ストロベリーラブ *23話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/30 22:08:22
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十三章 『 思い出すあの日 』
ゴトッ.....
「 あっ… 」
香理奈の部屋にポツンと置かれた赤い鞄をこかしてしまった。
中から出てきたのは手帳や、化粧ポーチ、それと…
「 あ、これ… 」
iPhone…。うさぎの耳がピョンと出たiPhoneカバー。
このiPhoneカバーは私とお揃いで買ったもの。
つまり、友情を誓い合った証って奴。
香理奈のはイメージカラーで、オレンジ。実際、香理奈もオレンジ色が好きだった。
私は自分の好きな、黒い色。私はこの色に一番魅力を感じた。
私はそのiPhoneをポケットから取り出し、香理奈のと見合わせる。
なんだか友情を再確認できた気がした──。
…忘れかけてた。
私、さっきの香理奈を見て聞くの迷ってしまってた。
それじゃ、ダメなんだ。香理奈の話を聞いて、ちゃんと解決してあげなきゃ。
一緒に立ち向かわなきゃ、ダメだ。
「 …苺華? 」
背中に浴びせられた香理奈の声。
私は同時に振り返った。
「 香理奈、これ覚えてる? 」
私は香理奈のiPhoneを差し出した。
すると、香理奈はそのiPhoneを取り上げ、言った。
「 いやいや、何勝手に見てるのよ!! 」
「 あ、ごめん。でも見てないよ!!鞄こかしちゃっただけ… 」
「 あ、そう。…で、覚えてるって何が? 」
「 カバーだよ!!誓い合ったでしょ!?友情を!! 」
「 ああ。 」
そう言って、香理奈はお茶を置いてからテーブルの前に座った。
綺麗に紅茶が輝き、クッキーがいい香りを漂わす。
私はiPhoneを握り締めたまま、香理奈を見た。
香理奈はずっとiPhoneを見つめている。
そして、深いため息をついた。
「 はあああ…。 」
「 ね、私、香理奈が辛いなら一緒に戦うから!!だから、教えて? 」
私はテーブルから取り乱し、香理奈へ顔を近づけた。
「 …い、苺華… 」
香理奈はギュッと服を掴み、うつむく。
目をギュッと閉じて口を開き始めた──。
「 …ごめんね、あの…苺華に迷惑かけちゃって… 」
ギュッと閉じている目には僅かな涙が浮かび上がっている。
服を掴んでいる手はブルブルを震え始めている。
やっぱり、あの事故を思い出してるのかなぁ…。
「 香理奈、大丈夫だから。 」
そう言って、私は香理奈の背中を摩った。
香理奈はポツポツと床に涙を落とし、小さく頷く。
「 うぅ…私…あの事故っ… 」
「 …うん 」
その先、なんて言うのか私にはなんとなくわかっていた。
香理奈の事故…たんなる偶然じゃない。
私はあの時、そう考えてあの場所へとUターンしたんだ。
頭に…『 自殺 』っていう言葉を思い浮かべながら。
「 …あの事故、わざとだったの。 」
「 やっぱりな。 」と思った。
正直、予想はしてたし、わかってた。
香理奈…死ぬ気だったんだ。あの時…本気で…
思い出してしまう、あの光景。
自分の真後ろで血をドクドクと流して倒れている親友の姿…。
思い出すだけで、震えが止まらない。
「 苺華…? 」
香理奈は私の震えに気づいたらしく、私を見た。
馬鹿だな、私。
私が震えてどうするんだ。
支える人が、崩れそうだったら意味がないじゃない…
「 だ、大丈夫だからね!!香理奈!! 」
そう言って、まだ少し震えている手で香理奈の背中を摩った。
香理奈は小さく頷き、手の甲で涙を拭った。
「 ごめんね、あの時…本当に私ってば… 」
香理奈がブルブル声を震わせて言う。
私は激しく横に首を振って、香理奈に言った。
「 悪いのは香理奈じゃないよ!!確かに心配したけど…。でも… 」
でも…
でも何だ…?私、これ以上何を言おうとしてる…?
ズタズタに傷ついている香理奈に今の私に何が言えるの…?
話聞くとか偉そうに来たけど…私、何してるんだろう…?
「 苺華…? 」
「 …香理奈、よく聞いて欲しい。 」
もういい。もうここからは、自分の言いたいことをさらけ出そう。
もう…遠慮なんかしない。香理奈のためにも…
「 私、香理奈が第二理科室に入った時から嫌な予感はしてたよ。 」
「 …… 」
香理奈はそれを聞いて、少し気まずそうにする。
「 だから、あの時…香理奈のほうへUターンした。本当に心配した。
おばさんにも電話して…香理奈帰ってきてないか聞いてた。
…そんな時に、後ろで大きな音がしたの。何かに当たった…鈍い音。 」
今でも思い出す…あの音。
鈍器で殴られた時のような…鈍い音。
「 …まさかと思って振り向いたら…血だらけの…香理奈がっ… 」
「 苺華… 」
「 …香理奈お願い、もうあんなのしないで!!!! 」
「 苺華っ… 」
正直な気持ち…これが本音…。
言おうと思ってたけど、いえなかった言葉。
本気で、もうあんな事しないでほしい。
「 …香理奈、この願い聞いてくれるよね? 」
そう尋ねると、香理奈は固まって答えた。
「 …イヤ…だ。 」
「 えっ…? 」
香理奈の小さな声はしっかりと私の鼓膜に染み付いた。
『 …イヤ…だ…。 』
どういうつもりでいったんだろう…。
それってつまり…また香理奈は…ああいう事故を起こそうとしてるの?
いやいや、死ぬ方法だったら何でもいいのかもしれない。
…もしかしたら、私が帰った瞬間、あのタンスにあるベルトで…
「 うっ… 」
不意に、お父さんが首をつってる所を思い出す。
私はもう…限界だった。
「 きゃああああああああああああ!!!! 」
両耳を塞いで、うずくまった。
終わった事だとしても、思い出すあの女の笑み。
そして、それとどこか似ている玲奈ちゃんの微笑み。
母の咳き込む姿と、ボロボロにされた屈辱な姿──。
そして…父の死体。
「 いやああああっ…いやああっ… 」
全身の震えが止まらない。
私はもはや、理性を失っていた──。
※実話ではありません(続く)
親友がいきなりわめいたんだから・・・
お父さんも首をつっちゃったんだ…。