ストロベリーラブ *34話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/09 21:16:43
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第三十四章 『 大事な頼み 』
( 絶対に許さないっ…!! )
拳を握り締め、iPhoneを見下ろす私。
香理奈は地面に崩れ落ち、口を押さえ泣いている──。
「 もう泣かないって…決めたのにっ…!!! 」
そう悔しそうに嘆く香理奈。
私は、それを悔しげに見つめるしかできなかった。
どうしてやればいい?
”許さない”…それは当然だけど…。
今の香理奈に何をしてあげれば、救える?
玲奈ちゃんに復讐してあげれば…解放されるの…?
「 …ねぇ、香理奈 」
「 …苺華 」
今はとりあえず、隣に座っていよう。
香理奈が歩みだせるようになるまで、ゆっくり待とう。
これくらいしかできない自分が憎くてしかたがない。
でも──
ごめんね、香理奈。私にはこれしかできないよ。
「 …… 」
「 うっ、グスッ…グスッ… 」
静かなベンチの上で、聞こえるのは香理奈の泣き声だけ…。
まだ早い時間だから、車もそこまで通ってはいない。
「 …… 」
今日は一輝の事とか、竜生の事とか、考えてる場合じゃないな。
「 うぅっ…ふぇっ… 」
「 …? 」
ずっと握り締めてるiPhoneの画面がチラリと見えた。
画面に表示されていたのは、メールのようだった…。
( 香理奈っ…ごめんっ!!! )
チラッと覗き見をしてしまった──。
だって、そこの送信者と書かれていた部分には…
【 宮木君 】
と、書かれていたから。
この前の香理奈のあの態度の原因はきっとこれにあるんだ。
「 …っ!!! 」
メールの内容を見ると、案の定、驚くべき事が書かれていた。
俺は、玲奈と付き合う事にした。
だから、あの告白も忘れて欲しいんだ。
たったこの二行だけど…
胸に刺さった矢の数は数えきれなかっただろう…。
香理奈はこんな重い重い鎖を繋げたまま、歩いていたんだ…。
ずっと『 妹のため 』という言葉を…呪文のように唱えながら…。
「 うぅぅうっ… 」
なのに、玲奈ちゃんは…香理奈の気も知らないでこんな真似を…
許せない、許せない…!!!こんなの、ほっといていられないっ…!!!
「 香理奈っ!!私になにか出来ることがあれば言ってっ!? 」
「 えっ? 」
私は自分の胸をドンッ!!と叩き、そういった。
これは”任せて”という私なりの合図だった──。
「 苺華が? …いいよいいよっ!!そんな── 」
「 そんなに頼りない? 」
「 そ、そういうわけじゃないけどっ… 」
次第に声を小さくしていき、しまいには目を逸らした香理奈。
やっぱり私は頼りないんだ…ずっと香理奈に頼ってばっかりだったから…。
でも──
今回ばっかりは違うから!!!!!
「 香理奈、たまには私を頼って!!いけるから!!! 」
「 苺華… 」
香理奈はまた涙を溢れさせた…。
その涙は私の手の甲へ、ポツッ…と落ちた。
「 …わかった。頼るぅ 」
「 うん!!…で、何すればいいのかなっ? 」
グイッ!!と顔をあげ、香理奈はゆっくり口を開けてこういった。
「 宮木君にっ…私の気持ち伝えてほしいっ… 」
「 …え? 」
これは、香理奈にとって禁断の言葉だった──。
『 妹のためなら 』…これは香理奈の気持ちを封印させる言葉だった。
『 妹と同じ物が欲しくなったら譲る。 』
香理奈は絶対にこの約束ごとを破ろうとはしなかった。
だが──
今、香理奈はそれを破ろうとしている…。
それほど、香理奈の心には怒りがこみ上げてるんだ…。
「 …わかった 」
今私がやってあげられる事はこれだけだ。
私はiPhoneを取り出し、宮木君に連絡した──。
…ピルルルル…ガチャッ
『 はいー?もしもしー? 』
「 宮木君、ちょっといいかな? 」
『 え?何々? 』
「 話があるの。 」
『 …うん、いいけど。 』
これで…香理奈の鎖ほどいてみせるから!!!!
※実話ではありません(続く)
✿とても絵が上手な方に書いていただきました!!!
↓✿斉藤苺華✿
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37680926
↓✿長谷川香理奈✿
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37681130
香里奈ちゃんも頑張って!