ストロベリーラブ 【 43章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/18 19:10:03
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第四十三章 『 幸せの笑顔 』
…翌日
いつも通り、待ち合わせ場所に向かった。
久しぶりに何も心配なく、待ち合わせ場所に迎えるっ──
ずっとこの日を待っていたんだ、私。
タッタッタと、待ち合わせ場所に近づくたびに歩くスピードが増していく。
そして、いよいよ待ち合わせ場所に着いた──
近くにある花壇からは前と同じように、香理奈の頭部が見えた。
その瞬間、自然と笑顔がこぼれた。
「 香理奈ぁ~っ!! 」
大きく手を挙げ、激しく手を振った。
それと同様に、香理奈も私に激しく手を振った。
お互い、久しぶりに笑顔で手を振り合った──
その感動のあまり、私達は抱き合い力強く拳を握った。
私の背中に回る香理奈の手が震えている…
そこから伝わるのは、香理奈の嬉しさだけだった──。
きっと、香理奈も同じ事を思ってくれているだろう。
「 久しぶりだねっ、なんかっ!! 」
香理奈がニカッと笑い、そう言った。
それを返すように、同じく笑い、コクリと頷く。
そして、香理奈はポケットからiPhoneを取り出した。
「 あ、まだ7時だ。ねぇっ、少し話さないっ? 」
「 うん 」
そう言って、私達は青いベンチに座った。
いつも私達を落ち着かせてくれる…ベンチに。
このベンチを見ると、色んな思い出が蘇ってくる──
香理奈が涙を流して崩れた日、玲奈ちゃんに勝った日、宮木君を説得した日…
ほかにも、香理奈と楽しく話した日、いっぱいいっぱい笑った日、色々あった。
なんだか…このベンチにはお世話になってる気がする。
そんな事を思いながら、右手でよしよしとベンチを撫でた。
「 …な、何ベンチ撫でてるの?(汗) 」
冷や汗を流し、少し引き気味で尋ねる。
そんな香理奈を説得するかのように、両手を使って説明した。
すると、香理奈は両手を組み、口を尖らせながら言った。
「 確かに、このベンチにはお世話になってるわねー 」
そして、私と同じようにベンチを撫でた。
あの事件以来見せなかった笑顔で…幸せそうに。
そんな香理奈を見て、ホッとした。
つい、笑みが毀れる。
「 何笑ってるのー? 」
「 え、いや。あ、そういや宮木君とどうなったのー? 」
話を逸らすかのように、話題を振った。
すると、香理奈は照れるように、へにゃっと顔を崩し、笑った。
そして、右手で後頭部に触れ、口を開いた──
「 上手くいきましたー!!!!///// 」
顔を赤らめ、デヘヘと、笑いながら言った。
その表情が、香理奈の幸せと、感情が痛いほど伝わってくる…。
これでまた一つ、ホッと安心した。
私だけこんなに幸せだったら…罪悪感が酷かったと思うから。
でも、香理奈も同じように、幸せそうでよかった。
きっと私も、今、感情が表情に出てる…。
「 苺華もうまくいったみたいだね。 」
ニコッと微笑み、私に言った。
コクッと頷き、Vサインを香理奈に示す。
香理奈は「 いいじゃーんっ 」と言って、肩を組んだ。
斜め上からちょっぴり見える香理奈の顔は、今まで以上に嬉しそうだった…。
( こんなにトントン拍子でうまくいくなんて、幸せ過ぎる。 )
そんな事を考えながら、香理奈の肩を組み返した。
ずっとこの笑顔でいてほしい…この顔がもう、涙で濡れてほしくない。
心から、そう願った。
「 ねぇ、苺華!!記念撮影しようよっ!! 」
「 えぇっ? 」
そう言って、突然香理奈はiPhoneを取り出した。
「 ほら、ポーズしてっ!! 」という香理奈の声と共にカメラがセットされる。
その声と共に、私も決まったVサインをした。
香理奈も私に寄りかかりながら、Vサインをした。
「 二人の最高の笑顔を記念してっ!!はいっ、チーズッ!!! 」
その声と共にシャッター音が鳴り響く…。
きっとその瞬間、私達は最高の笑顔を残せただろう。
iPhoneを目の前にやり、私に見せる。
そこに映ってたのは、昔と同じように笑った最高の笑顔…
「 無邪気だよねーっ 」と笑いながらそう言う香理奈の笑顔が一番無邪気だった。
その隣でVサインをする私の笑顔は、自分でも驚くほど無邪気に笑っていた。
本当にまるで、幼い頃の私達のように見えた。
「 これ、苺華に送るねー 」
「 えっ、あ、うん。ありがとうっ… 」
iPhoneを差し出し、写真を送ってもらった。
私の手元に来た写真…
( これ、プリントしよっ… )
心の中でポツリと呟いた。
香理奈もiPhoneをニコニコしながら見つめている…。
もしかしたら同じ事を思ってるのかなぁ…?
「 あああっ!!もう30分!!早く行こうっ!! 」
「 うっ、うんっ!! 」
それはわからないけど、私は香理奈を信じてるよ…。
だから、香理奈も信じてねっ…
早歩きをする香理奈の隣に並び、そんな事を心の中で呟いていた。
こんなの届いてるわけもないけど…ねっ。
でも、香理奈の笑顔が戻ってよかった。本当に。
「 へぇ、幸せそうじゃん。…お姉ちゃん。 」
※実話ではありません(続く)
玲奈ちゃんでしょうか?最後のは…
何か起きそうな予感ですm