今週のお題『線香花火』
- カテゴリ:サークル
- 2013/07/31 16:12:00
「ヒューーーー・バーーーーーン・パチパチパチパチパチパチ・・・・・・・・・」
夜空に見事に花火が次々と上がっていく。
赤・青・・・様々な色。
大きく広がり、そして消えていく。
今度は、朝顔の形・・・次はハートの形・・・
空一面に広がって、そして消えていく。
花火が上がると同時に、河岸にいる人々の歓声が聞こえる。
「綺麗だね」思わず空を見上げながらわ、私はあなたに話しかけた。
でも、その言葉は周りの音に消されて・・・あなたには届かなかった。
ふっと・・・あなたの口元を見ると、あなたの口も動いていた。
「えっ?何?聞こえない」
その時あなたは、私の頭を引き寄せて耳の元で「綺麗だよ、花火より君の浴衣姿のほうが」
花火が、上がるたびに暗がりの中にあなたの姿が浮かび上がる。
そして、今年も花火大会が終わってしまった。
「又今年も花火大会終わっちゃったね」
浴衣姿の二人を今度は、月が星が見守っていた。
「うん、終わっちゃった・・・花火大会って・・・その時は豪華できれいだけど・・・後がやっぱり淋しいね」
手をつないで帰り道・・・人の流れに身を任せながら他の人と同じ方向に歩いていた時
「こっち、こっち」
あなたは、強引に私を別の場所に連れいて行った。
もう、人のいなくなった河原で二人・・・
あなたは、ごそごそと浴衣の胸元から何かの束を出した。
ここがいいかな?
それは、『線香花火』の束・・・
「えっ?こんなに」
「二人だけの花火大会やろうよ」
「線香花火」に一本ずつ火をつけて・・・
小さな玉から、「パチパチ」と美しい火花が飛び散る・・・
「綺麗だね」
「うん」
二人で、河原にしゃがみながら一本・二本・・・
でも、「線香花火」は最後は火の玉がポトンと落ちてしまう。
・・・ちょっと、空しいな・・・そう思った時。
「線香花火、空しいけれどほらいくらでもあるよ、いつでも君と一緒に見る事ができるよ。
地味だけど・・・こうして二人だけで楽しめる。火の玉が落ちたら、また新しい線香花火に火をつければいい。君と一緒にね」
「そうだね、大きな花火も一瞬で終わり・・・・・・・・。線香花火も最後ポタンって火の玉落ちちゃうけれど、またいつでも二人で見ることできるね」
「今日は、このくらいにしておこうか・・・残りは、また今度」
もう、すっかり人がいなくなった河原を二人で寄り添いながら帰り道を急いだ。
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『線香花火』は、二人の人生分の本数。
火の玉が落ちるのは、夕暮れの日没。
そして、翌日また新たに『線香花火』に火を付ける・・・
コメントありがとうございます。
大きな花火は、二人とも空を見上げてちょっと距離あるかもです。
でも、線香花火はおでこをくっつけるくらい近くで楽しめますものね♪
とてもきれいな作品で読んでいくうちに自然と呑みこまれていきます。
大きな花火を並んで見るのもいいけれど、小さな線香花火を近くで眺めるのもいいかもしれませんね^^
コメントありがとうございます。
確かに、花火大会ってあっと終ってしまいます。
昨日も、我が街の花火大会でした。
でも、線香花火は・・・何となく地味ではありますが、その中に魅力がたくさん隠れているように思います。
花火の後の淋しさって確かにあるなぁって読んでて思いました。
線香花火の魅力を引き出していますね。
コメントありがとうございます。
そうですね、「線香花火」をやっている時はほかの花火と違って、くっついてやりますものね。
おでことおでこがくっつくぐらい。
私も、意外と長く最後の火の玉・・・もつ方です。
線香花火が間にあるだけで、二人気持ちだったり、距離だったりがとても近くて優しく思えます。
大人の夜のデート、いいな~
コメントありがとうございます。
今の『線香花火』は、こよりの中に火薬が入っていますが、私がまだ子供だった頃は細い棒の先に4センチぐらいかな?火薬がついていて・・・だんだん、その火薬が玉となり上へ上へと上がっていきました。
みんなで、同時につけて誰の『線香花火』が一番長く球を付けていられるかよく競い合ったものです。
地味だけど・・・夏ならではの楽しみでした。
地味な線香花火もステキだなと思います。
そんな気持ちを私も詠んでみました♫
よろしければ、お立ち寄り下さいませ。