君は海に似ている。 *9話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/24 20:16:02
ずっと中断していた小説です^^;
これの前を見たい方は、私のブログカテゴリ【自作小説】の
最後辺りにコレがあるはずなので、探してくださいませm(_ _*)m
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✿主な登場人物✿
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
小早川 波・・・海の大好きな女性。美人で頭がいい。5歳で両親をなくす。
小泉 夏木・・・明るくて元気な女性。明るい人がタイプ。
橘 カイト・・・クラスで1番明るい男性。昔から好きな女性がいる。一途。
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第九章 『 好き?or嫌い? 』
「 …夏木がカイトを好き? 」
私は木陰からその光景を見てしまっていた──。
逃げ出すカイトの背中と、その場にしゃがみ込んで泣きじゃくる夏木の姿。
私は今まで何を見ていたのだろう…?
まやかし?幻?自分の都合のいいように考えてた…?
夏木があの日、あの時私に怒った理由は…これだったんだ。
「 なんで波ばっかりっ…!!!! 」
夏木の荒げた声が、今でも鼓膜に染み付いてる──。
あの日からずっと消そうとしても消せないんだ…。
夏木の声と、そして…カイトの温もり…。
私が母に無理矢理働かされそうになった時…必死に助けてくれた。
そして、カイトは必死に言おうとしてくれてた…気持ちを。
すべての謎が一つになった瞬間…私は迷宮にさ迷った。
私の目の前で泣きじゃくる夏木、大きな背中を向けて逃げるカイト…。
二人を見てる限り、私が今すべき事は明らかに見えてくる…。
「 …… 」
私はその場からはなれ、カイトにメールをした。
『 話したいことがあるの。何も聞かず駅前のファミレス来て。 』
それだけの素っ気無い文章を送った。
返信はどうであれ、カイトが来るのは目に見えていた。
「 …… 」
私はカイトを殴ってしまった掌を見つめた。
この掌を見つめる度に思い出すのだ。
カイトが体を張って助けてくれたあの日を──
そのたび、少しだけドキドキしていた時期もあったんだ。
でも──、そんなんじゃない気もする。
──カランカラーン♪
「 いらっしゃいませ。何名様ですか? 」
「 2名でお願いします。 」
「 かしこまりました。 」
私は案内された席のほうへと、座った。
テーブルには水と、お絞りが丁寧に置かれた…。
「 …ふぅ。 」
私はまず、一旦落ち着くために口に水を注いだ。
「 ご注文は… 」
「 ああ、まだいいです。後で呼びます。 」
「 かしこまりました。 」
店員は丁寧に一礼をし、その場を離れた。
そして、私はもう一度口の中に水を注ぐ──。
何を緊張しているんだろ…、口がすぐカラカラになる。
──カランカラーン♪
「 ぁっ。 」
「 ん、あ!!波っ!! 」
カイトが大きく片手を挙げて振っている。
私もそれを返すようにして、手を振った──。
カイトはやけに嬉しそうで、いつも以上にニコニコしている。
…あの夏木の姿を見た後だというのにこんな笑顔なの…?
「 カ、カイト… 」
「 ん? 」
「 …い、いや。何でもない。とりあえず何か頼もうか。 」
私はテーブルに立てられているメニューを手に取り、開いた。
「 おぉ、なんかメニュー増えてるなぁ。 」
関心しているようだ。
「 最近来てなかったの? 」
「 んー、数年ぶりだなっ!! 」
カイトはなぜかどや顔で言っている──。
ここはどや顔するところじゃないってツッコミたいよ…。
「 おっ、これうまそー!! 」
「 ん、決まった? 」
「 おぅ!!すみませーん!! 」
カイトは手を挙げて、大きな声で店員を呼んだ。
「 ご注文はお決まりですか。 」
「 はい!!ハンバーグステーキとー…。えと、波は? 」
「 私、アイスコーヒーでお願いします。 」
「 かしこまりました。 」
「 …波、アイスコーヒーだけでいいのかぁ? 」
「 いいよ。今お腹すいてないから。 」
そう言って、私はポケットからiPhoneを取り出した。
ずっといじっていると、カイトが不思議そうな顔をしている。
「 …何? 」
尋ねると、カイトは苦笑いで答えた。
「 お前ってさぁ、本当に嘘が下手くそなんだなぁー。 」
「 えっ…? 」
正直、カイトの言ってる言葉の意味が私には理解できなかった。
「 嘘が下手くそ。 」…どうして今そんな事を言われなきゃいけないの?
「 何でそんな事言うの? 」
尋ねると、カイトはテーブルに肘を着きながら言った。
「 お前、今日昼飯食ってないだろ。のくせにお腹減ってないとかありえねぇ。 」
言い終わったカイトは、少しふてくされていた。
カイトは…気づいていたのかもしれない…私がいまから話すことを…。
「 …そっか。 」
私はそう呟いて、うつむく事しかできなかった…。
「 お待たせしました。 」
店員は、ハンバーグステーキと、アイスコーヒーを差し出した。
そして、丁寧に一礼して去って行った──。
「 おぉ!!うまそうっ!! 」
カイトはさっきとは雰囲気を変えて、笑顔でステーキを食べた。
すごく…おいしそうだった…。正直言って、お腹が空いていないワケがない。
「 …ゴク、ゴク。 」
私はカッチリ冷え切ったアイスコーヒーを口の中に注いだ。
ステーキを食べたい気持ちを必死に抑えながら、一気飲みした。
すると、カイトがニヤニヤしながら言った。
「 お前、食いたいんじゃね? 」
「 …ゥ 」
図星だった…。食べたい、一口欲しい。
…でも、今はそんな事やってる場合ではないのだ。
「 いらない。 」
そう答えた。
すると、カイトはニヤニヤをやめずに…
「 へー、そー!!じゃあ食べるねぇ~。 」
と言って、食べてるところを見せ付けるかのように食べた。
…もうこんな姿見てられない、というか見たくない!!!
──ガシャンッ!!!!
「 っ!?いきなりなんだよぉ!? 」
カイトは驚いて、フォークを落とした。
カイトが驚いた理由は私がアイスコーヒーのグラスをテーブルにたたきつけたから。
「 …あのさ、カイトに話があるの。 」
「 …ん。 」
「 私さぁ、正直言って…カイトの事好きじゃないんだよねぇ。 」
「 は? 」
「 だからさぁ、もう私の事は諦めて!?んで、夏木とくっついて!!じゃ、終了!! 」
「 え、ちょ。 」
私はアイスコーヒーを飲み干して、ファミレスを飛び出した。
私を呼び止める声が何回も聞こえたけど、振り向かなかったし立ち止まらなかった。
「 はぁ…はぁ…はぁ… 」
カイトはきっと今、だいぶショックを受けてるだろうなぁ。
でも、しょうがないことだから…うん…。
※実話ではありません(続く)
めっちゃ、面白いです!