君は海に似ている。 *10話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/26 01:24:46
✿主な登場人物✿
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十章 『 最高の屈辱 』
翌日…、あの日私はまっすぐ家に帰るわけもなく、漫画喫茶に泊まった。
もちろん…母から何度も連絡はあった。メールもだ。
『 今どこにいるの? 』
『 誰といるのっ!? 』
『 早く帰ってきなさい!!!! 』
『 帰ってこないと、許さない。 』
こんなまるで脅迫メールのようなものが何件も送られていた。
母からの着信履歴はまさに数十件超えていた…。
やっぱり、私の母は狂っているんだ──。
「 …… 」
私は漫画喫茶の個室で、iPhoneを見つめていた…。
母から途切れもなく来る着信…、メール…。
私はその着信音はトラウマだった──。
中学生時代、私を引き取った当時の母は…優しかった…。
でも、中学3年生になってからというもの、私の母は突如豹変したんだ。
ちょっと友達と遊びに行っただけで、何度も鳴らされる携帯。
鞄の端っこで緑色のランプが点滅し続ける…。
友達には毎回聞かれる…
「 出ないの? 」
その度に、私の心は張り裂けそうになった──。
一時期は悪仲間とつるんで、夏木やカイトを心配させたもんだ…。
「 … 」
目を閉じて、考えてみると──
私も色々な修羅場を乗り越えてきた…。
だから…きっと今回もっ…乗り越えれる…いや、乗り越えるっ!!
「 …ん? 」
PLLL.... 【 カイト 】
iPhoneに表示された名前が目に入る…。
私は即座、電話を切った。そして、電源も落とした。
「 …はぁ、はぁ、はぁ 」
母のことを考えてたからこそ、今のはきらなくてはならなかった…。
まるで、責められているような感覚──。
引っ叩いたカイトの赤くなった頬を思い出してしまうっ…。
「 っ… 」
カイトにごめんって言うはずが、また傷つけてしまった──。
もう…どんな顔して会えばいいのかわからないよ…。
「 … 」
電源を落とし、握り締めたiPhoneが気になって仕方がない。
もしかしたら…ものすごく心配してるかも…
せめて、安否だけでも伝えようかな…
私の心の中で、緩みという物が出てしまった。
──不覚だった。
電源を入れなおし、私は電話に出た──。
表示された名前を見る間もなく、すぐに……
だが、そこにはとんだ手違いが起こっていた。
『 何しているの!?今どこなのっ!? 』
「 …お、お母さん? 」
『 いいわ…、GPS機能で探してやるわよっ…!!あなたの電波をたどってねぇっ!! 』
「 お、お母さん…どうしたの?狂っちゃったのっ…? 」
『 うるさいわね!!…んふふ、じゃあね。私の可愛い、可愛い娘… 』
ブツッ……。
「 あ…あああぁ… 」
最後の一言があまりにも怖くて怖くて…
私は小刻みに震え、iPhoneさえもうまく握れない状態になっていた…。
「 うっ…ぅっ…うっ… 」
涙がこぼれた…これは、悔しさと、恐怖からだ。
母の最期の怒り狂った声…私の鼓膜の奥の奥まで染み付いて取れない。
脳みそまでにも染み付いている。
「 くっ…うぅ… 」
ダメだ…もう…このまま…死ねる…
「 …あっ、あはははっ… 」
やばい、私まで狂ったのかなぁ…?
「 … 」
もういいや、狂ったとか、狂ってないとかさ…
もうどーでもいいから…楽に…させてください…。
「 …綺麗。 」
私は光輝くカッターナイフの刃を見つめて、呟いた──。
※実話ではありません(続く)