Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *24話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第二十四章 『 差し込む光 』

「 …い、苺華? 」

香理奈は蹲って( うずくまって )両耳を塞ぐ私を見て、動揺している様子。
戸惑い、周りをキョロキョロ見渡している…

「 いやあ…ああっ…いやああぁ… 」

私は自分の理性が保てない状態。
頭で何度も同じ光景がフラッシュバックする──。

どんだけ強く両耳を塞いでいても、聞こえるのは父と母の苦しむ声…

『 お前を信じれない… 』『 うぅ…あなた… 』

「 はあっ、はあっ、はあっ… 」

母に告げられた父の最低な言葉。
『 信じられない。 』その言葉を聞いて泣きじゃくる母の姿…
幼かった私には、全てが理解できなかったけど──、雰囲気はつかめた。

いや、掴んでしまっていたんだ。
緊迫した空間の中、テーブルの上には離婚届。
父が母を信じれないと言ったのは、きっとあの女に何か吹き込まれたから。

でも…少なくとも、父はそれを信じて離婚届を渡したんだ。
あの女の…言葉を信じて、そして、父は女の正体を知って、死んだ。自ら。

母はそこから心がズタズタになってよく体を崩すようになった。

「 うぅ… 」

こんな時に…私は何をしてるんだろう…?
わかってるけど、体がいう事を聞いてくれない。

震えは止まらず、あの場面が何度も、何度も浮かんで…
馬鹿みたいに…涙がボロボロと溢れ出す。

 …っ 」

…タッ

「 …え? 」

香理奈は突然立ち上がり、部屋かた出て行った。

「 香、香理奈…っ 」

私は蹲り、両耳を塞いでブルブル震えたまま、扉のほうを見た。

…パタン。

見たと同時に、扉は閉まり、香理奈の姿はなかった。
もしかしたら、引かれたのかも…、いや、呆れられちゃったのかな…。
どっちにしろ、いい意味ではないんだろうなぁ。

…馬鹿だな。励ますとか言って来て…逆にこんな事なっちゃって。
香理奈…もう私の事嫌になっちゃったのかなぁ…。

「 …うぅ 」

……ガチャ。

「 あっ… 」

突然開いた扉…。
香理奈はiPhoneを手に、私を見下ろしている。

「 香理奈… 」

「 何変な顔してんのよー 」

そう言って、「 あははっ 」と笑った──。
香理奈は私にiPhoneを見せた。

「 え…? 」

小さく首をかしげると、香理奈はニカッと笑って…

「 あんたの愛しの人に電話してやったからね!! 」
 
そう言った。
本当に、情けなかった──。
香理奈の笑顔を見ていると、酷く情けなくなる。

「 …ごめんなさい。 」

咄嗟に出た言葉…。
香理奈はゆっくりと横に首を振って、微笑んだ。

「 苺華、ごめんなさい。もうあんな事はしないからね。 」

そう言って、私の肩を『 ポンポン 』と2回叩いた。
その行為は、まるで私に『 大丈夫だから 』と言ってるようだった。

もう…大丈夫なのかな…。
信じなきゃいけないよね…、香理奈のこと。

「 うん…わかった。ありがとう。 」

そう伝えると、香理奈はまた微笑んだ。

そして、数分後──

…ピーンポーン。

「 お、ほら!!愛しの人が来たぞっ!! 」

さっき言われた通り、日村が香理奈の家に来た。
私は上着と鞄を手に取り、急いで玄関へ向かった。

「 香理奈、ありがとう!! 」

振り返り、玄関まで来てくれた香理奈に言った。
香理奈は笑って答え、手を振った。

そして、家を出た。

…ガチャ。

「 …日村っ 」

香理奈の家の前には、クタクタで『 ゼェゼェ 』言ってる日村の姿が…
前みたいに…飛んで来てくれたんだ…。
また、迷惑を掛けてしまった。

「 あ、苺華!!!大丈夫か!?長谷川が苺華がおかしくなったって… 」

「 ちゃんと見てあげてねっ 」

「 あ。香理奈… 」

扉から少し顔を出し、日村にそう伝えた。
彼は、微笑み、黙って頷いた。

この人達には本当に感謝しなくちゃいけないなぁ…。

「 …苺華、じゃあ帰ろうか。 」

「 あ、うん。 」

私は日村の隣に並び、一緒に歩いた。
人気のない一本道…。日村と少し気まずい空気。

わざわざ呼び出された理由が『 おかしくなった!! 』だったらやっぱり…
日村も少しは引いちゃったりしたのかな・・・。

「 … 」

日村の横顔をチラ見する…。

( うぅ、やっぱり聞けないよ… )

何度もチラ見をして、言おうとするが…やはり無理。
父の事を思い出して、狂いましたなんていったらもう…終わりな気がして…

「 どうした?苺華。 」

「 へっ? 」

「 さっきから俺のことチラチラ見て…、なんか言いたそうだな? 」

「 …べ、別に。 」

「 さっきの事気にしてるなら心配するな。 」

優しい声で言ってくれた。
まるで、包み込むかのように──。

やっぱり…ここで言わなかったら…私、ダメな子になる!!!!!

「 あ、あの… 」

「 ほれ、着いたぞ。 」

「 …あ。 」

言おうとした瞬間…もう私の家の前だった。

…すっかり忘れてた。
私の家と、香理奈の家が近いこと…

「 うぅ…くそぅ… 」

「 ん?どうした? 」

「 あ、いや。何でもないっ!!! 」

「 ん、そうか。じゃあまたな。 」

…ポンポン。

「 っ…!!//// 」

彼の大きな手が私の頭を2回叩いた。
自分でも分かるほど、顔が赤くなっている…。

「 じ、じゃあ…またねっ…!!! 」

「 おう。 」

私は逃げるかのように、家の中に入っていった。
まだ頭に残っている日村の感触──。

…とても、嬉しかった。
私、日村を好きになってよかったな…。

「 ふふふっ…♡ 」

「 うわあ、気持ち悪ぃ… 」

「 に、兄ちゃん… 」

結局私のオチはこんな感じなんだよなぁ…(泣)
たまには少女漫画みたいなオチになってくれよ…。

※実話ではありません(続く)

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2013/07/31 15:57
日村君も香里奈ちゃんも優しい^^



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