Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *37話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第三十七章 『 複雑 』

「 …どれどれ 」

iPhoneを覗き込み、内容を目に通した。

そこに書かれていたのは──

『 宮木君、全て話してくれたよ。苺華、ありがとう。 』

その本文を読み、ホッと胸を撫で下ろす。
ずっと気が気でなかったから…本当に良かった。

「 …ふぅ 」

「 あ、あのぅっ… 」

「 ? 」

振り向くと、さっきの小柄な女の子が立っていた。

「 はい? 」

女の子は体を震わせ、顔を赤くしながらこう言った。

「 あの…日村…君…は? 」

「 えっ? 日村ぁ…? 」

香理奈の事を気にしすぎて一輝の事を少し忘れていた。
そういえば、今日は見当たらないなぁ。

「 ごめん、わからない。 」

「 そっ、そっかぁ… 」

シュンッ…と俯く彼女。
小鹿のように肩を竦め、背中を向けた。

「 あ、待って 」

そんな彼女を呼びとめ、駆け寄った。
首を小さく傾げ、尋ねるように目で訴える彼女。

「 も、もし…一輝の事に伝えたい事があるなら言っとくよ? 」

ニコッと笑顔でそう言った。
だが、彼女は「 えっ? 」という口を作り、目を丸くしている。

「 どうしたの…? 」

首を傾げ、尋ねると彼女はキラッと涙を溢して

「 なんでもないです!!! 」

と言って、その場を走り去っていった。
彼女の背中を見つめ、首を傾げた私──。

( あの行動にはどんな意味が? )

そんな疑問を抱えながらも、椅子に座った。

にしても、あの子なんていう名前なんだろうか…。
一輝の事探してたみたいだし、一輝とはどういう関係なんだろう。

それに…一輝が休んでる原因も少し気になるしね…。

…キーンコーンカーンコーン♪

「 あ、授業始まる… 」

ポツリと呟き、前の教科のセットを机に直した。

( 次はちゃんと授業に集中しよっ… )

そんな事を心で呟き、数学のセットを取り出した。

*****

放課後…
私は人気のない4階まで上がり、電話を掛けた。
相手はもちろん、一輝。

…プルルルル

「 …… 」

何故か緊張している…。
緊張なんてすることないのになんで…

…ガチャッ

「 あっ、出た。 」

『 ゴホッ、そりゃ出るだろ…ゴホッ 』

ガラガラの声と、今にも消えそうな小さな声で呟く。
すぐに、一輝がどんな状況だか理解した。

「 風邪か、今日休んだ理由。 」

そう呟くと、一輝は咳を繰り返し、答えた。

『 ああ、ごめんごめん。心配掛けたなぁ 』

「 本当にね 」

そう答え、フッと笑った。

「 お大事にね。 」

『 ん? あぁ。 』

そして、電話を切った──。
これ以上、電話を長引かせていては、しんどいだけだ。

一輝に迷惑掛けたくないし…

「 さーてっ、帰りますかっ。 」

人気のない4階で、私の声が廊下に木霊する。
大きく伸びをし、iPhoneをポケットに直した。

その瞬間──

「 ねえっ… 」

後ろから聞こえた女の子の声。
振り返ると、そこにはさっきの女の子が立っていた。

「 あ、ああ…。どうしたの? 」

正直、驚いた。
人気なんてなかったのに、こんな近くにいたなんて。

驚いた私を見ながら、涙目で私を見つめている…

「 な、何? 」

もう半泣き状態で、一言キツイ言葉を言えば、すぐにおお泣きしてしまいそうだ。
私、そんな酷く追い詰めたっけ…? なんだろう、なんかいやな予感がっ…

「 …ずき君とは…けい…なの…? 」

「 えっ? ごめんっ、聞こえなっ… 」

「 一輝君とはどういう関係なのぉっ!? 」

号泣しながら、訴えるように叫んだ。
「 え゛ 」と言って、ズサッと一歩引く私にまた一歩近づいて来た。

「 ねえっ…どういう… 」

ウルッと目を丸くさせ、頬を涙でぬらせながら迫ってくる。

もう私にはキツすぎるお仕置きだった。
突然どういう関係なのってこの状況で聞かれたら答えにくい。

「 …どういうって 」

いまのこの子に”恋人”なんて言ったら、余計泣くんだろうなっ…
どうしればいいんだろう、こんな時に一輝だったらどうするんだろうっ…

「 ねえってばぁっ… 」

「 ま、待って!!! 」

ドンドン迫り、ついには壁に追い込まれた。

もうしょうがない、適当な言い訳でもっ───

「 教えてやるよ。 」

「 えぇっ? 」

目の前の階段から聞こえた落ち着いたトーンの声。
すぐに誰だかわかった。

「 …竜生っ 」

ポケットに手を突っ込みながら、澄ましている。
ゆっくりとこっちに近づいてくる。

「 あ、高城…君… 」

女の子が振り返り、ポツリと呟く。
チラッと竜生は私を見て、フッと鼻で笑った。

「 お前、斉藤泣かしたのかァ? 」

「 な、泣かしてないよぉ!! た、ただ聞いてただけ… 」

人差し指で顎に触れながら、ポツリと呟く。
その仕草は何かを隠すようにも見えた。

「 …? 」

少し、疑問に感じた。
彼女…やっぱり一輝のことっ…

「 …で、さっきの質問の答え教えてくれるのっ? 」

「 ん? ああ。いいぜ。 」

ニヤッと笑いながら、答えた竜生。

「 ま、待ってっ!!! 」

冷や汗を流しながら、竜生のほうへ手を伸ばす。

竜生はチラリと私を見た。
それは、”任せとけ”という意味に見えた。

「 っ… 」

その先から、私は何もいえなくなった。
伸ばしていた手も下ろし、その場に立ちすくんだ。

フゥとため息を溢し、改めて女の子のほうへ向いた。
ニコッと笑顔を作り、口を開いた。

「 …それはね 」

答えると同時に私の隣に並び、ガッと私の肩に腕を回した。
焦りながら、竜生のほうを見て、小声で言った。

「 ちょっ、何っ!? 」

悪魔で、彼女には聞こえないように言った。
ニヤニヤと嫌な笑顔を作り、スゥッと息を吸って答えた。

「 コイツは、日村とはなんの関係もねぇ。 」

「 …っ 」

複雑な心境だったが、いまの状況では仕方ない。

そう思った矢先──

「 コイツは俺の女だっ 」

「 …え 」

一瞬固まった。
すぐに状況が飲み込めなかったのだ。

「 …え 」

私と同じように、目を丸くしている女の子。
だが、すぐにパアッと顔を明るくさせ、口を押さえながら

「 わあっ、そうだったんだっ!! 」

と、言ってその場を去っていった…。

数秒間…肩を組まれたまま、立ちすくむ私。
そして、ハッと気づいた。

「 ちょっ、何してくれたのよっ!!!! 」

バッと、腕を強引に外し、距離をとった。
両手を組み、キッと睨んだ。

片手で顔を覆い、はああっと深いため息を溢した。
手の隙間からチラリと目を見せた。

「 …なんで? そんな拒むことないじゃん。 」

少し悲しそうな声を溢した。

「 …え、えとっ。でも今のはさあ!!! 」

「 何? 」

ギロッと睨み、私の発言を止めた。

「 …ご、ごめん。 」

何も言えなくなり、耳に髪を掛けた。
そんな私を見て、クスッと笑った。

「 分かりやすいなぁー。苺華は 」

そう言ったときの笑顔はとても複雑だった。
目を細め、顔を引きつらせている。

「 アハハッ… 」

「 そ、その…ありがとうっ 」

ペコッとお辞儀をして、その場から逃げるように去った。
もう、竜生の複雑な笑顔を見たくなかった。

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/16 15:04
竜生くんもかわいそうですね・・・
あの女の子はなんなんでしょうか??
アバター
2013/08/13 00:41
竜生君も辛いですね・・・


続き気になります



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