
…ガチャッ
「 …へっ? 」
家に来た私を見て、目を丸くしている玲奈ちゃん。
私は浅くお辞儀をし、近づいた。
「 香理奈と蒼井竜馬さんの事を聞きたいと思って… 」
「 …竜馬の事? 」
少し冷や汗をかきながら、眉間にシワを寄せた。
玲奈ちゃんにとっては嫌な話なのかもしれない…。
無理に聞くのは、ダメかもだけど…
「 …お願い、玲奈ちゃん。これを聞かせてくれたらもう…
あなたの過去は探らないようにするから…。だから、お願い。 」
「 何それ、取引? 」
鼻で笑い、両腕を組む。
だが、すぐにため息を溢しながら、
「 …入って。 」
と、家に入れてくれた。
玲奈ちゃんに着いていき、部屋まで案内される。
玲奈ちゃんの部屋は実に女の子らしく、ラブリーな部屋。
ハートやぬいぐるみで埋め尽くされた部屋だ。
思わず、「 すごい… 」と、溢してしまった。
そんな私を見て、ため息を交じらせながら、
「 どーでもいいでしょ、部屋とか。聞きたいなら座って。 」
と、椅子を差し出した。
「 どうも 」と言いながら、浅くお辞儀をし、腰を下ろす。
そして…玲奈ちゃんが話し始めた。
「 まぁ…簡単に言えば三角関係が問題なんだ… 」
「 三角…関係…? 」
首を傾げながら尋ねると、玲奈ちゃんはコクリと頷き、
「 うん 」と答える。彼女の一指し指は寂しそうにカップをなぞっている。
そして、再び口を開いた。
「 …私が竜馬の事好きで、竜馬が香理奈を好きで…みたいな。
んで、香理奈は誰が好きなんだみたいな感じになってきちゃってさ… 」
すると玲奈ちゃんは目を遠くへやり、ふぅとため息をついた。
そして、
「 まっ、結局香理奈は何も言わなかったんだけどね。誰が好きとか…嫌いとかさ。
…ただ、私を傷付けたくないと一言残して終わった。…竜馬もどっか行っちゃったしね。 」
「 えっ、じゃあどうして香理奈はあの人に怯えていたの…? 」
「 必死に気持ちを隠してるからじゃないかな…? また、揺らいじゃいそうで… 」
その瞬間、玲奈ちゃんが可哀想に見えた。
玲奈ちゃんが、宮木君に手を出した理由もこれだったんだ。
香理奈に竜馬さんが取られたと思って…
「 さ、説明は終わったでしょ? 帰って。もう過去の事は嗅ぎまわらないで。 」
「 …うん、ありがと。あなたの過去の事ももう…忘れるわ。 」
「 …まあ、先生と付き合ってたのは認めるわ。でもそれだけそれで終わり!!
自殺が私のせいだとか思われてるみたいだけど…あの人が勝手に死んだんだよ。
私はある意味、被害者だっつーの。 」
突然、口調が変化した玲奈ちゃん。
目つきも変わり、怖くなっている。
綺麗な黒髪を靡かせ、私を見る。
そして、口を開いた。
「 捨てられたのよ、私…。 」
悔しそうに、唇をかみ締める…。
この姿を見て、嘘だとはまったく思えない。
彼女の肩をポンポンと叩き、
「 …そっか。 」
と呟き、家から出た。
最後の最後まで彼女の泣いている姿が頭から離れなかった…
実は玲奈ちゃんも可哀想な子なのかもしれない。
段々、そう思うようになってきていた。
※実話ではありません(続く)
みんな嫌な過去があってみんな悲しいんですよね・・・
かわいそうだけど、だからってしていいことと悪いことがあるからなぁ