Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 50章 】

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第五十章 『 3人の過去 』

少しだけ睡眠を取り、再び起きたその時…。
iPhoneが光っていた。着信が来たという合図だ。
私はゆっくりと手を伸ばし、iPhoneを手に取った。

画面を覗き、目を通す──
そこには…

「 えっ… 」

声を上げ、思わず口に手を当ててしまうような名前が記されていた。
ゴトッと音を立て、iPhoneを落とし、体を震わせる──。
そして、何度も何度も「 嘘でしょ…、嘘でしょ… 」と呟く。

そこに書かれていた内容とは、香理奈の様態に関することだった。
そこで一番驚いたのは、『 香理奈が吐血した 』という内容。

このメールを送ってきたのは、おばさんだった…
きっと、おばさんが一番辛いだろうに、わざわざこんなメールを送ってくれたんだ。

「 行かなくちゃ… 」

慌てて立ち上がり、クローゼットから服を取り出して着替える。
適当に髪を梳き、慌てて靴を履いた。
「 行ってきます。 」の一言も言わず、大急ぎで病院に向かう──。

香理奈の様態が心配…香理奈、無事であってほしい。
そのことだけを思いながら必死に足を動かした…。

*******

ようやく着いたのは、いつもの総合病院。
大きな病院で、ここなら安心なんだけど…。

「 はあっ、はあっ… 」

息を切らしながら、必死に受け付けまでいく。
受付係のほうへズイッと顔を近づけながら、

「 あの、長谷川香理奈はどの病室ですかっ!? 」

と、目を必死に見開きながら尋ねた。
受付係は少々引きながら、「 い、108号室です… 」と答えた。

教えてもらった病室に大急ぎで駆け込み、扉の前に立った。
スッと手を挙げ、ノックしようとした瞬間、

「 …でしょ!? 」

少々荒っぽいが、どこか可愛らしい要素を見せるような高い声…。
この特徴的な声…間違いない。玲奈ちゃんの声だ。
いつもの要素からはまったく感じられない、少し焦ったような怒鳴り声…。

私はその場に立ち竦み、足が動かなくなった。
まるで接着剤でも塗られたかのように…。

そして、玲奈ちゃんの声は続き、

「 私が、こんな事する理由だってあなたには理解できてるんでしょう!? 」

まったく意味のわからない言葉が聞える…。
聞いちゃいけない会話なのかもしれない…。

…でも、足が動かない。

「 …あなたが一番…知ってるんでしょ…? 」

誰と会話しているのかはまったくわからない──。
でも、玲奈ちゃんの声が少しずつ震えてきている…。

そして、

「 …でも、これはおかしいよ。 」

ようやく聞えた相手の声…。
声から聞き取る限り、20代くらいの男性と思える。
そして、綺麗で、透き通っている声…

どうしてそんな男性が…香理奈の病室に来ているのだろう…。
そして、どうして…玲奈ちゃんと話しているんだろう…。

「 …もういいわ。また連絡するから 」

「 っ…!! 」

こちらに近づいてくる足音に反応し、慌てて身を隠した。
そこから出てきた玲奈ちゃんの真っ白な頬は濡れ、真っ直ぐ細い足は
せっせと急いで帰っていく。見えるのは玲奈ちゃんのどこか悲しい背中だけだった。

少しだけその場に立ち竦み、ドアノブに手を掛けた。
どんな男性と話していたんだろう…と、そんな事を思いながら、

…ガラッ

扉を開いた。
そこに立っていたのは、思った通り、20代の若い男性の姿。

少し、困ったような顔を浮かべている。
眉毛を歪ませながら、こちらを見ている。

「 …あ、あぁ、どうも。 」

私は浅くお辞儀をした。
そんな姿を見て、クスッと笑いながら、

「 もしかして、聞いちゃってたの? 」

という彼の笑顔が見えた。
私は苦笑いで、「 はい。 」と答える。
そんな私を見ながらため息を溢し、

「 僕の名前は蒼井竜馬。よろしく。 」

ニコッと微笑んで、手を差し出した。
私も手を差し出し、握手を交わす。

それとともに彼は話し始めた。

「 ごめんね、嫌なとこ見せちゃったよね。 」

「 え、あ、いえ… 」

軽く手を振り、否定する。
そして、彼は苦笑いで、

「 玲奈の事、悪く思わないであげてね… 」

と、言った。
私はただ「 はあ 」というしかできなかった。

そんな私の姿を見て、腑に落ちなかったのか、
まるで弁解するかのように、話し始めた。

「 僕さ、玲奈と香理奈の幼馴染なんだよね。
普通に仲良くて、いつも駆けっこしたりとかしてたんだけど、
…でも、やっぱ恋愛感情って歯車を狂わせる物なんだよね。 」

一瞬、彼の目が寂しくなった。
そして、また苦笑いで、

「 玲奈に告白されたんだ。…ある寒い日の夜に。
でも、断った。僕の好きな子は香理奈だったからさっ。 」

と、話した。

こうして、数分間の沈黙が始まる…
彼の今の発言はものすごく考えさせられた。

だが、繋がる着地地点は同じ。

玲奈ちゃんは、香理奈に嫉妬して悪戯してる…ってこと。
この、蒼井竜馬君の存在が二人の関係を大きく揺らしたんだ。

この子の言うとおり、恋が歯車を狂わせたのか。
玲奈ちゃんの元の姿さえも変えて、支配したってこと…?

…香理奈は蒼井竜馬君の事をどう思ってるんだろう。

チラリと向けた横目は、呼吸器をつけた香理奈を映していた。

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/31 00:34
何か竜馬くん酷いですね・・・。
アバター
2013/08/30 23:24
ちょっとならだいじょうぶです!
何時からにしますか?



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