ストロベリーラブ 【 41章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/16 13:23:28
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第四十一章 『 聞える幻聴と、本物の声 』
あれはなんだったんだろう…。
あの時、一輝の口から出た言葉はなんだったんだろう…。
『 藤原の事、好きだよ。 』
どういう気持ちで言ったの? どういうつもりで言ったの?
わかんないよ…一輝の心…まったく読めないよっ…。
「 …グスッ 」
必死に走り、着いた場所は教室──。
誰もいない放課後の教室は、いつもと雰囲気が違って、夕日に染められている。
私は、自分の席に座り、机に塞ぎこんだ。
肩で息をしながら、声を震わす。
窓から差し込む夕日に照らされ、背中が少し熱い。
その温もりが、一輝の胸の温かさに似ていて、また涙が溢れる。
一輝は今どんな気持ちなの…?
あんな答えだして…どんな風に思ってるの?
頭に私はいるの?存在してる? もしかして、私の事嫌い…になった?
竜生の存在で揺らいだ私を見て、呆れたの?
考える結果はいつも、悪い結果。
私が一輝を傷つけた。…だから、優しい藤原さんへ気持ちが揺らいだ。
もしかしたら、一輝からしたらそれだけの事なのかもしれない。
「 グスッ…帰ろっと… 」
ガタッと立ち上がり、手の甲で涙を拭った。
鞄を背負いなおし、教室を出た──
…ガラッ
静かで、人気のない廊下でローファーの音だけを聞きながら歩く…
その音が無償に耳について、とても悲しくなる。
廊下に綺麗に並ぶ窓から差し込む夕日の日差しを見つめながら涙を堪える。
どうしてこんなに必死に涙を止めてるのか、自分でもわからない…。
窓の隙間から差し込む光が私の目に突き刺さる。
痛い。この日差しがまるでナイフのように…痛い。
( 早く帰ろう…っと )
頬を濡らした一粒の涙を拭い、歩くスピードを上げた。
***********
歩くスピードを速くしていたからか、いつもより5分早く家に着いた。
家の前に立ち、ドアノブに手を掛ける
けど───
…ガチャッ
「 …あ、そっか。閉まってるに決まってるよね。 」
今日は母が仕事に出かけて、留守番頼まれてたの忘れてた。
鞄を探り、鍵を探す。
だけど、鍵は見当たらない──。
「 あれっ? 」
…ゴソゴソ
教科書を端に寄せ、鞄の底を探してもない。
ポケットを探ってもない、鞄の別ポケットを探してもないっ…。
私は一気に青ざめた。
( 鍵…忘れたんだぁ… )
部屋に置いたままの鍵を思い浮かべる。
一気に後悔に襲われ、悔しい気持ちがこみ上げる。
どうしようか考え、とりあえず母に電話することにした。
…ピルルルル
だが、電話には出ない。
当たり前の事だ。考えたらすぐに分かる事だった。母は今出勤中だし。
その場にしゃがみ込み、色々考えた。
私の部屋から進入するのもありだけど、2階だしなぁ…。
一応、1階にもあるけど、そこは泥棒が入れないように鍵を掛けてある。
昨日も確認したから、間違いない。
もう、手の施しようがない…か。
「 はああああ… 」
深いため息を溢し、塞ぎこむ。
髪をクシャッと乱し、またあの光景が浮かび上がる──
『 藤原の事、好きだよ 』
幻聴まで聞える…。
まずいな、私、相当やんでるのかもしれないなぁ…。
一輝の言葉が耳から離れない…
「 …苺華? 」
声と同時に、足元を辿って見上げた。
そこに立っていたのは──
「 一輝…? 」
息を切らし、笑顔で私を見下ろしている一輝の姿があった。
※実話ではありません(続く)
一輝君?もしかして、
藤原さんに、好きだけど、もっと好きなやついるからっとかなんとかいって
ふったのかな?
気になりますm