Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *25話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十五章 『 凍てつく想い 』

…翌日

「 ふわあ… 」

昨日は色々ありすぎて、眠れなかった…。
いまだに頭がボーッとしている。

「 今何時だろう…? 」

通行路をトボトボと歩きながら、iPhoneを取り出す。
ただいまの時刻は、午前7時…。

「 …よかった、無事間に合いそう。 」

そう呟き、ポケットにiPhoneを直した。

…コツコツコツコツ

ローファーの音を鳴らしながら、待ち合わせ場所に向かう。
今日は香理奈…笑ってくれてるといいな…。

宮木君のことは忘れて…。

「 あっ、香理奈… 」

待ち合わせ場所にある花壇から少しだけ頭が見える。
すぐに分かる、香理奈の姿だ。

私は駆け足で、香理奈のほうへ向かった。

「 香理… 」

その瞬間…目に入った香理奈の姿は信じられない物だった…

「 …うぅ…グスッ…うぅぅ… 」

涙を太股に何粒も落とし、必死に手の甲でそれをぬぐう姿…。
手にはあのうさぎのカバーがついたiPhoneがある。

その姿を見れば、予想はできる。

原因は玲奈ちゃんと宮木君。
そして、それは…iPhoneになにか送られてきたか、見ちゃったかどっちかだろうな。

「 …うぅ…なんでよぉ…グスッ… 」

その泣き姿を見ていられなくなった私は、後ろの花壇に隠れた。
香理奈にバレないように…息を殺しながら…。

「 …グスッ…うぅぅ…宮木…君… 」

今私に見えるのは、花壇のレンガと、そこに咲くコスモス。
そして…僅かに出ている香理奈の頭部。

「 …宮木君…うぅ… 」

宮木君の名前を寝言のように何度も呟きながら、涙を啜る( すする )。
私には…何もしてあげる事ができないのかな…。

昨日、香理奈が私にしてくれたみたいに…何か…してあげられないの…?

「 …あれ?苺華 」

「 ぅわっ… 」

目の前に現れたのは、日村。
私は慌てて日村をしゃがました。

「 な、何だよっ… 」
「 シーッ!!! 」

人差し指を口元で立て、”静かに”とサインした。
日村は首をかしげ、不思議そうに私を見つめた。
そんな視線を導くかのように、私は香理奈のほうへ指を指した。

「 長谷川じゃねぇか…。何が悪いんだ? 」

小声で尋ねた日村。
私は日村の耳元で、こう答えた。

「 …泣いてるの。 」

「 えっ…!? 」

日村は小声で驚き、再び香理奈を見た。
僅かに見える頭部の先が泣いている衝撃で揺れる。

その度、日村は不安気な顔を浮かべる。
もちろん、私だってそうだ。

「 …どうにかしてあげられないかな? 」

「 …今は何もできねぇよ。とりあえず、行こうぜ。 」

私は頷き、日村と一緒に香理奈のほうへ歩いた。
まるで、今ついたと言わんばかりの態度を取って…。

「 …あ。苺華 」

「 あ、えと…遅れてごめんね。 」

必死に手の甲で涙をぬぐい、まるで泣いてなかったかのように振舞う香理奈。
でも、もし泣いていると分かってなくても、すぐに分かるくらいの涙の跡が残っている。

頬には涙が乾いた跡があり、化粧も崩れている。
手の甲にも、涙の乾いた跡があるし、スカートも涙でぬれている。
ずっと座っていたら、下に落とすとスカートに落ちるもんなぁ。

「 …香理奈 」

やっぱり、まだ最後まではさらけ出せないんだな。
私が…もっと頼れる存在だったら…ここで香理奈の錘を取ってあげれたのに。

「 …苺華。 」

「 えっ? 」

突然、口を開いた日村…。
私の腕を握って私にしか聞こえないようにこう呟いた。

「 …今は何も考えるな。後で俺も相談に乗るから。 」

「 日村…。 」

私は日村の言葉を信じ、香理奈の手を握ってこう言った。

「 香理奈、早く学校に行かなきゃ遅れるよ!! 」

まるで、涙の跡には気づいていないかのように装った。
香理奈は少し、安心したような顔を浮かべ、笑った。

「 そうだね、行こうか。 」

「 うん!! ほら、日村も行くよー 」

「 おう。 」

日村と、私と、香理奈で始めて通学をした。
もし…香理奈と二人きりの通学だったら色々考えこんで、
ずっと黙り込み、気まずい空気になってただろう。

…本当に日村がいてくれて、よかった。

「 …ん? 」

「 あ、いや!!なんでもない!!/// 」

つい、日村の横顔に見入ってしまった…。
日村って、女の子にあんま近づくタイプじゃないからモテたりはしないけど…
日村の顔って本当に整ってる。女の子に近づくタイプじゃなくてよかったぁ…。

「 なんかついてる? 」

「 あ、いえ。別にっ!! 」

また横顔に見入ってしまっていた。
無意識の内にやってしまってる…気をつけなきゃやばいかも。

「 …… 」

香理奈…やっぱり元気ないなぁ。
ずっと黙り込んでるし…。

「 …… 」

ずっとiPhoneを見つめている。
覗けば、元凶がわかるかもしれないが、それはダメだよね。


…学校到着。

「 あー!!着いた着いたぁ!! 」

わざと、大声でそう言った。
香理奈の元気を底上げするためだ。

…けど

「 …はあああ。 」

深いため息を零し続けている香理奈。
いまだにiPhoneは手放さず、ジィーッと見つめている。

「 香理奈、ほら。一回iPhone閉まってっ? 」

「 …いやだ。 」

「 もー!!香理奈、ダメだよ。そんな事ばっかしてちゃ── 」

「 ほっといてよ!!! 」

「 えっ…? 」

「 …あっ 」

突然、声を荒げた香理奈…。
その瞬間、一斉に皆が黙り込んだ…

周りの視線がこっちに向く。

「 …っ 」

…タッ

「 あっ、香理奈!!! 」

香理奈は全速力でどこかへ行ってしまった。
その背中を私は追いかけようと手を伸ばした…

けど…

…ガシッ

「 ひっ、日村っ!!!! 」

私の腕を握って、首を横に振る日村。
これは、”行くな”という合図なんだろう──。

「 どうして!? 香理奈があんなにっ… 」

「 今、お前が行くべきじゃない。 」

「 …へっ? 」

日村の遠まわしな言葉…。
鈍い私でもすぐに分かってしまった言葉の裏側。

「 今、お前が行くべじゃない。 」

その言葉の意味が…私の心をゆっくりと責めていく。
まるで…心にナイフがじっくりと刺されていくようだ…。

「 日…村… 」

次第に日村は腕を放し、私を見た。

「 …っ 」

その日村の視線が耐えられなかった。
とても…優しい目をしている…。

「 うぅ… 」

…タッ

私はその場から立ち去った。
逃げるかのように、一生懸命走った。

「 今、お前が行くべきじゃない。 」

そんなの、分かってる、分かってるよ…。
だって、ああいう風になってしまったのは私のせい。
私が、iPhoneを取り上げようとなんてしたから…香理奈は…

「 っ… 」

一気に階段を上りきり、私は屋上に着いた。
小さな段差のある場所に座り込み、鞄をポカッと置く。

「 はあああああ…何やってるんだろ、私… 」

両手で顔を覆い、ひざに顔を埋め込む。

すると──

「 何が? 」

「 へっ? 」

※実話ではありません(続く)

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2013/08/01 22:37
だれ!?
気になりますmm



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