ストロベリーラブ *24話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/31 15:51:55
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十四章 『 差し込む光 』
「 …い、苺華? 」
香理奈は蹲って( うずくまって )両耳を塞ぐ私を見て、動揺している様子。
戸惑い、周りをキョロキョロ見渡している…
「 いやあ…ああっ…いやああぁ… 」
私は自分の理性が保てない状態。
頭で何度も同じ光景がフラッシュバックする──。
どんだけ強く両耳を塞いでいても、聞こえるのは父と母の苦しむ声…
『 お前を信じれない… 』『 うぅ…あなた… 』
「 はあっ、はあっ、はあっ… 」
母に告げられた父の最低な言葉。
『 信じられない。 』その言葉を聞いて泣きじゃくる母の姿…
幼かった私には、全てが理解できなかったけど──、雰囲気はつかめた。
いや、掴んでしまっていたんだ。
緊迫した空間の中、テーブルの上には離婚届。
父が母を信じれないと言ったのは、きっとあの女に何か吹き込まれたから。
でも…少なくとも、父はそれを信じて離婚届を渡したんだ。
あの女の…言葉を信じて、そして、父は女の正体を知って、死んだ。自ら。
母はそこから心がズタズタになってよく体を崩すようになった。
「 うぅ… 」
こんな時に…私は何をしてるんだろう…?
わかってるけど、体がいう事を聞いてくれない。
震えは止まらず、あの場面が何度も、何度も浮かんで…
馬鹿みたいに…涙がボロボロと溢れ出す。
「 …っ 」
…タッ
「 …え? 」
香理奈は突然立ち上がり、部屋かた出て行った。
「 香、香理奈…っ 」
私は蹲り、両耳を塞いでブルブル震えたまま、扉のほうを見た。
…パタン。
見たと同時に、扉は閉まり、香理奈の姿はなかった。
もしかしたら、引かれたのかも…、いや、呆れられちゃったのかな…。
どっちにしろ、いい意味ではないんだろうなぁ。
…馬鹿だな。励ますとか言って来て…逆にこんな事なっちゃって。
香理奈…もう私の事嫌になっちゃったのかなぁ…。
「 …うぅ 」
……ガチャ。
「 あっ… 」
突然開いた扉…。
香理奈はiPhoneを手に、私を見下ろしている。
「 香理奈… 」
「 何変な顔してんのよー 」
そう言って、「 あははっ 」と笑った──。
香理奈は私にiPhoneを見せた。
「 え…? 」
小さく首をかしげると、香理奈はニカッと笑って…
「 あんたの愛しの人に電話してやったからね!! 」
そう言った。
本当に、情けなかった──。
香理奈の笑顔を見ていると、酷く情けなくなる。
「 …ごめんなさい。 」
咄嗟に出た言葉…。
香理奈はゆっくりと横に首を振って、微笑んだ。
「 苺華、ごめんなさい。もうあんな事はしないからね。 」
そう言って、私の肩を『 ポンポン 』と2回叩いた。
その行為は、まるで私に『 大丈夫だから 』と言ってるようだった。
もう…大丈夫なのかな…。
信じなきゃいけないよね…、香理奈のこと。
「 うん…わかった。ありがとう。 」
そう伝えると、香理奈はまた微笑んだ。
そして、数分後──
…ピーンポーン。
「 お、ほら!!愛しの人が来たぞっ!! 」
さっき言われた通り、日村が香理奈の家に来た。
私は上着と鞄を手に取り、急いで玄関へ向かった。
「 香理奈、ありがとう!! 」
振り返り、玄関まで来てくれた香理奈に言った。
香理奈は笑って答え、手を振った。
そして、家を出た。
…ガチャ。
「 …日村っ 」
香理奈の家の前には、クタクタで『 ゼェゼェ 』言ってる日村の姿が…
前みたいに…飛んで来てくれたんだ…。
また、迷惑を掛けてしまった。
「 あ、苺華!!!大丈夫か!?長谷川が苺華がおかしくなったって… 」
「 ちゃんと見てあげてねっ 」
「 あ。香理奈… 」
扉から少し顔を出し、日村にそう伝えた。
彼は、微笑み、黙って頷いた。
この人達には本当に感謝しなくちゃいけないなぁ…。
「 …苺華、じゃあ帰ろうか。 」
「 あ、うん。 」
私は日村の隣に並び、一緒に歩いた。
人気のない一本道…。日村と少し気まずい空気。
わざわざ呼び出された理由が『 おかしくなった!! 』だったらやっぱり…
日村も少しは引いちゃったりしたのかな・・・。
「 … 」
日村の横顔をチラ見する…。
( うぅ、やっぱり聞けないよ… )
何度もチラ見をして、言おうとするが…やはり無理。
父の事を思い出して、狂いましたなんていったらもう…終わりな気がして…
「 どうした?苺華。 」
「 へっ? 」
「 さっきから俺のことチラチラ見て…、なんか言いたそうだな? 」
「 …べ、別に。 」
「 さっきの事気にしてるなら心配するな。 」
優しい声で言ってくれた。
まるで、包み込むかのように──。
やっぱり…ここで言わなかったら…私、ダメな子になる!!!!!
「 あ、あの… 」
「 ほれ、着いたぞ。 」
「 …あ。 」
言おうとした瞬間…もう私の家の前だった。
…すっかり忘れてた。
私の家と、香理奈の家が近いこと…
「 うぅ…くそぅ… 」
「 ん?どうした? 」
「 あ、いや。何でもないっ!!! 」
「 ん、そうか。じゃあまたな。 」
…ポンポン。
「 っ…!!//// 」
彼の大きな手が私の頭を2回叩いた。
自分でも分かるほど、顔が赤くなっている…。
「 じ、じゃあ…またねっ…!!! 」
「 おう。 」
私は逃げるかのように、家の中に入っていった。
まだ頭に残っている日村の感触──。
…とても、嬉しかった。
私、日村を好きになってよかったな…。
「 ふふふっ…♡ 」
「 うわあ、気持ち悪ぃ… 」
「 に、兄ちゃん… 」
結局私のオチはこんな感じなんだよなぁ…(泣)
たまには少女漫画みたいなオチになってくれよ…。
※実話ではありません(続く)

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- ⋈ふぅღ
- 2013/07/31 15:57
- 日村君も香里奈ちゃんも優しい^^
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