ストロベリーラブ 【 48章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/25 00:38:55
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第四十八章 『 気分一転 』
玲奈ちゃんの言葉が耳から離れない…。
ただただ恐怖心に駆られる身と心。
必死に押さえようと思っても、体の震えが止まらない──。
( …とりあえず、気分を変えたいな。 )
ふと思い、iPhoneを手に取り、美容院に連絡した。
髪を変えれば、きっと気分も変わる…。
そう信じて、予約を入れた。
そして、その翌日。
髪を空き、片耳に髪を掛け、前髪は右側に分けた。
前よりは、少し耳辺りがスッキリした気がする…。
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翌日、また月曜日が始まった──。
綺麗に空いた髪…。少しだけど、気分は変わってる。
待ち合わせ場所には、香理奈の姿は今日も見えない。
iPhoneには、一件も連絡が入っていない。
隣に香理奈がいない通学路…やっぱりなんだか寂しい…。
ポケットの中に光らないiPhoneをしまい、再び歩きだした。
気づけば目の前には学校があった。
香理奈のいない通学路はすごく長い一本道に感じた。
教室まで向かう廊下、階段、生徒とすれ違う時間…。
全てが遠く感じ、長く感じてしまう…。
教室に入っても、寂しく感じる教室の空間。
仲良さそうに話す生徒達の声が羨ましく思える。
不意に香理奈の席のほうへ目が行ってしまう──…。
「 ねぇ、大丈夫? 」
隣から聞えた可愛らしい声。
話しかけてきたのは相沢桜さんだった。
相変わらず、ゆるふわな髪を靡かせている。
私はニコッと笑顔を作りながら
「 大丈夫…だよっ。 」
笑顔を作るのに必死だった。
また相沢さんに心配かけては迷惑だから…。
すると、相沢さんはスッと私の髪にふれ、笑顔を作った。
「 髪切ったんだっ!!髪…、耳に掛けてなかったもんね。 」
私は戸惑いながらも、「 うん 」と返した。
彼女は再びニコッと笑った。
その笑顔に釣られ、私もニコッと笑顔を返した。
彼女の笑顔は私の心をフワッ…と軽くさせてくれた。
***********
放課後──。
夕日に染められる教室で一人、香理奈の席に座る。
机を見つめ、悪戯心で描かれた香理奈のふざけた絵を見る。
こんな絵を描きあった日々が懐かしいなんて…馬鹿みたいだなぁ。
そんなことを考えると、涙が浮かんで、零れてしまいそう…。
「 うぅ… 」
気づけば、私の枯れた頬は涙で濡れていた。
その瞬間──
…ガラッ
勢いよく開く扉の音が聞えた。
扉の音が、切なく私の耳に突き刺さる。
澄ました顔で教室に入って来たのは、幼馴染の竜生だった。
「 どうしてこんなところに…? 」と、尋ねる前に竜生が「 忘れ物 」と呟いた。
自分の席からノートを取り出した後、チラリと横目で私を見た。
スゥッと息を吸い、口を開いた。
「 何してんの? 」
その一言。少し冷たい気もした。
私は「 別に 」と、素っ気無く返した。
それに返した竜生の答えは「 ふぅん… 」の一言だった。
このまま去っていくのかと思えば、静かにこちらに近づいてきた。
「 …何? 」
見上げながら、尋ねる。
すると、突然ボスッと頭に手を置いた。
「 えっ…? 」
すると、優しい瞳で私を見つめ、こう呟いた。
「 気楽に行けや。まだ道はあるからさ。 」
その一言だけ呟き、背を向けた。
こんな弱ってるときにどうしてそんな言葉をかけるんだろう。
どうして、そんな優しい背中を見せるんだろう。
それを何度も心の中で尋ねているうちに、いつの間にか私の体は
彼の背中にくっ付いていた。
※実話ではありません(続く)
続き気になります
香里奈ちゃんがかわいそうですね・・・。