ストロベリーラブ *27話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/02 21:40:27
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十七章 『 揺れ動く三角関係 』
…翌日
「 …竜生 」
私は十字架のネックレスを握り締めながら、いつもの通学路を歩く…
結局、日村とわかりあうことさえできず、一日が過ぎた。
…いや、昨日は和解しようとさえしなかった。
竜生の事で頭がいっぱいになって…
昨日はずっと考え込んでいた。眠れないほどに…
今日だってそうだ。
十字架を握り締めるたび思い出すあの頃──
『 これ、俺がいない間俺と思ってつけてて!!! 』
そう言って、強引に私の手の中に入れて、走って逃げた竜生の背中…
あの頃はまだ子供で、とても小さな背中だったけど、すごく逞しく見えたんだ。
思い出すだけで…感情が溢れそうになる…。
「 …っ 」
こんなにも深い想いだったのに…私は彼を忘れていた。
いない存在とまでも…思ってしまっていたんだ…。
最低な女…。
…コツコツコツコツ
結局待ち合わせ場所に来ても、香理奈はいなかった…。
もう私は香理奈に何もしてあげられないのかな。
最後の最後に追い詰めたのは私だったのかもしれない──。
「 はあああ… 」
何してんだろ、本当に馬鹿みたい。
「 …苺華 」
「 …! 」
突然後ろから聞こえた声…。
安心する声のトーン…。これって日村の声…
「 日村っ…!!! …ぁ 」
振り返ると、そこに立っていたのは竜生だった。
竜生は「 はああああ 」と深いため息をして、うつむいた。
「 あ、ごめん…。りゅ…竜生… 」
「 え?思い出したのか? 」
「 …うん。 」
悲しそうな顔を一変させ、パアッと明るい顔に変えた竜生。
ニカッと笑いながら、私の隣に並んだ。
「 あー、よかった!!このまま思い出してくれなかったらどうしようと思ってた!! 」
「 うん、私もこんな深い想いを思い出せなかったら、人生損してたよ。 」
「 …あ、ネックレス。 」
私の首下を指差して、そう呟く竜生。
私は「 えへへっ 」と照れくさく笑って、ネックレスに触れた。
「 昨日見つけてー…。一気に思い出したから着けちゃったっ 」
「 …お前、そのネックレスつける意味…わかってるよなァ? 」
「 え? 」
「 お前…やっと決心してくれたって事だよなァ? 」
「 え…きゃ!!! 」
突然私の体を引き寄せた竜生。
前からこういうとこあったけど、ここまで強引なんて…
「 ちょ、離して!? 」
引き離そうと思っても離せない。
そして、私の耳元にある竜生の口がゆっくり開く──
「 そのネックレスで…約束した事…覚えてるか? 」
「 …あ/// 」
「 思い出したみてぇだな。 」
「 …りゅ、竜生/// 」
やばい、竜生そんな格好いいしゃべり方だった?声だった?顔だったっけ?
やばいやばいやばい、混乱してきちゃった…
…フラッ
「 え、苺華? 」
私は竜生の肩に靠れかかった。
意識が遠のいていってたのだ──。
「 苺華?どうしたんだよ? 」
最後に私が聞いたのは、その一言だった…
……………
「 …ん 」
目を覚ますと、そこには見慣れない景色が広がっていた。
真っ白な天井、明るいLEDライト…。
「 ここって… 」
「 やっと目ぇ覚ましたか。 」
「 …え? 」
隣を見ると、そこには竜生の姿があった…。
「 竜生…私… 」
「 突然倒れたんだよ。俺の肩でグッスリなァ… 」
「 キャー!!嘘!!そんな恥ずかしい事してたの!? 」
「 あぁ、もうグゥ~ッスリだったぜぇ。 」
「 ちょ、そんないじめる言い方… 」
…シャッ
「 …あ 」
突然開いたカーテンの先には、日村がいた。
ポケットに手を突っ込んでいる。
「 日…村… 」
「 …お、お前… 」
日村の視界に竜生が入った様子。
日村は竜生を睨んで…
「 てめぇ…何してんだよ… 」
…と言った。
「 あぁ?別に…。苺華が倒れたから運んでやっただけさァ。 」
「 …は?苺華? 」
「 あっ、違うの日村!!彼はっ… 」
「 悪い、苺華は黙ってて。 」
「 …日村 」
初めてここまで低い日村の声を聞いた──。
「 お前さァ…苺華の何だよ? 」
そう言って、日村にガンを飛ばす竜生。
それに負けず、ガンを飛ばす日村。
「 彼氏ですけど? 」
「 っ!!///// 」
…ドキッ。
今の日村の言葉にドキッとしてしまった。
今ので私ホッとした…。
よかった…私は竜生に気持ち行ってなかった…。
ずっと揺ら揺らしてたから、もしかしたら…って思っちゃってた…。
馬鹿だな、私。
「 …苺華の彼氏ィ?…本当か? 」
竜生がこちらを見て、私に尋ねる。
私は小さく頷いて、答えた。
「 うん、そうだよ…。 」
その瞬間…竜生は顔が真っ青になった…。
「 お前…じゃあ…そのネックレスは… 」
「 え…? 」
「 嘘…だったのか…? 」
「 え?え? 」
「 …また後で話そうぜ。 」
「 あっ… 」
竜生はそう言って、私から離れていってしまった…。
手を伸ばしても、もう届かない場所へ行ってしまった。
「 ネックレスって…お前…それ、アイツに関連してる物なのか? 」
「 …え、えと。そ…うなんだけど… 」
私は耳に髪をかけながら、詰まり詰まりに答えた。
「 …で、でも!!そんな特別な意味は… 」
「 ……。 」
…シャッ
「 あっ、日村待って…!! 」
日村は行ってしまった。
私に背中を向けて…出て行ってしまった…。
「 嘘…そんな…。 」
きっと、私に絶望したんだ…。
呆れたんだ…
「 うぅっ…グスッ… 」
※実話ではありません(続く)
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