Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


君は海に似ている。 *18話*

主な登場人物
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
-----------------------------------------------------------------
第十八章 『 優しさ 』

「 …ほ、本当にいいの?/// 」

城野さんが顔を赤らめて、私に尋ねる。
私はただただ赤面し、小さく頷く──。

「 ありがとう 」

そう言って、微笑んでくれた城野さん。
やっぱり、この笑顔には私は弱いみたいだ。

「 っ… 」

その微笑みに負けないよう、私も微笑みを返した。

「 じゃあ…これからは”波ちゃん”って呼ぶね。 」

「 あ、わかりましたっ。城野さん。 」

「 …… 」

「 えっ? 」

突然黙り込んだ城野さん。
次第に、深いため息を溢し始めた──。

「 あ、あの、城野さん…? 」

「 城野さんじゃなくて、雄って呼んでよ。 」

「 えっ!?///// 」

その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった。
”城野さん”からいきなり”雄”だなんて恥ずかしすぎる…!!!

「 ゆ…ゆ… 」

でも、呼ばなくちゃ…
波ちゃんって呼んでくれているのに…

「 ゆ…ゆっ…!!! 」

…クシャッ

「 っ…? 」

突然頭に触れた大きな手。
見上げると、私の目の前には笑っている城野さんの顔があった。

「 あははっ、ごめんごめん。無理しなくていいよ。 」

「 …え、えと。すみません。まだ恥ずかしくて//// 」

「 ゆっくり…距離を縮めればいいよ。 」

そう言って、また優しく微笑んでくれた。

「 …ありがとうございます。 」

助けられてばっかりだな…私…。
でも、これからは絶対私が…城野さんを支える…。

「 じゃあ、また帰ろう? 」

「 …ありがとうございます。 」

そう言って、私達は城野さんの自宅へ向かった…。
特に何もなく、ただただ笑い合って過ごした夜だったが──
それだけでもいいって思えた。…相手が城野さんだったからかもしれない。

…翌日

「 ──ちゃん?…みちゃん…? 」

「 んー…、後5分… 」

「 波ちゃん? 」

「 …うわああ!! 」

目を覚ますと、真近にあった城野さんの顔。
一気に顔が赤くなっていくのがわかった。

「 ごめん、脅かしちゃった? 」

「 い、いえ…/// 」

自分の頬に触れながら、顔を赤くしていく…

「 今日学校でしょ?だから、早めに起こしたんだけど…。そういや制服は? 」

「 あ、制服なら…持ってきた大きな鞄に入ってます。 」

「 そうかっ。ならよかったよ。 」

そう言って、コーヒーを淹れながら、呟いた。

「 それで…、学校とかはいけそうなの? 」

そう尋ねながら、コーヒーを差し出した城野さん。

「 あ、ありがとうございます…。 」

受け取り、口に注ぎ込んだ。

「 ゴクリ…。ん、おいしいです。 」

「 へへ、そうかい。…で、学校はいけそうなのか? 」

「 …え、えと 」

正直、「 行ける 」って言ったら嘘になってしまう。
だって、学校に行ったら…あの二人と会ってしまうから…。

でも、ここで行けるって言わなきゃ城野さんを心配させちゃうよ…

「 い、い、い…いけま… 」

「 わかった、じゃあ今日は休みな。 」

「 …え? 」

「 学校には電話しといたげる。保護者としてね。 」

冗談っぽくそう笑って、自分の分のコーヒーを淹れなおした。

私の気持ち、ちゃんとわかってくれていたんだ…。
私は城野さんの背中を見つめ、改めて思った──。
優しい男性だな…と。

※実話ではありません(続く)




月別アーカイブ

2019

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.