ストロベリーラブ 【 46章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/23 12:13:01
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第四十六章 『 悪女の真実 』
あの事件から、香理奈と仲が悪くなって、でもまた仲直りした。
やっと取り戻せた絆だと言うのに…こんなあっけなく終わってしまうの…?
もしかしたら、私達はそういう関係なの…?
唇をかみ締めながら、トボトボと通行路を歩く──。
あの時の香理奈の声が蘇る。
あの時、どうしてあんな風に問い詰めてしまったんだろう…。
香理奈は何もしてないし、何も悪くない。悪いのは実の妹の玲奈ちゃん。
──だと言うのに、どうして香理奈が苦しんでるの?
神様は、悪女の味方なのかな…。
「 …あっ 」
どうこう考えているうちに、待ち合わせ場所に着いた。
今日、この場に香理奈が来るかなんて正直、確信できない。
…でも、待つしかない。
私はベンチに腰を掛け、iPhoneを見つめながら香理奈を待つ。
いつも聞える足音を待ちながら…。
*********
それから、もう30分経った…。結局香理奈は来なかった。
私を置いて行ってしまったのか、もしくは休んだか…。
「 はあああ 」
私は深いため息を溢し、体を起こした。
いまだに着信音が鳴らないiPhoneをポケットに静かにしまい、
重い足をゆっくりと学校のほうへと進めて行った…。
学校に着けば、きっと香理奈を探す自分がいる…。
なんか、自分は自分で惨めな気もしてきた。
**********
学校に到着──。
教室に入るが、香理奈の姿は見当たらない。
( 今日は休みなのかなぁ… )
心配で仕方なくなった。
せめて、学校に来てればまだ和らいだものの…。
学校に来てないんだったら、様態だって見れないし…。
そんな事を考えながら、窓のほうへ目をやる。
その瞬間、私の目に入ったのは、「 は? 」と思わず声を上げてしまう物だった。
そこには仲良さそうに男子と喋っている玲奈ちゃんの姿があったから。
ボディータッチを激しく行い、何度も男子の肩に触れている。
なるほど、ああやって色んな人を陥れて来たってわけだ。
見ているだけで怒りがこみ上げ、今すぐにでも殴りに行きたい気分だった。
彼女、今私が目の前に現れたらどういう反応をするのかな?驚くかな。
…いいや、あの女はそんな奴じゃない。
きっと、見下すように私を見ながら両手を組んで偉そうにしている。
そんな光景が目に浮かんで、悔しくて仕方なかった。
( 香理奈、ごめんね。何もしてあげられないよ… )
男子と馴れ馴れしく話す玲奈ちゃんを見ながら、心でそう呟く。
香理奈はかわいそうだな…あんな妹持っちゃって。
…キーンコーンカーンコーン♪
「 あ、チャイム。 」
チャイムに気づいた私は、すぐに席に戻った。
鞄から教材を取り出し、筆箱を机の上にドサッと置く。
すると──
「 ねぇ、大丈夫? 」
隣から聞えた声…。
ゆるくウェーブが掛かった髪に、おさげをしている女の子。
名前は確か…、相沢桜さん…だっけ。
「 ねぇってば…!! 」
「 あっ!!はい、大丈夫ですっ!! 」
突然大きい声が出されて、驚きを隠せなかった。
そんな私の反応に相沢さんはクスクスと笑っている。
すると相沢さんは口を押さえながら
「 ごめんなさいね、ボーッとしてたからついっ… 」
と、笑いをこらえるかのようにしながら呟く。
そんな反応を見ながら、私は恥ずかしげに「 はあ… 」と頷く。
その直後、相沢さんはズイッと私のほうへ顔を近づけた。
「 あなた、大丈夫? 本当に顔色悪いけど… 」
心配そうな声で尋ね、私の頬に触れた。
彼女は「 熱いなぁ 」と一言呟き、私の腕を引っ張っぱりながら、立ち上がり、
彼女は大きく挙手をした。
「 先生っ!!彼女、様態悪そうですっ!! 」
「 えっ 」
そして、彼女は先生の返答も聞かず、教室を飛び出した。
きっと彼女は保健室に連れて行ってくれる気なんだろう。
手を強引に引っ張る力はまさに万力。
絶対コレ、手形ついてる…。
そんな事を考えていると、もう保健室の前に立っていた。
彼女はドアに手を掛け、勢いよくスライドさせた。
保健室の中には、北山先生が足を組みながら座っている姿が。
おまけに、片手にはコーヒー、そして何らかの資料があった。
相沢さんは指を差しながら「 ああああっ!! 」と、叫んだ。
それに驚く私達──
「 な、何? 突然入ってきて大声を上げるなんて… 」
北山先生は、胸に手を当てながら一歩引いている。
そんなのはお構いなしに、ズケズケ入っていく相沢さん。
グイッと北山先生の顔に近づけ、腰に両手を置いた。
「 ちょっと、先生っ!!コーヒーとかズルくないですか!?私達勉強中なのですよっ!? 」
私達、一斉にズルッとこけた。
心の中ではきっと思ってる事が一致してただろう。
( そのことかよっ!!!! )
…と。だが、北山先生は気を改め、片耳に髪を掛けながら話し始める。
「 コーヒーは置いといて…。どうかしたの?相沢さん。 」
すると、相沢さんは再び私の腕を引っ張り、北山先生の前に置く。
ボスッと肩に両手を置き、「 顔色が悪いんです… 」と事情を説明した。
それに頭を抱え、ため息を溢す先生。
ガタッとイスの音を鳴らし、私の手を引いてベッドまで連れて行ってくれた。
ベッドのカーテンをスライドさせ、相沢さんのほうへ顔をやる。
そして、先生はニコッと笑いながら
「 相沢さん、ありがとう。詳しくはこの子から聞くわ。 」
と、説明した。
それに納得した相沢さんはお辞儀をし、教室に戻っていった。
そして、私のほうに戻ってきた先生は真剣な表情で尋ね始める…。
「 ねぇ、あなたがそこまでなった理由を聞かせて? 」
小さく頷き、今までの事情やらを話した。
すると先生はまた頭を抱え込み、眉間に人差し指を当てた。
そして、小さく「 玲奈…ねぇ 」と呟いた。
その表情はどこか悲しげで、そして憎しみも込められてるように見えた。
つい私は、「 何かあるんですか 」と尋ねてしまった。
すると、先生は信じられないことを話し始めた──
「 昔ね…、私には弟がいたのよ。名前は北山和也。私と同じ教師だった。
もちろん、教科は数学だから違うんだけど…。彼はイケメン先生って言われて
人気あったのよ?…でもね、ある日彼の様子がおかしくなった日があったのよ…。 」
その言葉を言った瞬間、先生の顔は一変した。
もう憎しみしか込められていないような…そんな顔。
私は息を呑み、続きを聞いた。
「 彼、中学の教師だったんだけどね…。ある日、ヨレヨレで帰って来たの。
まるで…恋にでも酔ったかのような…そんな顔だったわ。
いつも帰ったら真っ先に色々話す彼が、その日は部屋に直行したわ。
おかしいなって思って、彼の部屋まで行ったの。…すると、彼は誰かと電話していた 」
「 それがまさか… 」
先生は小さく頷いた。
そして、小さく口を開き──
「 彼は電話の向こう側に言ってたわ。”玲奈に会いたい”…と。 」
「 っ!? 」
…バサッ
思わず布団を落としてしまった。
彼女の言葉から出た真実…。これって…もしかして…
※実話ではありません(続く)
めっちゃ気になります//
続き楽しみです