Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *22話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第二十二章 『 確信した 』

ピーロンッ♪

「「 あっ。 」」

二人同時に、あのLINEの返事が来た。
私達は顔を見合わせ、頷き、内容を見た──。

「 …は、はぁ? 」

私に返って来た返事は信じられないものだった…

『 本当のことだから、撤回できないよ~>< 』

…本当に悪魔なのかと思った。
玲奈ちゃんは、あんな可愛い顔をしてやる事エグい。
昔から知ってたけど、ここまでだなんて思ってもいなかった。

「 …ひ、日村? 」

日村のほうを見ると、彼の手は震えていた。
iPhoneを見たまま、目を離さずに…

「 どうしたの?なんてきたの? 」

日村は黙って私にiPhoneを差し出した。
私も何も聞かず、内容を見る。

「 …えっ!? 」

そこにはこうかかれていた…

『 俺は玲奈を信じる事にした。 』

信じられなかった…。
宮木君は、香理奈が好きだと告白したはずだ。
どうして好きな人を疑って、好きでもない女を信じるの…?

これじゃあまるで…まるで…宮木君は…

「 …うちのお父さんみたいだ。 」

「 え? 」

つい呟いてしまった一言。
私は慌てて口を両手で塞いだ。

「 …ご、ごめん。なんでもない。 」

そう言うと、日村は少し悲しそうな目をしてこう呟いた…

「 そうか。 」

ここからは沈黙が始まる──。
入院中に少し伸びた私の肩より少し上の髪…。
少し暗い茶色だというのに、光で照らされて明るくなっている。

そんな私の髪が、病室で静かに靡く…。
ただただ私の髪が揺らされ、日村は黙ってうつむく。

「 …… 」

何を言えばいいんだろう。
こういう時は、なんて声を掛ければいいんだろう。

そんな事をグルグル考えていると──

「 …ん 」

「 へっ!? 」

香理奈の目を覚ます声が聞こえた。

「 …ふ、ふわあぁ…。 」

香理奈は大きな欠伸をして、体を起こした。
私達の存在に気づくと、驚いた顔をして言った。

「 あれ!!二人ともどうしたのっ!? 」

香理奈はいつもと変わらず、普通だった──。
まるであんな事故があったとは思わせない感じで…

「 …香、香理奈。 」

香理奈を見ると、どうしてもあの事故の瞬間を思い出す。
真後ろの道路で起こっていた…人身事故…。

「 っ… 」

ダメだ、気分悪くなってきたぁ…。

「 苺華、ちょっと来い。 」

「 え 」

日村は私の手を引っ張って、廊下に出した。

「 な、何? 」

「 ”何”じゃねーだろ。 」

日村は少し顔をムッとさせて、言った。

「 気分悪いんだったら、休めよ。お前も退院したばっかなんだから。 」

「 …そうだけど、そんな事言ってられないよ。 」

「 あのなぁ、元気じゃない奴が看病しても元気にならないって。 」

「 …そうだね。 」

「 ん、じゃあ…今日は帰ろう。送るわ。 」

そう言った日村の後ろに私はついていった。
香理奈には悪い気もするけど、日村の意見もごもっともだ。
今日はゆっくり休んで、んで、香理奈の話ゆっくり聞こう。…ゆっくり!!

「 …じゃあ、また明日。 」

「 うん、ありがとう…。 」

私は家まで送ってくれた日村に一礼して、家に入った。
玄関を見ると、いつもあるあの女の靴は見当たらない。
本当にもう諦めたんだ。

「 お母さん!!ただいまぁー!! 」

──ガチャッ!!!
勢いよく扉を開けると、そこには元通りの母が立っていた。
台所で料理をしているようだ。

「 …お母さん 」

「 あら、苺華。お帰りなさい。 」

そう微笑んだ母を見て、私は脱力するほど安心した。
ずっと咳き込んでつらそうだった母が…立ち直ったんだ…。

「 よかったぁ…。 」

私は胸に手を当てて、涙を浮かべた。
すると、母は私に駆け寄って、言った。

「 心配かけてごめんね、苺華。でも、もう大丈夫だから…。 」

そう言って、背中をさする母の温もりが今まで以上に伝わってくる…。
そして、今まで以上に…優しく感じた。

「 お母さん… 」

病み上がりで辛かった私の体は、一気に元気になった。
母の愛ってすごい。改めて感じる日だった…。

「 じゃあ、お母さん。私、少し休むわ~ 」

「 ええ、そうして? 」

母の返答を聞いた後、私は自分の部屋へ行って、眠った。
ソワソワして眠れないかと思えば、案外眠れた…。

ー翌朝ー

──チュンチュン....

「 おっ、スズメが鳴いてる!! 」

昨日寝るのが早かったからだろうか…。
いつもより早く起きてしまった。
今日は丁度休日だし、香理奈の様態を聞くにはいい機会だ。

「 よし、LINEしよう!! 」

私はiPhoneを手に取って、香理奈にLINEを送った。
とりあえず、『 今日会える? 』程度のLINE。

返事はすぐに来た。返事は、OKだった。

「 よしっ、じゃあ行こうかなぁ。 」

私は簡単に身支度を済ませ、鞄と上着を手に、家を出た。
ヒールを鳴らして、髪をなびかせ、私は香理奈の家に向かった。

案外、家は近いので、すぐに着いた。

ピーンポーン♪

インターホンを鳴らすと、すぐに香理奈が出てきた。
いつも通りのピンクの水玉ルームウェアという可愛い家着姿で。

「 お、苺華!!早かったねぇ!! 」

そう笑って私を迎えてくれた。

「 入って入ってっ!! 」

「 お邪魔します~。 」

玄関を見ると、靴は香理奈の分しかないようだ。
家族は今日いないのかな。

「 …じゃあ、2階行こうか。 」

香理奈の言うとおりに、私は2階に行った。
香理奈の部屋は整っていて、可愛いピンク色の部屋。
カーペットは白色で、壁紙はピンク。実に女の子らしい部屋。

真ん中には丸い透明なテーブルが置かれており、
窓際には真っ白で綺麗な机。上にはピンク色のノートパソコンがある。

「 ほほぅ、すごいなぁ。 」

全体を見渡しながら、私は呟いた。

「 えへへっ。 」

香理奈は自慢気に笑い、丸いテーブルの前に座った。
私も、同じように向かい合わせで座る。

「 香、香理奈… 」

さっそく本題に入ろうとした瞬間──

「 あ、お茶!!お菓子!!出してないねえ!!! 」

といって、部屋を飛び出した。
…まるで、逃げるうさぎのように──。

「 …香理奈。 」

今ので確信した。
やっぱり香理奈は話すのが辛いんだ。…私にさえ。

※実話ではありません(続く)

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2013/07/30 14:50
香里奈ちゃんかわいそう…。
玲奈ちゃんも宮木君も酷いですね…。



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