ストロベリーラブ *32話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/07 16:22:28
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第三十二章 『 愛おしい苺 』
「 んっ… 」
目を覚ますと、目の前にはいつも通りの光景が広がっていた。
白い天井、ほんのり光っているLEDライト…。
保健室と同じような天井だけど…違うってはっきりとは分かった。
だってそれは、私の部屋だったから。
少し横のほうに目をやると、木製の机があった。
いつも通り、机の上に真っ白なノートパソコンがきっちりと置かれている。
「 …部屋 」
体を「 よっ 」と起き上がらせ、左右を見渡した。
「 …私、どうしたんだっけ 」
ベットの上で、小さく呟き、目を擦った。
まだ視界は少しぼやけている…。
「 …んっ、なにこれ 」
ベッドの横にあるサイドテーブルに置かれた一枚のメモと、薬。
メモを手に取り、目を通した──
「 早く元気になって、素敵な笑顔見せてくれよな!!! 」
と、その一言だけ書かれたメモ。
そして、斜め上に置かれていた風邪薬。
「 この字…たぶん一輝だよなぁ…。 」
ポツリと自分で呟き、ボッと顔が赤くなった。
「 ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!!! 」
…コンコン
「 え、あっ、はいっ? 」
慌ててメモをサイドテーブルの引き出しに入れた。
「 ど、どーぞっ!! 」
…ガチャッ
扉の向こうから見えた顔は、予想したト通り母だった。
「 体の具合どう?大丈夫? 」
両手におぼんを抱え、上には擂った林檎と水があった。
ゆっくり私に近づいて来て、サイドテーブルに置いた。
「 あらぁ、あの子、わざわざ薬までー 」
口に手を当て、驚きながらそう言った。
私は林檎に手を伸ばし、スプーンですくって”パクッ”と食べ始めた。
「 んー…、おいしっ 」
パクパクパクと口にどんどん運んでいく…。
母は安心したような表情を浮かべ、薬を手に取った。
「 食べ終わったら、これ飲みなさいね。 」
そう言って、箱を開け、薬をおぼんに乗せた。
「 はぁーい 」
「 じゃあ、ゆっくり休みなさい。 」
そう言って、母は部屋から出て行った。
…パタン。
静かな部屋に「 パタン 」という音だけが響く。
擂った林檎を食べ終わり、私は薬を口の中に運んだ。
「 …ゴクッ 」
一気に飲み込み、薬を飲み終えた。
「 ふぅ、これでマシになるかな。 」
そう呟き、ベッドの真下にある鞄に手を伸ばし、iPadを取り出した。
「 …暇だから小説でも読もうっと。 」
お気に入りの恋愛小説…。
最近、ずっと忙しくって読めてなかったんだよなぁ…。
いい機会だ、全章読んでしまおう。
「 … 」
シィーーーン…
静かな部屋に響くiPadのタッチ音。
その度に思い出す、さっき私がした行為…。
「 お父さん助けてよぉっ!!!!! 」
自分で言った発言とはいえ、あの言葉は重すぎた。
今でも耳に染み付いてはなれない…。
「 お父さんは死んだ 」
その事実をまた再確認させられたような感覚だった。
「 …ダメだ。集中できない。 」
iPadを直し、またベッドに潜った──。
ベッドの右側にはギターが置いてあるが、今はそんな気分でもない。
左側には机の上にノートパソコンがあるが、そんな気分でもない。
…今はただただ、寝ていたい。
落ち着きたい、幻聴を消して欲しい。
「 … 」
ベッドに潜って、目をギュッと瞑った。
とても、とても、力強く…瞑った。
一輝の温かさ…今でも全身に残っている気がする。
「 …一輝、ありがとう。 」
iPhoneの苺のストラップにキスを落とし、握り締めた。
「 …グゥ 」
そんなことをしてるうちに、眠りについていた。
※実話ではありません(続く)
続き気になります
苺華ちゃん頑張って!!