Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ *17話*

斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
────────────────────────────────────
第十七章 『 鎖 』

───ガチャッ!!!

「 お母さんっ…!!! 」

私は勢いよく扉を開け、リビングへと駆けつけた…。
玄関には、予想通り白いリボンをつけた赤色のサンダルが置かれていた。

「 …お母さん 」

リビングの扉を開けると、テーブルに座っている女…。
私の予想した通りだ…、嫌な予感はしていたんだ…。

「 あなたは… 」

女を見つめて、私は呟く…。
そして、女は嫌味にクスクス笑った──。

「 あらぁ。お嬢さんじゃない!!こんなに大きくなってぇ~!! 」

──パシィッ!!!!

私に触れようとする女の手を思い切り振り払った。
女は痛そうにして、自分の手を押さえながら見ている。

「 …あなたにお嬢さんなんて呼ばれる筋合いないわ!!帰って!! 」

叫ぶと、女はまた嫌味に笑った…。

「 んふふっ…。帰れですってぇ?やぁ~よ。あなたがいえる立場なのぉ? 」

クルクルに巻かれたカールを
苛立たしいほど揺らしながら、小さく首をかしげる女…。

「 …な、何が言いたいのよ。 」

尋ねると、女はまた笑った。
今度は私の目を見ながらニヤリ…と。

「 わかってないわねぇ。あなた…なぁ~んにもわかってないわぁ。 」

「 は…? 」

女はそれだけを告げ、鞄を肩に掛けて家から出て行った…。
私は慌てて家の鍵を閉め、母に駆け寄った──。

「 お母さん大丈夫っ!?怪我は!?何もされてないっ!? 」

「 ケホッ、ケホッ… 」

「 あぁ、お母さん… 」

お母さんがこんな状況に陥るのにはワケがあった…。
誰でも見れば分かると思うけど、元凶は”あの女”…。

いつもド派手な格好をして、ケバケバな化粧をして、高いヒールの音を鳴らして来る…
ここに来るといつもいつも酒と煙草の臭い香りを残して帰っていく──。
今日だって、そうだ。そのたびにいつも私が部屋中にスプレーをまくのだ。

「 ケホッ、ケホッ… 」

「 あ、お母さん。部屋で休んでていいよ…? 」

「 ごめんなさい、苺華…。ごめんなさい、ごめんなさい… 」

「 いつも言ってるじゃん!!お母さんは悪くないんだってば!!! 」

「 …うぅ、苺華…。 」

「 いいからいいから、早く部屋で寝て? 」

そう言って、私は母を部屋まで運んで眠りにつかせた…。
とりあえず、これで一段落というわけだ。

「 …あっ、日村に説明しとかなきゃ。 」

あの場でいきなり飛び出して行ってしまったんだから、きっと驚いてるはず…。
私は、テーブルに置いてあるiPhoneを手に取り、日村に電話を掛けた。

PLLLL.....

『 あっ、斉藤っ!!! 』

心配してくれていたのか、電話に出るのがすごく早かった…

「 あ、日村…。あの、さっきはごめ── 」

『 大丈夫かっ!?怪我はっ!? 』

「 ぇ… 」

『 なんかあったんだろっ!?俺心配して心配して… 』

「 …心配させてごめんなさい。でもね、仕方がなかったの… 」

『 責めてるわけじゃないから…謝らなくていいよ。 』

「 …全部説明するよ。日村には。 」

『 …無理するなって。 』
「 無理じゃないもんっ!!!!!! 」

『 っ…! 』

私は”無理するな”という日村の言葉をかぶせるかのようにして、言った。
本当に無理なんてしていない…。日村にだったら言える気がするから──。

「 …大声出してごめん。でも、本当に無理はしていない。 」

『 …そうか。 』

「 うん。今日話す。…悪いんだけど、うちの家まで来てもらっていい? 」

『 了解。 』

プツッ…

こうして、日村との電話は一旦切った。
私はiPhoneを握り締めて、目を力いっぱい閉じた──。

本当は怖いのかもしれない…日村に話す事に抵抗があるのかもしれない…。
昔…消しきったって思っていたこの気持ち…「 話すのが怖い 」っていう…気持ち…。
嫌われたら嫌だからずっと誰にも話してこなかったけど…日村になら話せる気がする。

隠し事はしないって…決めたんだもんっ…!!!!

「 よしっ!!! 」

私は立ち上がって、制服から私服に着替えて日村が来るのを待った。
もちろん、家の中で話す気はない…母に聞かれてはまずい話だから──。

そして…いよいよ時は来た…

──ピンポーン。

「 あっ… 」

私は扉を開けて、顔を出した。

「 よぉ。 」

目の前には私服の日村が立っていた──。
少し汗をかいてるみたい…、息も切らしてるし…走ってきてくれたんだなぁ、日村。

「 ありがとう、わざわざ… 」

「 え?ああ、うん。 」

「 …じゃあ、行こうか。 」

「 うん 」

日村もわかってくれてたのかな…。
”家では話せない”…って事に。

「 …ここでもいい? 」

私は人気のない公園へと日村を連れてきた。
この公園は昼間でも、子供が賑わう夕方でも、静かで殺風景なのだ。
ここなら、人に聞かれる心配もない。

「 いいよ。 」

そう言って、私達は公園のベンチに腰を下ろした。
数秒だけ沈黙が続く……、そして、私が最初に口を開いた。

「 あのさ、どこから…話せばいいのかわかんないんだけどさっ… 」

「 う、うん。 」

「 私のお父さんさぁ…自殺したんだ。 」

「 えっ!? 」

初めて他人に言った私の家族の過去…。
日村は目を丸くして私を見た。

「 その理由はね、不倫相手にあったみたい。 」

「 …ふ、不倫? 」

「 なんかここからは昼ドラみたいになるけど、実話だからね。 」

「 …うん。 」

頷いた日村は、本当に真剣な顔で私を見た。

「 お父さんがある出来心で不倫したの。結構続いてた不倫だったらしくてね。
私も、お母さんも、まったく見抜けず、気づかずの不倫だったわけよ──。
 それでさぁ。気づかなかった私達が悪いのか、できちゃったワケよ。 」

「 な、何が? 」

「 不倫相手のお腹に赤ちゃんができたの。 」

「 はぁ…!? 」

「 シーッ!! …それでね、お父さんは突然言い出したの。 」

「 な、ななな、なんて…? 」

「 ”俺と別れてくれないか。”ってさ。母に告げたわけよ。 」

「 …なんて酷い奴なんだ。 」

「 でしょ?それからお母さんもおかしくなっちゃってさー…。 
…まあ、私、そこからは、私はなにも知らないんだけどね。 」

「 え…? 」

「 ある日突然お母さんが帰らない日があってさ。
いくら待っても、待っても、一日だけ帰ってこなかった日があったの。
私…捨てられたのかな?って思ってたんだけど…翌日、お母さんが帰ってきたの。 」

「 …? 」

どうやら日村は気づいたみたいだ…私の体が小刻みに震えてる事に…
でも、ここまで来たんだ…話すしかない…この先を…!!!

「 …で、その時のお母さんの姿がっ…姿っ…がぁっ… 」

その先を話そうとすると、私の目から涙が止まらなくなった…
ボロボロと地面に零れ落ち、その先が話せなくなった───…

「 …もういいよ、ありがとう。話してくれて。 」

そう言うと、日村は優しく私を抱きしめてくれた。
情けない、自分で話すと言っておいて…

「 ふぇっ…うぅっ… 」

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/14 03:27
不倫相手ってまさかさっきのくっちゃいおばさんw?!
アバター
2013/07/25 19:02
苺華ちゃん…。
不倫相手が許せません!



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