Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *28話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第二十八章 『 一輝 』

「 うぅっ…グスッ… 」

…シャッ

「 どうしたの?大丈夫? 」

開いたカーテンの先にたっている真っ白な白衣を着た人…。
少し、ぼやけて見えないけど誰だかはすぐに分かる。

「 き…北山先生… 」

それは、保健室の先生の名前だった。
北山美羽…若くて、美人な先生で、まさに学校のマドンナ先生だ。
まあ…小林先生と同等って感じの人気さなんだけどね。

「 泣いてるじゃない。どうかしたの? 」

「 い、いえっ。たいした事じゃっ… 」

「 さっき、日村君も泣いてたわ。 」

「 …え? 」

あのあまり感情を表に出さない日村が…泣いていた…?
私、それほどにも日村をズタズタにしていたの…?

「 嘘… 」

「 嘘じゃないわよ。 」

そう呟き、先生は保健室の台所に立った。
トポポポポ....と、コーヒーを淹れる音が耳に入る…。

「 …はい、一旦落ち着きなさい。 」

そう言って、差し出してくれた。

「 ありがとうございます… 」

溢れる涙を手の甲で拭い、私はコーヒーカップを手に取った。

「 ズズズ... 」

コーヒーをゆっくりと口に運び、注いだ。
コーヒーの味は私をゆっくり落ち着かせてくれた…。

この温もりが、私に安心感をくれた。
正直、こんな優しさに浸ってはいけないんだろうけど…。

「 落ち着いたかしら? 」

「 は、はい。あの…先生…? 」

「 ん? 」

「 今日は一日寝させてもらっていいですか? 」

そう尋ねると、北山先生は深いため息をし、椅子に腰を下ろした。
相変わらず眉間のヒビを強くしている…

「 はああ…。あのねぇ、あなた授業はどうするの? 」

「 だ、大丈夫です!!!今の私は…そんなの…気にしてられる立場じゃないし… 」

「 …はあ。わかった。今日だけよ!! 」

北山先生はビシッと私に指を指した。
私はパアッと顔を明るくし、先生に一礼した。

「 ありがとうございます!!! 」

顔をあげると、北山先生は笑っていた──。
本当に…いい先生に恵まれたなぁ…。

…キーンコーンカーンコーン♪

「 じゃあ、先生は仕事してくるわね。寝ときなさいよー。 」

「 あ、はい… 」

…ガラッ…ピシャン。

北山先生はいなくなり、一人の空間に包まれた。
私の首元には十字架のネックレスが光っている…。

「 …竜生 」

それをただ見つめて、握り締める…。
あの時の竜生の傷ついた顔…忘れられない。
あの引越しの時と同じ顔だった──。

日村の傷ついた顔…それに、泣いてたという事実。

この二つは私の引き起こした事態なんだ。
なんて女なの…私は…

「 はあああ、最悪だよ… 」

「 何が最悪なんだよ。 」

…シャッ

「 …ひ、日村。 」

カーテンの向こう側には日村が立っていた。
私を見下ろしている。

「 あ、あの…その… 」

「 最悪なのはこっちだろ? 」

「 ち、違う!!最悪っていうのは自分のことで… 」

…クシャッ

「 …っ 」

………え?

「 バーカッ、わかってるつぅーの。 」

「 っ…!!! 」

突然なでられた頭、そして日村の無邪気な笑顔…。
どうして…?どうしてそんな顔ができるの…?
こんな最悪な女に…どうしてよ…

「 日村…私は…日村が好きだよ。 」

「 …うん。 」

「 でも、竜生も好きなの。もちろん、日村とはまったく別の意味で…!! 」

「 …うん。 」

「 だからっ…このネックレスの事とかで…責めないであげてほしい。 」

「 …え? 」

日村の顔は次第に青ざめていった…。
今の私の言葉にショックを受けたみたいだった…

「 ご、ごめん!!!!このネックレスは私の思い出の品でっ… 」

…カシャン。

「 …え? 」

突然、日村の真下に落ちたネックレス…。
そのネックレスは小さくて真っ赤な苺の形をしていた…

「 ひ、日村…これ… 」

「 なんでもねぇー!!! 」

慌ててネックレスを広い、ポケットに直した。

「 ひ、日村… 」

「 なんでもねぇから!!そうか、そのネックレス…大事な物なんだよな!!! 」

「 ち…がう… 」

もう…なんでこんな時に言葉に詰まるの…!?

「 無理するな、苺華。俺はお前が好きだから… 」

「 日村、違うっ… 」

「 …いいからいいから。じゃあ、俺は── 」

「 一輝…!!!! 」

「 …えっ? 」

私は慌てて口を両手で覆った。
突然出た言葉…いや、呼び名だろうか。

「 一輝。 」

まさか私の口から出るとは思ってなかった。

「 …お前、今… 」

ただただ立ちすくむ日村。
もうしょうがない、ここまできたら…

「 かず…き…。待って。 」

一輝って呼ぼう。

「 …え?な、何? 」

戸惑いを隠せない一輝。
でも…私も伝えなくちゃいけない。

「 私も…一輝が一番…好きだよ… 」

「 …え? 」

目をうるうる潤ませなから、私は一輝を見つめた。

その時思ったのは一つ…

『 君は大事な人。 』

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/14 04:06
一輝じゃなくて一樹なのでは?
アバター
2013/08/05 14:04
おおっ!
やっぱり日村君は優しいですね!
苺華ちゃんは日村君に告白したけど
竜生くんはどうなるんだろう??



月別アーカイブ

2019

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.