君は海に似ている。 *18話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/05 12:53:59
✿主な登場人物✿
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十八章 『 優しさ 』
「 …ほ、本当にいいの?/// 」
城野さんが顔を赤らめて、私に尋ねる。
私はただただ赤面し、小さく頷く──。
「 ありがとう 」
そう言って、微笑んでくれた城野さん。
やっぱり、この笑顔には私は弱いみたいだ。
「 っ… 」
その微笑みに負けないよう、私も微笑みを返した。
「 じゃあ…これからは”波ちゃん”って呼ぶね。 」
「 あ、わかりましたっ。城野さん。 」
「 …… 」
「 えっ? 」
突然黙り込んだ城野さん。
次第に、深いため息を溢し始めた──。
「 あ、あの、城野さん…? 」
「 城野さんじゃなくて、雄って呼んでよ。 」
「 えっ!?///// 」
その言葉を聞いた瞬間、固まってしまった。
”城野さん”からいきなり”雄”だなんて恥ずかしすぎる…!!!
「 ゆ…ゆ… 」
でも、呼ばなくちゃ…
波ちゃんって呼んでくれているのに…
「 ゆ…ゆっ…!!! 」
…クシャッ
「 っ…? 」
突然頭に触れた大きな手。
見上げると、私の目の前には笑っている城野さんの顔があった。
「 あははっ、ごめんごめん。無理しなくていいよ。 」
「 …え、えと。すみません。まだ恥ずかしくて//// 」
「 ゆっくり…距離を縮めればいいよ。 」
そう言って、また優しく微笑んでくれた。
「 …ありがとうございます。 」
助けられてばっかりだな…私…。
でも、これからは絶対私が…城野さんを支える…。
「 じゃあ、また帰ろう? 」
「 …ありがとうございます。 」
そう言って、私達は城野さんの自宅へ向かった…。
特に何もなく、ただただ笑い合って過ごした夜だったが──
それだけでもいいって思えた。…相手が城野さんだったからかもしれない。
…翌日
「 ──ちゃん?…みちゃん…? 」
「 んー…、後5分… 」
「 波ちゃん? 」
「 …うわああ!! 」
目を覚ますと、真近にあった城野さんの顔。
一気に顔が赤くなっていくのがわかった。
「 ごめん、脅かしちゃった? 」
「 い、いえ…/// 」
自分の頬に触れながら、顔を赤くしていく…
「 今日学校でしょ?だから、早めに起こしたんだけど…。そういや制服は? 」
「 あ、制服なら…持ってきた大きな鞄に入ってます。 」
「 そうかっ。ならよかったよ。 」
そう言って、コーヒーを淹れながら、呟いた。
「 それで…、学校とかはいけそうなの? 」
そう尋ねながら、コーヒーを差し出した城野さん。
「 あ、ありがとうございます…。 」
受け取り、口に注ぎ込んだ。
「 ゴクリ…。ん、おいしいです。 」
「 へへ、そうかい。…で、学校はいけそうなのか? 」
「 …え、えと 」
正直、「 行ける 」って言ったら嘘になってしまう。
だって、学校に行ったら…あの二人と会ってしまうから…。
でも、ここで行けるって言わなきゃ城野さんを心配させちゃうよ…
「 い、い、い…いけま… 」
「 わかった、じゃあ今日は休みな。 」
「 …え? 」
「 学校には電話しといたげる。保護者としてね。 」
冗談っぽくそう笑って、自分の分のコーヒーを淹れなおした。
私の気持ち、ちゃんとわかってくれていたんだ…。
私は城野さんの背中を見つめ、改めて思った──。
優しい男性だな…と。
※実話ではありません(続く)