Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


君は海に似ている。 *19話*

主な登場人物
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十九章 『 紳士&王子様 』

「 …はい、体調が悪いそうなので…。ええ、では… 」

…プツッ。

どうやら本当に保護者として連絡してくれたらしい。
私とは別の部屋から城野さんの声が聞こえてきた…。

さっきとは違った、真面目そうな声色で…

「 … 」

そんな真面目な声も、私の耳に染み付いてはなれない…
今では城野さんの全てが心を揺さぶり、愛おしくなっている…。

自分でもここまでなるなんて思ってもいなかった。

…ガシャッ

「 …ふぅ。これでよしっと。 」

「 あっ、わざわざありがとうございましたっ… 」

「 え?あはは、いいんだよ。 」

そう笑って、コーヒーを片手に、ソファに座りなおした。
「 フゥ 」と一息ついて、コーヒーを口に注ぎ始めた。

「 ゴクッ…。ふぅ、おいしいなぁー… 」

遠くを見つめるかのように、窓に目をやりながら呟いた。
私も城野さんと同じほうへ視線をやり、小さく頷いた──。

「 …そうだ、波ちゃん!!朝ご飯食べてないよねっ。作るよ。 」

「 えっ、あの…わざわざいいですよ!!私が作りますっ 」

「 えぇ?波ちゃんが? 」

「 はいっ!!私がですっ 」

「 … 」

城野さんは頭を抱え、考え込み、数分後答えを出した。

「 じゃあ頼もうかなぁっ 」

「 はい!! 」

初めて城野さんに頼まれたっ…。
人生で”頼まれた”でここまで喜んだ事はあっただろうか?

「 張り切りますっ!!! 」

そう言って、急いで台所にたった。

「 えーと…材料はっ…と。パンと…ジャム…だけ? 」

冷蔵庫を見ると、パンとジャムだけ。
ほかの場所も見たが、本当にそれだけだった…

「 …ごめんなさい、城野さん。 」

そう呟き、パンにジャムを塗っただけというシンプルな朝ごはんを出した。

「 …お、おお。おいしそうっ 」

「 無理しなくて大丈夫ですよ…。いつもと変わらないご飯でしょう? 」

そう尋ねると、優しく微笑んで言った…

「 波ちゃんが作ってくれた物なら、どれでも嬉しいよ。 」

「 っ… 」

一瞬…王子様に見えた…。
決まっている王冠に、赤いマント、それに白馬…

「 パクッ…。うん!!やっぱおいひぃ~!! 」

そう無邪気に笑いながらガツガツ食べる城野さん。
本当に、この人は紳士で王子様だなぁ…。

改めて感じさせられる私であった。


…その頃、夏木とカイト。

「 …はぁ。 」

昨日、波とカイトとあんな事になって…
気まずいなぁー、会いたくないなぁー、しんどいなぁー。

「 …はああああ。 」

「 ヒィッ 」

後ろからも同じようなため息が聞こえた。
ゆぅ~っくりと、振り返って、その人物を見た。

「 …カイト 」

「 うっ、夏木… 」

( やっぱカイトも会いたくなかったんだなぁ。 )

そう心の中で呟いた私…。
カイトの顔を見れば、わかることだけど…これほど分かりやすい態度とは。

「 な、夏木ー!!!昨日は面白いテレビッ… 」

「 はああああああ。 」

「 な、なんだよ。 」

「 あのさぁ、触れたくないなら”昨日”ってワード使わなかったら? 」

両手で腕を組み、睨みつけた。
カイトは「 ウッ 」と怯む声をあげ、K.Oになった。

「 …うぅ。 」

「 …じゃあ、私は行くね 」

「 ま、待てよ…夏木… 」

「 …? 」

※実話ではありません(続く)




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