Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *21話*

主な登場人物
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第二十章 『 一瞬見えた悪魔の笑み 』

数日後──。

あれから、私はゆっくり病院で休んだ。
日村の看病があってか、予定より早く退院できた。

「 …ん~!!はあ。 」

病院の外に出て、私は大きく伸びをした。
久々に吸う外の空気はおいしい。

「 元気になってよかったなぁ。 」

退院のため来てくれた日村。
私の隣で優しく微笑んでくれている…。

「 うん!! 」

私は笑顔で頷いた。
あれから…あの女は来なかったし…。

「 …って、うわ。 」

目の前には、大胆なドレスを来た女。

「 任せろ。 」

日村が私の前に立った。
そして…女は日村の前でヒールの音を止めた。

「 あらぁ?いつかの王子様じゃないのぉ~ 」

女はサングラスをずらし、目を出した。
手首で輝く真珠がなんとも憎たらしい…。

「 …どうも。 」

「 やぁ~だぁ~素っ気無いっ!!もっと仲良くしましょ~よぉ。 」

そっと日村に手を伸ばした女…

「 ィタッ!! 」

女の痛々しい声が聞こえた…。
怖くて閉じてた目を開けると、女の憎たらしい真珠が逆の方向に向いていた。

「 ィタタタ!!! 」

「 次苺華に近づいたらただじゃおかねぇぞ、ババア。 」

「 ヒィッ!!!ご、ごめんなさい!!もう近づかないぃい!! 」

そう言った瞬間、日村は手を放した。
女は逃げるように走って帰っていった──。

「 おぉ… 」

「 これでいいだろ? 」

そう言って、ニッと笑う日村。
いつも以上に頼もしく見えた瞬間だった。

「 あ、功からLINE来てるわ。 」

「 え、なんて? 」

「 …ん、長谷川が退院するらしいぞ。 」

「 嘘!!じゃあ、行かなきゃ!! 」

「 そうだな 」

私は日村と一緒に、香理奈の入院する病院へ行った。
ずっと入院してて顔を見てなかったけど…目を覚ましたんだ、よかった。


病院に着くと、もう病室にはお客さんが入っていた。

「 …あれ、玲奈ちゃん。 」

実の妹、玲奈ちゃんだった。
玲奈ちゃんは黒い髪を靡かせて、こっちを見た。

「 あ、苺華ちゃん!!入院してたって聞いてたけど…大丈夫? 」

心配してるかのように首をかしげ、人差し指を顎へやる。
どこかの少女漫画でこんなポーズを見た。もちろん、一番うざいキャラだったが。

「 …あ、あはは。大丈夫だよ。 」

私は顔を引きつらせながらも、笑った。
そして…日村に目で合図された。”やめろ”と。

「 …むぅ。 」

何もいえなくなった私を見た玲奈ちゃんは、笑って言った。

「 今日は香理奈の退院日なの!!ってコレも知ってるぅ? 」

玲奈ちゃんの笑いは何か裏があるように見えた。
いや、というか…わざとって感じがする。

「 …知ってるよ。功から聞いた。 」

日村が答える。
すると、玲奈は口に両手を当てて…

「 嘘ぉ!?もぉ~、おしゃべりだなぁ~ 」

と、わざとらしく言った。
情報が渡る事くらい目に見えてただろうに。

「 …早く退院したいね。 」

「 あ、そうだね。香理奈お越しといてぇー!! 」

そう言って、玲奈ちゃんは鞄と上着を手に持って出て行った。
まさか、このまま一人で帰る気なのか…?

「 れ、玲奈ちゃん!! 」

このままほっとけるわけがない。
私は呼び止めた。

「 …なあに? 」

玲奈ちゃんはまっすぐな黒髪を怪しく靡かせ、振り返った。
私は拳を握り締めて、尋ねる…。

「 …帰るの? 」

たった一言の質問に返ってきた答えはもちろん、たった一言の答え。
…でも、もしその一言に込められたものが…最悪な物だったら…?

「 うん。 」

「 っ!! 」

平気そうに笑顔で答えた。
その時私が見たもの…まさに、悪魔の笑みだった。
ちゃんとした笑顔ではない…口元だけ歪め、目は少しだけ細め…

まさに、裏の顔だった。

「 …… 」

「 じゃあね、苺華ちゃん。香理奈をお願い。 」

コツコツコツコツコツ....

虚しく、静かな廊下には玲奈ちゃんのヒールの音だけが響く…
私は何もできず、ただただ拳を握り締めてその場に立っていた。

まるで、足に接着剤でも塗られたかのように──。

「 …苺華、戻ってこい。 」

日村の声に気づき、私は香理奈の病室に戻った。

「 …香理奈。 」

香理奈の顔を見つめれば、見つめるほど思い出すあの悪魔の笑み。
玲奈ちゃんはきっと、香理奈に敵意があるんだ。

「 苺華? 」

日村の声で気づいた。

「 あっ、ご、ごめん。 」

考え込みすぎかもしれない…抱え込みすぎかも。
今は香理奈のために、私が力を貸す事にしようかなっ。

ピーロンッ♪

「 …LINEだ。 」

最近はじめたLINE…。
この音は…たぶん来たんだよなぁ。

私は、内容を見た。

「 …え。 」

「 どうした? 」

「 こ、これ…見て… 」

私はiPhoneを日村に差し出した。
私と同じ物を見た日村は硬直した──。

「 んだよ、これぇ… 」

内容はこうだった…

『 よぉ!!今玲奈といるんだけど…。なんか玲奈にあった? 』

まるで、玲奈ちゃんに被害があったという言い振りだなぁ。
まさかなんか言ったのかな…、”された”って。

「 …でも、チクるっていっても何もしてないしぃ。 」

「 なんか嘘でもついたとかか? 」

「 んー、とりあえず、返信する。 」

私はこう返信した…

『 何もない。 』

だが、その数分後───

『 玲奈から今聞いた。”香理奈に酷いこと言われたー”って言ってる。 』

私はそれを見た瞬間、iPhoheを落とした。

ガシャンッ!!!!

「 お、おい!!壊れるぞ…? 」

そう言って、拾った瞬間…日村の目にも入ったようだ。
宮木君の返信内容が──

「 …んだよ、これ。 」

iPhoneを握ったまま、拳に力を入れている──。

「 …香、香理奈はまだ目も覚ましてないのに!!! 」

怒りが収まらない。きっと日村だってそうだ。

「 俺は確かに長谷川とは付き合ってねぇけど…でも、こんな事する奴ではない!! 」

そう言って、私にiPhoneを返して言った。

「 俺は言う。功に正直に言う。親友として…なぁ。 」

「 私も香理奈の親友として、玲奈ちゃんに言うよ。 」

「 じゃあ…、一緒に言うか。 」

「 うん!! 」

私達はiPhoneを手に取り、LINEを送った。

私は…

『 こんな事しちゃいけない、すぐに撤回して。 』

と。そして、日村は…

『 お前は騙されてる。長谷川がそういう事しないのは一番知ってるだろ。 』

と、送ったそうだ。
あとは…返信を待つしかできない。

※実話ではありません(続く)

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2013/08/14 03:42
宮木君には届くでしょうか・・・。

もう、悪魔の奴隷になってしまっているのでは・・・?w
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2013/07/30 14:48
日村君も苺華ちゃんも格好いい!!
アバター
2013/07/29 12:35
続き気になります!

日村君かっこいいですねぇ~



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