ストロベリーラブ *18話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/25 23:41:34
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第十八章 『 嫌な予感がした── 』
人気のない殺風景な公園で大泣きしたあの日から数日後──
日村は変わらず私と接してくれている…まるで、何もなかったかのように…。
いつも、いつも笑顔で語りかけてくれるのだ。向こうから。
…なんだか、気を遣わせてるみたいですごく胸が痛いんだよなぁ。
今日も、日村に誘われて私はカフェで待っていた──。
「 …… 」
iPhoneを握り締め、ずっと連絡が来ないように祈っていた。
あの日から母の様態は悪化。ずっと咳をし続けている──。
長い間あの女が来てなかったから安心していた隙に来て余計ダメージがあったんだろう。
母が苦しそうに「 苺華、助けて… 」という連絡が掛かってきそうで怖い…。
まるでっ…あの頃みたいにっ…
──ドクンッ!!ドクンッ!!ドクンッ!!
「 っ…!!はぁ…はぁ…はぁ… 」
まずい…また発作が起こり始めてる──
どうしよ、このままだと日村に気づかれて心配させちゃう…
「 んはぁ…はぁ… 」
私は必死に発作を押さえようと頑張った。
「 あ…、そうだ…鞄の中に薬があったはず…。 」
最近発作がよく起こるので、私は薬を持ち歩いている──。
透明なケースにカプセル型の薬を入れているのだけれど…
ゴソゴソゴソ…
「 あれっ、ない… 」
ゴソゴソゴソ…
「 どうしようっ…。薬がなきゃっ…はぁ…発作が…はぁ… 」
私の発作は正直限界まで来ていた──。
透明なケースを探しているはずなのに…私の視点は別の場所へ行っている…
( やばい…目が見えない… )
視界はぼやけていき、はっきりと見えなくなっている…。
「 はぁ…はぁ… 」
クラッ───…
そこからの私の記憶はない──。
お店の人の悲鳴と、強く頭を打ったって事だけしかわからない。
…もうこのまま死んじゃってもいいかもしれないなぁ。
…………………
「 …ん 」
長い長い眠りから覚めたような気がする…。
なんだろう…ものすごく頭が痛い。しかも腕には点滴が刺されてる。
そうか…私、倒れたんだ。
んで、病院に運ばれたのか…。まあ、普通の流れだよね。
「 …… 」
なんだぁ…死んでなかったんだぁ…。
いや、死ねなかったのか…私…。なんて間抜けなんだろう…。
死にもしないで、中途半端で店の人を困らせただけだったのか…。
コンコン──
「 …? 」
───ガラッ。
「 えっ… 」
扉が開いた瞬間、そこに立っていたのは日村。
どうしてここにいるのかはわからない…。
「 な、なんで… 」
「 なんでって…救急車呼んだの俺だし。 」
そう言って、私のベッドの隣に座った。
優しい顔で微笑みながら、私を見つめた──。
「 調子はどうだ? 」
その問いかけに、私は…正直に答えられない。
だって、今は史上最悪な気分だからだ。
…でも、そんなの言ったらまた心配させちゃうだけだし。
「 うん、すっかり良くなった…!!ケホッ、ケホッ… 」
「 はぁ…。まだ良くなってないみたいだなぁ。 」
「 …ごめんなさい。 」
私の咳で気づいたいたいだな…無事じゃないって事。
やっぱ、日村は色々と鋭いんだなぁ。
「 …無理しなくていいから。ゆっくり体調を整えていけよ。 」
「 ありがとう、そうするよ。 」
「 しばらく入院することになるみたいだから。 」
「 うん、この状況からしてそうだろうと思った。 」
「 うん、そういう事。じゃあ…そろそろ行くわ。ゆっくり休め── 」
───ガラッ!!!!
「「 っ!? 」」
私達は、扉のほうへ顔を向けた。
そこに…立っていたのは…
「 あらぁ~、大丈夫ぅ~? 」
女は小さく首をかしげて、小鹿のように潤んだ目…
そして、何とも腹立たしいクルクルの縦カール…
「 あんた…は… 」
「 あっらぁ~?男と一緒ぉ~? 」
「 …!!!! 」
その瞬間…、私はまた嫌な予感がしたんだ…。
日村を見てニヤつく女を見て…嫌な予感がしたんだ──。
※実話ではありません(続く)
でも、日村はきっとまどわされない!・・・たぶん・・・w
日村が取られちゃう?