君は海に似ている。 *11話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/28 20:58:11
✿主な登場人物✿
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十一章 『 自殺を止めた着信 』
「 …これを、脈のとこでスライドさせれば 」
平然と呟く私…。
普段なら我に戻るのに…今回はそうはいかないみたいだ。
「 みんな、さようなら… 」
そして、カッターをスライドさせようとした瞬間っ…
PLLL...
「 っ…? 」
iPhoneが光った…。
「 …カイト 」
発信者は【 カイト 】だった──。
まあ、予想はできていたけど…ね。
──ピッ。
私は一応、電話に出た。
「 何? 」
私は冷め切った声で言った。
まるで、カイトを突き放すかのように…
すると、カイトは──
『 ”何?”じゃねぇーだろ!!電話切りやがって!!心配したんだぞぉ!! 』
怒っていた。…というより、心配していた?
でも、私は変わらず冷め切った声を出した。
「 はぁ?なんで? 」
『 だ、だだ、だって…あんな感じで帰って…な、なんだったんだよ!!アレェ!! 』
どうやら、あのカフェで言われたことを気にしていた様子。
少し動揺しているみたいだし。
「 …なんだよって言われてもなぁ。そのままだよ。 」
『 なんで夏木と付き合えなんて言ったんだよ!? 』
「 しょうがないでしょ!?見ちゃったんだからぁっ!!!! 」
『 …は?見た? 』
「 ああぁ!!! 」
つい口走った言葉のせいで…沈黙が続く。
「 …… 」
『 …… 』
きっと、今頃カイトは青ざめているだろう。
そして、絶望感を味わっている事だろう。
「 …カ 」
『 だ、だだだ、だからってぇ!!!! 』
私が発しようとした瞬間、突然カイトが叫んだ。
『 …だ、だからって、なんでそんなん言ったんだよ? 』
「 …え。 」
カイトの疑問に私はつい戸惑ってしまった──。
”だからってなんでそんなん言ったんだよ?”
その質問に答えたらきっと私は…ただのウザイお節介野郎だろう。
でも…ここまで来たなら…黙秘では通れない…。
「 …えぇと、それはぁ… 」
デタラメな言い訳をするべきか…?
いやいや、相手は幼馴染。貫き通せる気がしない…。
『 答えてくれ。 』
「 ま、ままま、待ってっ!! 」
『 なんで?理由言えばいいだけだろ。 』
だから理由を言ったら夏木に”ウザイ”って思われ──
…ん、待てよ。
だったらなんで私こんな事したんだ?
馬鹿だ、私…相当な馬鹿だ!!いらない事ってわからずにしてしまった…!!!
『 こ・た・え・ろ。 』
「 もおぉぉ!!!わかった!!話しますっ!!! 」
『 おぅ。 』
「 …な、夏木がかわいそうだったから。その、うん。言いました。はい。 」
『 …… 』
「 …… 」
また沈黙が始まったか…。
そりゃ夏木が理由って言われてもカイトは──
『 余計なお世話だなぁ、お前。 』
「 うぅっ!!! 」
今一番言われたくなかった言葉を言われた…
『 …夏木はお前にそんなんしてほしくないと思うぞぉ。 』
「 そんなのあんたの憶測じゃんっ!! 」
『 いや、俺でもやだわ。 』
「 うぅぅ!! 」
同じ幼馴染に言われたら少し痛いなぁ…
夏木にもきっと同じ事言われるだろうなぁ…しかも、なきながら。
「 だ、だから。このことはなかった事に── 」
『 無理。今更。 』
「 んなぁ!! 」
『 今から会おう。じゃ、あの公園で。 』
「 え、ちょ、ま… 」
ガチャッ!!!
「 うわぁー、切られた。 」
でもなんでだろう…?いまから会うの嫌じゃない。
逆に…私、喜んでる…?
「 …っ。 」
馬鹿みたい。
母のあの言葉で恐怖にかられてたのに…
「 なんか、自殺って気分でもなくなったなぁ。 」
私は手にあったカッターを机の上に投げ捨てた。
もういいや、って感じで。
「 …さてと、じゃあ行こうかな。 」
私は立ち上がって、公園へと向かった。
※実話ではありません。(続く)