Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


君は海に似ている。 *9話*

ずっと中断していた小説です^^;
これの前を見たい方は、私のブログカテゴリ【自作小説】の
最後辺りにコレがあるはずなので、探してくださいませm(_ _*)m
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主な登場人物
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第九章 『 好き?or嫌い? 』

「 …夏木がカイトを好き? 」

私は木陰からその光景を見てしまっていた──。
逃げ出すカイトの背中と、その場にしゃがみ込んで泣きじゃくる夏木の姿。

私は今まで何を見ていたのだろう…?
まやかし?幻?自分の都合のいいように考えてた…?
夏木があの日、あの時私に怒った理由は…これだったんだ。

「 なんで波ばっかりっ…!!!! 」

夏木の荒げた声が、今でも鼓膜に染み付いてる──。

あの日からずっと消そうとしても消せないんだ…。
夏木の声と、そして…カイトの温もり…。

私が母に無理矢理働かされそうになった時…必死に助けてくれた。
そして、カイトは必死に言おうとしてくれてた…気持ちを。

すべての謎が一つになった瞬間…私は迷宮にさ迷った。
私の目の前で泣きじゃくる夏木、大きな背中を向けて逃げるカイト…。
二人を見てる限り、私が今すべき事は明らかに見えてくる…。

「 …… 」

私はその場からはなれ、カイトにメールをした。

『 話したいことがあるの。何も聞かず駅前のファミレス来て。 』

それだけの素っ気無い文章を送った。
返信はどうであれ、カイトが来るのは目に見えていた。

「 …… 」

私はカイトを殴ってしまった掌を見つめた。
この掌を見つめる度に思い出すのだ。

カイトが体を張って助けてくれたあの日を──
そのたび、少しだけドキドキしていた時期もあったんだ。

でも──、そんなんじゃない気もする。

──カランカラーン♪

「 いらっしゃいませ。何名様ですか? 」

「 2名でお願いします。 」

「 かしこまりました。 」

私は案内された席のほうへと、座った。
テーブルには水と、お絞りが丁寧に置かれた…。

「 …ふぅ。 」

私はまず、一旦落ち着くために口に水を注いだ。

「 ご注文は… 」

「 ああ、まだいいです。後で呼びます。 」

「 かしこまりました。 」

店員は丁寧に一礼をし、その場を離れた。
そして、私はもう一度口の中に水を注ぐ──。
何を緊張しているんだろ…、口がすぐカラカラになる。

──カランカラーン♪

「 ぁっ。 」

「 ん、あ!!波っ!! 」

カイトが大きく片手を挙げて振っている。
私もそれを返すようにして、手を振った──。

カイトはやけに嬉しそうで、いつも以上にニコニコしている。
…あの夏木の姿を見た後だというのにこんな笑顔なの…?

「 カ、カイト… 」

「 ん? 」

「 …い、いや。何でもない。とりあえず何か頼もうか。 」

私はテーブルに立てられているメニューを手に取り、開いた。

「 おぉ、なんかメニュー増えてるなぁ。 」

関心しているようだ。

「 最近来てなかったの? 」

「 んー、数年ぶりだなっ!! 」

カイトはなぜかどや顔で言っている──。
ここはどや顔するところじゃないってツッコミたいよ…。

「 おっ、これうまそー!! 」

「 ん、決まった? 」

「 おぅ!!すみませーん!! 」

カイトは手を挙げて、大きな声で店員を呼んだ。

「 ご注文はお決まりですか。 」

「 はい!!ハンバーグステーキとー…。えと、波は? 」

「 私、アイスコーヒーでお願いします。 」

「 かしこまりました。 」

「 …波、アイスコーヒーだけでいいのかぁ? 」

「 いいよ。今お腹すいてないから。 」

そう言って、私はポケットからiPhoneを取り出した。
ずっといじっていると、カイトが不思議そうな顔をしている。

「 …何? 」

尋ねると、カイトは苦笑いで答えた。

「 お前ってさぁ、本当に嘘が下手くそなんだなぁー。 」

「 えっ…? 」

正直、カイトの言ってる言葉の意味が私には理解できなかった。
「 嘘が下手くそ。 」…どうして今そんな事を言われなきゃいけないの?

「 何でそんな事言うの? 」

尋ねると、カイトはテーブルに肘を着きながら言った。

「 お前、今日昼飯食ってないだろ。のくせにお腹減ってないとかありえねぇ。 」

言い終わったカイトは、少しふてくされていた。
カイトは…気づいていたのかもしれない…私がいまから話すことを…。

「 …そっか。 」

私はそう呟いて、うつむく事しかできなかった…。

「 お待たせしました。 」

店員は、ハンバーグステーキと、アイスコーヒーを差し出した。
そして、丁寧に一礼して去って行った──。

「 おぉ!!うまそうっ!! 」

カイトはさっきとは雰囲気を変えて、笑顔でステーキを食べた。
すごく…おいしそうだった…。正直言って、お腹が空いていないワケがない。

「 …ゴク、ゴク。 」

私はカッチリ冷え切ったアイスコーヒーを口の中に注いだ。
ステーキを食べたい気持ちを必死に抑えながら、一気飲みした。

すると、カイトがニヤニヤしながら言った。

「 お前、食いたいんじゃね? 」

「 …ゥ 」

図星だった…。食べたい、一口欲しい。
…でも、今はそんな事やってる場合ではないのだ。

「 いらない。  」

そう答えた。
すると、カイトはニヤニヤをやめずに…

「 へー、そー!!じゃあ食べるねぇ~。 」

と言って、食べてるところを見せ付けるかのように食べた。
…もうこんな姿見てられない、というか見たくない!!!

──ガシャンッ!!!!

「 っ!?いきなりなんだよぉ!? 」

カイトは驚いて、フォークを落とした。
カイトが驚いた理由は私がアイスコーヒーのグラスをテーブルにたたきつけたから。

「 …あのさ、カイトに話があるの。 」

「 …ん。 」

「 私さぁ、正直言って…カイトの事好きじゃないんだよねぇ。 」

「 は? 」

「 だからさぁ、もう私の事は諦めて!?んで、夏木とくっついて!!じゃ、終了!! 」

「 え、ちょ。 」

私はアイスコーヒーを飲み干して、ファミレスを飛び出した。
私を呼び止める声が何回も聞こえたけど、振り向かなかったし立ち止まらなかった。

「 はぁ…はぁ…はぁ… 」

カイトはきっと今、だいぶショックを受けてるだろうなぁ。
でも、しょうがないことだから…うん…。

※実話ではありません(続く)


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2013/07/24 20:44


めっちゃ、面白いです!





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