Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


君は海に似ている。 *11話*

主な登場人物
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十一章 『 自殺を止めた着信 』

「 …これを、脈のとこでスライドさせれば 」

平然と呟く私…。
普段なら我に戻るのに…今回はそうはいかないみたいだ。

「 みんな、さようなら… 」

そして、カッターをスライドさせようとした瞬間っ…

PLLL...

「 っ…? 」

iPhoneが光った…。

「 …カイト 」

発信者は【 カイト 】だった──。
まあ、予想はできていたけど…ね。

──ピッ。

私は一応、電話に出た。

「 何? 」

私は冷め切った声で言った。
まるで、カイトを突き放すかのように…

すると、カイトは──

『 ”何?”じゃねぇーだろ!!電話切りやがって!!心配したんだぞぉ!! 』

怒っていた。…というより、心配していた?
でも、私は変わらず冷め切った声を出した。

「 はぁ?なんで? 」

『 だ、だだ、だって…あんな感じで帰って…な、なんだったんだよ!!アレェ!! 』

どうやら、あのカフェで言われたことを気にしていた様子。
少し動揺しているみたいだし。

「 …なんだよって言われてもなぁ。そのままだよ。 」

『 なんで夏木と付き合えなんて言ったんだよ!? 』

「 しょうがないでしょ!?見ちゃったんだからぁっ!!!! 」

『 …は?見た? 』

「 ああぁ!!! 」

つい口走った言葉のせいで…沈黙が続く。

「 …… 」

『 …… 』

きっと、今頃カイトは青ざめているだろう。
そして、絶望感を味わっている事だろう。

「 …カ 」
『 だ、だだだ、だからってぇ!!!! 』

私が発しようとした瞬間、突然カイトが叫んだ。

『 …だ、だからって、なんでそんなん言ったんだよ? 』

「 …え。 」

カイトの疑問に私はつい戸惑ってしまった──。

”だからってなんでそんなん言ったんだよ?”
その質問に答えたらきっと私は…ただのウザイお節介野郎だろう。
でも…ここまで来たなら…黙秘では通れない…。

「 …えぇと、それはぁ… 」

デタラメな言い訳をするべきか…?
いやいや、相手は幼馴染。貫き通せる気がしない…。

『 答えてくれ。 』

「 ま、ままま、待ってっ!! 」

『 なんで?理由言えばいいだけだろ。 』

だから理由を言ったら夏木に”ウザイ”って思われ──

…ん、待てよ。
だったらなんで私こんな事したんだ?
馬鹿だ、私…相当な馬鹿だ!!いらない事ってわからずにしてしまった…!!!

『 こ・た・え・ろ。 』

「 もおぉぉ!!!わかった!!話しますっ!!! 」

『 おぅ。 』

「 …な、夏木がかわいそうだったから。その、うん。言いました。はい。 」

『 …… 』

「 …… 」

また沈黙が始まったか…。
そりゃ夏木が理由って言われてもカイトは──

『 余計なお世話だなぁ、お前。 』

「 うぅっ!!! 」

今一番言われたくなかった言葉を言われた…

『 …夏木はお前にそんなんしてほしくないと思うぞぉ。 』

「 そんなのあんたの憶測じゃんっ!! 」

『 いや、俺でもやだわ。 』

「 うぅぅ!! 」

同じ幼馴染に言われたら少し痛いなぁ…
夏木にもきっと同じ事言われるだろうなぁ…しかも、なきながら。

「 だ、だから。このことはなかった事に── 」

『 無理。今更。 』

「 んなぁ!! 」

『 今から会おう。じゃ、あの公園で。 』

「 え、ちょ、ま… 」

ガチャッ!!!

「 うわぁー、切られた。 」

でもなんでだろう…?いまから会うの嫌じゃない。
逆に…私、喜んでる…?

「 …っ。 」

馬鹿みたい。
母のあの言葉で恐怖にかられてたのに…

「 なんか、自殺って気分でもなくなったなぁ。 」

私は手にあったカッターを机の上に投げ捨てた。
もういいや、って感じで。

「 …さてと、じゃあ行こうかな。 」

私は立ち上がって、公園へと向かった。

※実話ではありません。(続く)




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