ストロベリーラブ *21話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/28 21:40:54
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十章 『 一瞬見えた悪魔の笑み 』
数日後──。
あれから、私はゆっくり病院で休んだ。
日村の看病があってか、予定より早く退院できた。
「 …ん~!!はあ。 」
病院の外に出て、私は大きく伸びをした。
久々に吸う外の空気はおいしい。
「 元気になってよかったなぁ。 」
退院のため来てくれた日村。
私の隣で優しく微笑んでくれている…。
「 うん!! 」
私は笑顔で頷いた。
あれから…あの女は来なかったし…。
「 …って、うわ。 」
目の前には、大胆なドレスを来た女。
「 任せろ。 」
日村が私の前に立った。
そして…女は日村の前でヒールの音を止めた。
「 あらぁ?いつかの王子様じゃないのぉ~ 」
女はサングラスをずらし、目を出した。
手首で輝く真珠がなんとも憎たらしい…。
「 …どうも。 」
「 やぁ~だぁ~素っ気無いっ!!もっと仲良くしましょ~よぉ。 」
そっと日村に手を伸ばした女…
「 ィタッ!! 」
女の痛々しい声が聞こえた…。
怖くて閉じてた目を開けると、女の憎たらしい真珠が逆の方向に向いていた。
「 ィタタタ!!! 」
「 次苺華に近づいたらただじゃおかねぇぞ、ババア。 」
「 ヒィッ!!!ご、ごめんなさい!!もう近づかないぃい!! 」
そう言った瞬間、日村は手を放した。
女は逃げるように走って帰っていった──。
「 おぉ… 」
「 これでいいだろ? 」
そう言って、ニッと笑う日村。
いつも以上に頼もしく見えた瞬間だった。
「 あ、功からLINE来てるわ。 」
「 え、なんて? 」
「 …ん、長谷川が退院するらしいぞ。 」
「 嘘!!じゃあ、行かなきゃ!! 」
「 そうだな 」
私は日村と一緒に、香理奈の入院する病院へ行った。
ずっと入院してて顔を見てなかったけど…目を覚ましたんだ、よかった。
病院に着くと、もう病室にはお客さんが入っていた。
「 …あれ、玲奈ちゃん。 」
実の妹、玲奈ちゃんだった。
玲奈ちゃんは黒い髪を靡かせて、こっちを見た。
「 あ、苺華ちゃん!!入院してたって聞いてたけど…大丈夫? 」
心配してるかのように首をかしげ、人差し指を顎へやる。
どこかの少女漫画でこんなポーズを見た。もちろん、一番うざいキャラだったが。
「 …あ、あはは。大丈夫だよ。 」
私は顔を引きつらせながらも、笑った。
そして…日村に目で合図された。”やめろ”と。
「 …むぅ。 」
何もいえなくなった私を見た玲奈ちゃんは、笑って言った。
「 今日は香理奈の退院日なの!!ってコレも知ってるぅ? 」
玲奈ちゃんの笑いは何か裏があるように見えた。
いや、というか…わざとって感じがする。
「 …知ってるよ。功から聞いた。 」
日村が答える。
すると、玲奈は口に両手を当てて…
「 嘘ぉ!?もぉ~、おしゃべりだなぁ~ 」
と、わざとらしく言った。
情報が渡る事くらい目に見えてただろうに。
「 …早く退院したいね。 」
「 あ、そうだね。香理奈お越しといてぇー!! 」
そう言って、玲奈ちゃんは鞄と上着を手に持って出て行った。
まさか、このまま一人で帰る気なのか…?
「 れ、玲奈ちゃん!! 」
このままほっとけるわけがない。
私は呼び止めた。
「 …なあに? 」
玲奈ちゃんはまっすぐな黒髪を怪しく靡かせ、振り返った。
私は拳を握り締めて、尋ねる…。
「 …帰るの? 」
たった一言の質問に返ってきた答えはもちろん、たった一言の答え。
…でも、もしその一言に込められたものが…最悪な物だったら…?
「 うん。 」
「 っ!! 」
平気そうに笑顔で答えた。
その時私が見たもの…まさに、悪魔の笑みだった。
ちゃんとした笑顔ではない…口元だけ歪め、目は少しだけ細め…
まさに、裏の顔だった。
「 …… 」
「 じゃあね、苺華ちゃん。香理奈をお願い。 」
コツコツコツコツコツ....
虚しく、静かな廊下には玲奈ちゃんのヒールの音だけが響く…
私は何もできず、ただただ拳を握り締めてその場に立っていた。
まるで、足に接着剤でも塗られたかのように──。
「 …苺華、戻ってこい。 」
日村の声に気づき、私は香理奈の病室に戻った。
「 …香理奈。 」
香理奈の顔を見つめれば、見つめるほど思い出すあの悪魔の笑み。
玲奈ちゃんはきっと、香理奈に敵意があるんだ。
「 苺華? 」
日村の声で気づいた。
「 あっ、ご、ごめん。 」
考え込みすぎかもしれない…抱え込みすぎかも。
今は香理奈のために、私が力を貸す事にしようかなっ。
ピーロンッ♪
「 …LINEだ。 」
最近はじめたLINE…。
この音は…たぶん来たんだよなぁ。
私は、内容を見た。
「 …え。 」
「 どうした? 」
「 こ、これ…見て… 」
私はiPhoneを日村に差し出した。
私と同じ物を見た日村は硬直した──。
「 んだよ、これぇ… 」
内容はこうだった…
『 よぉ!!今玲奈といるんだけど…。なんか玲奈にあった? 』
まるで、玲奈ちゃんに被害があったという言い振りだなぁ。
まさかなんか言ったのかな…、”された”って。
「 …でも、チクるっていっても何もしてないしぃ。 」
「 なんか嘘でもついたとかか? 」
「 んー、とりあえず、返信する。 」
私はこう返信した…
『 何もない。 』
だが、その数分後───
『 玲奈から今聞いた。”香理奈に酷いこと言われたー”って言ってる。 』
私はそれを見た瞬間、iPhoheを落とした。
ガシャンッ!!!!
「 お、おい!!壊れるぞ…? 」
そう言って、拾った瞬間…日村の目にも入ったようだ。
宮木君の返信内容が──
「 …んだよ、これ。 」
iPhoneを握ったまま、拳に力を入れている──。
「 …香、香理奈はまだ目も覚ましてないのに!!! 」
怒りが収まらない。きっと日村だってそうだ。
「 俺は確かに長谷川とは付き合ってねぇけど…でも、こんな事する奴ではない!! 」
そう言って、私にiPhoneを返して言った。
「 俺は言う。功に正直に言う。親友として…なぁ。 」
「 私も香理奈の親友として、玲奈ちゃんに言うよ。 」
「 じゃあ…、一緒に言うか。 」
「 うん!! 」
私達はiPhoneを手に取り、LINEを送った。
私は…
『 こんな事しちゃいけない、すぐに撤回して。 』
と。そして、日村は…
『 お前は騙されてる。長谷川がそういう事しないのは一番知ってるだろ。 』
と、送ったそうだ。
あとは…返信を待つしかできない。
※実話ではありません(続く)
もう、悪魔の奴隷になってしまっているのでは・・・?w
日村君かっこいいですねぇ~