Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


君は海に似ている。 *10話*

主な登場人物
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第十章 『 最高の屈辱 』

翌日…、あの日私はまっすぐ家に帰るわけもなく、漫画喫茶に泊まった。
もちろん…母から何度も連絡はあった。メールもだ。

『 今どこにいるの? 』
『 誰といるのっ!? 』
『 早く帰ってきなさい!!!! 』
『 帰ってこないと、許さない。 』

こんなまるで脅迫メールのようなものが何件も送られていた。
母からの着信履歴はまさに数十件超えていた…。

やっぱり、私の母は狂っているんだ──。

「 …… 」

私は漫画喫茶の個室で、iPhoneを見つめていた…。
母から途切れもなく来る着信…、メール…。

私はその着信音はトラウマだった──。
中学生時代、私を引き取った当時の母は…優しかった…。
でも、中学3年生になってからというもの、私の母は突如豹変したんだ。

ちょっと友達と遊びに行っただけで、何度も鳴らされる携帯。
鞄の端っこで緑色のランプが点滅し続ける…。
友達には毎回聞かれる…

「 出ないの? 」

その度に、私の心は張り裂けそうになった──。
一時期は悪仲間とつるんで、夏木やカイトを心配させたもんだ…。

「 … 」

目を閉じて、考えてみると──
私も色々な修羅場を乗り越えてきた…。
だから…きっと今回もっ…乗り越えれる…いや、乗り越えるっ!!

「 …ん? 」

PLLL.... 【 カイト 】

iPhoneに表示された名前が目に入る…。
私は即座、電話を切った。そして、電源も落とした。

「 …はぁ、はぁ、はぁ 」

母のことを考えてたからこそ、今のはきらなくてはならなかった…。
まるで、責められているような感覚──。

引っ叩いたカイトの赤くなった頬を思い出してしまうっ…。

「 っ… 」

カイトにごめんって言うはずが、また傷つけてしまった──。
もう…どんな顔して会えばいいのかわからないよ…。

「 … 」

電源を落とし、握り締めたiPhoneが気になって仕方がない。

もしかしたら…ものすごく心配してるかも…
せめて、安否だけでも伝えようかな…

私の心の中で、緩みという物が出てしまった。

──不覚だった。

電源を入れなおし、私は電話に出た──。
表示された名前を見る間もなく、すぐに……

だが、そこにはとんだ手違いが起こっていた。

『 何しているの!?今どこなのっ!? 』

「 …お、お母さん? 」

『 いいわ…、GPS機能で探してやるわよっ…!!あなたの電波をたどってねぇっ!! 』

「 お、お母さん…どうしたの?狂っちゃったのっ…? 」

『 うるさいわね!!…んふふ、じゃあね。私の可愛い、可愛い娘… 』

ブツッ……。

「 あ…あああぁ… 」

最後の一言があまりにも怖くて怖くて…
私は小刻みに震え、iPhoneさえもうまく握れない状態になっていた…。

「 うっ…ぅっ…うっ… 」

涙がこぼれた…これは、悔しさと、恐怖からだ。
母の最期の怒り狂った声…私の鼓膜の奥の奥まで染み付いて取れない。
脳みそまでにも染み付いている。

「 くっ…うぅ… 」

ダメだ…もう…このまま…死ねる…

「 …あっ、あはははっ… 」

やばい、私まで狂ったのかなぁ…?

「 … 」

もういいや、狂ったとか、狂ってないとかさ…
もうどーでもいいから…楽に…させてください…。

「 …綺麗。 」

私は光輝くカッターナイフの刃を見つめて、呟いた──。

※実話ではありません(続く)




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