Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 39章 】

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第三十九章 『 卑怯 』

「 一輝っ… 」

突然開かれた扉の先に立っている一輝。
私を見て、ハッと驚いた顔をした。

「 何してんだ? 」

そして、隣にいる子を見て目を丸くする──

「 藤原っ… 」

ニコッと笑い、彼女に駆け寄った。
いつも女の子に見せる顔とは少し違った…優しい顔。
私と出会った頃は、女子とさえあまり口を利かない人だったのに。

思わず目を逸らす。
一輝が彼女に見せる笑顔を見たくなかった。

「 藤原、ごめんなぁ。仕事一人でさせちまって… 」

( え…仕事…? )

逸らしていた目を上げ、一輝のほうへやった。

「 し、仕事って…!? 」

一輝に関して知らないことがあるっ…。
しかも、この子に関する情報でっ…。
怖くなった。私の知らないところで女と仲良くしてるなんて…。

でも、一輝は何も思ってないと言うかのように笑顔を作り、答えた。

「 委員の仕事だよ。 」

「 い、委員…? 」

「 ん。ああそうか。お前は知らないんだっけ?休んでたから 」

ハッハッハと笑いながら、言った。
何がなんだかわからないまま、私は彼を見つめた。

「 クラスで決まった、委員の事だよっ 」

ニコッと微笑み、答える。
”うんうん”と言いながら、頷く一輝。

そんな二人を見ていると、怖くなった。

( 息がピッタリ… )

これは言わば嫉妬なのだろうか…?
私はこの子に…この小鹿みたいな子に…嫉妬してしまっているの?

そんな、嫉妬なんて…しちゃダメなのに…

「 …ごめん、ちょっと 」

フラッと足を教室の外に出し、遠い場所へ運んだ。
その場は私をいつも癒してくれる場所だった──

********

「 …で、ここに来たワケ? 」

あれからフラついて立ち寄った場所は保健室。
北山先生に全ての状況を話した。

「 そ、そうなんですっ 」

頷きながら、必死に涙を抑える。
すると、北山先生は深いため息を溢し、ティッシュを差し出した。

「 え…。涙なんて出てませんよっ!! 」

「 もうそれ、出てるって言ってると一緒。強がらないで受け取りなさい。 」

といって、グイッと強引に差し出した。

「 あ、ありがとうございます… 」

スッと受け取り、涙を拭いた。
まだ涙は出てなかった物の、正直危なかった。

二人の風景が頭から離れなくて…
あんなの正直私から言えば、地獄絵図だよぉ…。

「 ううう… 」

「 我慢しなくていいんじゃない? 」

コーヒーを注ぎながら、呟く北山先生。
その言葉に、また涙がこみ上げてきた。

「 うぅぅぅ… 」

「 まあさ、いっぱい泣いて気持ちを解放させなさい。…ほら。 」

と言って、テーブルの上にカップを置いた。
天井までもくもくと上がる湯気は、どこか寂しげに思えた。

今思えば、湯気は天井まで上がったら消えちゃうんだよなぁ…。

私も…そうなのかなぁ…。
嬉しさの頂点に上り詰めたら…消えちゃうのかなぁっ…

「 うっ… 」

「 …どうせならベッドに移る?泣いてるとこ見られたくないでしょう? 」

「 …はい。 」

先生に支えてもらいながら、ベッドに移動した。

ドサッとベッドに倒れこみ、手の甲で目を押さえた。

「 はああああ 」

深い深いため息を溢し、またあの風景を浮かべた。

( あの二人…無駄にお似合いだったな。 )

そんな事を考えてるうちに、こんな事まで浮かんだ。

( もし…一輝があの子と付き合ったら… )

考えてると、二人の間に子供がいる風景までも浮かんだ。

その瞬間──
いても立ってもいられなくなった。

…シャッ

「 え? もういいの? 」

「 はいっ!!! 」

慌てて保健室を飛び出し、教室に向かった。
激しく動かされた足は、今まで異常のスピードを出していた。

…ガラッ!!!

「 うおっ、苺華… 」

一輝が目を丸くして私を見る。
隣にいる小鹿もそんな風な顔をしている…。

「 ハア…ハア… 」

二人に近づき、キッと睨んだ。

「 な、何だよ。怖い顔して… 」

冷や汗を流しながら、そう尋ねる。

そして、口を開こうとした瞬間───

…ガラッ!!!!!

「 何? この騒ぎ… 」

竜生が荒い声で呟いた。

”一輝は私の彼氏!!”って言うはずだった口が一瞬で閉じた。

「 …苺華 」

「 竜生、おはよぉー!! 」

すると、藤原さんはニコッと笑った。
そして、一輝の服の袖を引っ張り、こう言った…

「 あの二人、付き合ってるんでしょっ? 」

「 え? 」

それを聞いた瞬間、一輝の顔が一変した。
体は硬直状態になり、目だけが私を向いていた…。

「 ち、違うっ…。それは… 」

だが、何故かスムーズに”違う”とは言えなかった。
後ろには、竜生がいるから…。

「 …そうか 」

ポツリと呟き、自分の席へ向かった。
その背中は寂しげで、悲しさを物語っていた──

「 ちがっ… 」

「 ねぇ、日村君っ!!委員の話どうするー? 」

私が駆け寄る前に、一輝に駆け寄ってしまった。
一輝が…取られた気分になった。

でも…
私が悪い、全てはっきりしない私が悪い。

それを分かってるからこそ、私は卑怯だ。

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/16 15:10
一輝君、それは嘘だよ!って言ってあげたいです・・・

苺華ちゃんは卑怯じゃ無いと思います!
アバター
2013/08/13 20:33
あああああああああああ
恋ってうまくいかないものですねー!!!


続き楽しみです!!



月別アーカイブ

2019

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.