ストロベリーラブ 【 39章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/13 19:03:36
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第三十九章 『 卑怯 』
「 一輝っ… 」
突然開かれた扉の先に立っている一輝。
私を見て、ハッと驚いた顔をした。
「 何してんだ? 」
そして、隣にいる子を見て目を丸くする──
「 藤原っ… 」
ニコッと笑い、彼女に駆け寄った。
いつも女の子に見せる顔とは少し違った…優しい顔。
私と出会った頃は、女子とさえあまり口を利かない人だったのに。
思わず目を逸らす。
一輝が彼女に見せる笑顔を見たくなかった。
「 藤原、ごめんなぁ。仕事一人でさせちまって… 」
( え…仕事…? )
逸らしていた目を上げ、一輝のほうへやった。
「 し、仕事って…!? 」
一輝に関して知らないことがあるっ…。
しかも、この子に関する情報でっ…。
怖くなった。私の知らないところで女と仲良くしてるなんて…。
でも、一輝は何も思ってないと言うかのように笑顔を作り、答えた。
「 委員の仕事だよ。 」
「 い、委員…? 」
「 ん。ああそうか。お前は知らないんだっけ?休んでたから 」
ハッハッハと笑いながら、言った。
何がなんだかわからないまま、私は彼を見つめた。
「 クラスで決まった、委員の事だよっ 」
ニコッと微笑み、答える。
”うんうん”と言いながら、頷く一輝。
そんな二人を見ていると、怖くなった。
( 息がピッタリ… )
これは言わば嫉妬なのだろうか…?
私はこの子に…この小鹿みたいな子に…嫉妬してしまっているの?
そんな、嫉妬なんて…しちゃダメなのに…
「 …ごめん、ちょっと 」
フラッと足を教室の外に出し、遠い場所へ運んだ。
その場は私をいつも癒してくれる場所だった──
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「 …で、ここに来たワケ? 」
あれからフラついて立ち寄った場所は保健室。
北山先生に全ての状況を話した。
「 そ、そうなんですっ 」
頷きながら、必死に涙を抑える。
すると、北山先生は深いため息を溢し、ティッシュを差し出した。
「 え…。涙なんて出てませんよっ!! 」
「 もうそれ、出てるって言ってると一緒。強がらないで受け取りなさい。 」
といって、グイッと強引に差し出した。
「 あ、ありがとうございます… 」
スッと受け取り、涙を拭いた。
まだ涙は出てなかった物の、正直危なかった。
二人の風景が頭から離れなくて…
あんなの正直私から言えば、地獄絵図だよぉ…。
「 ううう… 」
「 我慢しなくていいんじゃない? 」
コーヒーを注ぎながら、呟く北山先生。
その言葉に、また涙がこみ上げてきた。
「 うぅぅぅ… 」
「 まあさ、いっぱい泣いて気持ちを解放させなさい。…ほら。 」
と言って、テーブルの上にカップを置いた。
天井までもくもくと上がる湯気は、どこか寂しげに思えた。
今思えば、湯気は天井まで上がったら消えちゃうんだよなぁ…。
私も…そうなのかなぁ…。
嬉しさの頂点に上り詰めたら…消えちゃうのかなぁっ…
「 うっ… 」
「 …どうせならベッドに移る?泣いてるとこ見られたくないでしょう? 」
「 …はい。 」
先生に支えてもらいながら、ベッドに移動した。
ドサッとベッドに倒れこみ、手の甲で目を押さえた。
「 はああああ 」
深い深いため息を溢し、またあの風景を浮かべた。
( あの二人…無駄にお似合いだったな。 )
そんな事を考えてるうちに、こんな事まで浮かんだ。
( もし…一輝があの子と付き合ったら… )
考えてると、二人の間に子供がいる風景までも浮かんだ。
その瞬間──
いても立ってもいられなくなった。
…シャッ
「 え? もういいの? 」
「 はいっ!!! 」
慌てて保健室を飛び出し、教室に向かった。
激しく動かされた足は、今まで異常のスピードを出していた。
…ガラッ!!!
「 うおっ、苺華… 」
一輝が目を丸くして私を見る。
隣にいる小鹿もそんな風な顔をしている…。
「 ハア…ハア… 」
二人に近づき、キッと睨んだ。
「 な、何だよ。怖い顔して… 」
冷や汗を流しながら、そう尋ねる。
そして、口を開こうとした瞬間───
…ガラッ!!!!!
「 何? この騒ぎ… 」
竜生が荒い声で呟いた。
”一輝は私の彼氏!!”って言うはずだった口が一瞬で閉じた。
「 …苺華 」
「 竜生、おはよぉー!! 」
すると、藤原さんはニコッと笑った。
そして、一輝の服の袖を引っ張り、こう言った…
「 あの二人、付き合ってるんでしょっ? 」
「 え? 」
それを聞いた瞬間、一輝の顔が一変した。
体は硬直状態になり、目だけが私を向いていた…。
「 ち、違うっ…。それは… 」
だが、何故かスムーズに”違う”とは言えなかった。
後ろには、竜生がいるから…。
「 …そうか 」
ポツリと呟き、自分の席へ向かった。
その背中は寂しげで、悲しさを物語っていた──
「 ちがっ… 」
「 ねぇ、日村君っ!!委員の話どうするー? 」
私が駆け寄る前に、一輝に駆け寄ってしまった。
一輝が…取られた気分になった。
でも…
私が悪い、全てはっきりしない私が悪い。
それを分かってるからこそ、私は卑怯だ。
※実話ではありません(続く)
苺華ちゃんは卑怯じゃ無いと思います!
恋ってうまくいかないものですねー!!!
続き楽しみです!!