ストロベリーラブ *15話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/24 23:05:31
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第十五章 『 鎖に繋がれた約束 』
「 …… 」
「 …… 」
静かな病室で、沈黙が続く──。
隣にいる玲奈ちゃんに何て声かければいいんだろう…?
「 ねぇ、苺華ちゃん 」
「 っ…! 」
突然話しかけてきたのは向こうだった。
私は驚きのあまり、体をビクつかせてしまった…。
そんな反応に玲奈ちゃんはクスクス笑いながら、言った。
「 苺華ちゃんはさあ、好きな人いないのっ? 」
小さく首をかしげて、まさに女の仕草をした。
私はその仕草に、香理奈の件もあるからか、無償に苛立った。
「 …別に。 」
…と、私は素っ気無い態度をとった。
すると、玲奈ちゃんは突然顔つきが変わって…
「 ふぅん。 」
と、素っ気無い態度をとった。
そして、突然自分の荷物を抱えた。
「 …帰るの? 」
「 うん、苺華ちゃんいるし。香理奈も私いないほうがいいだろうし 」
そう呟いた玲奈ちゃんは静かに病室を出た。
また病室には私と香理奈だけになった…。
そして、私は花瓶に添えられた薔薇を見つめて思った…
「 香理奈が可哀想っ!! 」
そう呟き、私は薔薇を取って捨てた。
昔から香理奈は薔薇を見ると「 棘があるからやだ 」って嫌がってた。
香理奈の大嫌いな花の一種だっていうのに…玲奈ちゃんは…。
「 …はぁ。 」
私は薔薇を捨てた後、オレンジブロッサムを添えた。
ほのかに甘く香るオレンジの香りで私の少し苛立ちが抑えられた。
「 きっと香理奈もこれで…よくなるよね? 」
私は香理奈に尋ねるかのように、そう言った。
真っ白な花瓶に添えられた真っ白なオレンジブロッサム…
見つめるだけで、なんだか心まで真っ白になっていく気がした──。
丸いスに腰を下ろして、
自分の太ももに肘をつきながら、私は香理奈を見つめた。
まるで眠ってるみたいだ…。
これが本当に死ぬ瀬戸際の人の顔なのだろうか…?
家に泊まった時とか寝顔みたりしてたけど…
なんか今見てる顔とあの頃の幸せそうな寝顔…変わりない気がする。
「 …香理奈 」
私は思わず香理奈の頬に手を伸ばしてしまった。
本当に香理奈なのか?なんだかそれさえもわからなくなっていた。
その瞬間───
───ガラッ!!!!
「 っ…? 」
扉のほうを見ると、そこに立っていた人は…
「 日村… 」
ビニール袋を片手に入って来た日村。
たぶん、香理奈への差し入れと思って持ってきたんだろうなぁ。
「 あれ、斉藤っ…!?お前大丈夫なのか!? 」
「 な、何が? 」
「 休んでたから… 」
「 …ま、まさか心配してくれてたの? 」
そう尋ねると、日村は顔を真っ赤にさせて片手で口を覆った。
…本当に心配してくれてたんだ。
「 ///// 」
私まで顔が真っ赤になった──。
日村はビニール袋を私に差し出して言った。
「 あ、これ…。長谷川が入院したって聞いたから差し入れ買ってきた。 」
中には香理奈の大好きなチーズケーキや、鮭のおにぎりなどが入っていた。
でも、今は無理だ。私はビニール袋を受け取って言った。
「 ごめん、今まだ香理奈は…食べれる状況じゃないんだ。 」
「 え?それってどういう… 」
「 香理奈見てもらえればわかるよ。 」
そう言って、私は香理奈のほうへ目をやった。
日村は香理奈を見た瞬間、口に手を当てて驚いた。
「 …嘘だろ。長谷川… 」
きっと、呼吸器を見て驚いたんだろう。
頭にグルグル巻きにされている包帯もそうだろうけど。
「 …うん、そういう事だからさ。でもありがとう香理奈のために… 」
私は日村に一礼した。
それを返すように日村も私に一礼。
「 いや、別にいいんだけどさ…。 」
そういうと、日村は私の隣に座った。
「 …あ、そうだ。どこで知ったの?香理奈が入院って… 」
「 え?さっき功から聞いた。 」
「 えっ!?宮木君からっ!? 」
私は思わず大きな声を出してしまった──。
目を丸くして、口を大きくポカンと開いてしまった。
「 …な、ななな、なんで?い、いつ聞いたの…? 」
「 え?ついさっき功にメール着てさ。それに書いてたみたい。 」
「 …ま、まさか 」
玲奈ちゃんが…教えた…?
「 …で、宮木君は? 」
「 なんか約束あるとか言って来れないみたい。 」
「 約…束…? 」
私は嫌な予感がした…。
宮木君の”約束”…もしかして…もしかするのかも…
「 …ごめん、ちょっと電話してくるね。 」
「 え?うん。 」
私は病院の公衆電話まで足を運んだ。
───チャリンチャリンッ。
お金を入れて、私は電話を掛けた。
PLLLL....
「 …あっ、もしもし?宮木君? 」
『 え?そうだけど?…苺華ちゃん? 』
「 うん、そうだよ。あ、あのさ…香理奈のことなんだけど… 」
『 ああ、知ってる。入院してるんだろ? 』
「 …なんで知ってるの? 」
『 え?玲奈に聞いたー。 』
「 …れ、れれれ、玲奈ぁ…? 」
なんだか宮木君の玲奈ちゃんに対する呼び方が慣れなれしすぎて…
何?”玲奈”って…。香理奈のことは香理奈”ちゃん”なのにっ…。
『 …どうした? 』
「 い、いや。来ないの?お見舞い。 」
『 あぁ、わりぃ。今日はいけないんだわー。 』
「 …どうして? 」
私は嫌な予感がしていた──。
少し詰まりながらも、宮城君は答えた。
『 …玲奈と約束してたんだ。 』
「 …そ、そうかぁ。 」
私は心の中で「 やっぱりな。 」と心の中で呟いた。
宮木君が言うのに詰まった理由…もしかしたら分かるかもしれない。
…玲奈ちゃんが元凶だなぁ。
※実話ではありません(続く)
ふっちゃったのか・・・・。
なげかわしい・・・。
香里奈ちゃんがかわいそうです…。
宮木君、御見舞いってあげてー!