ストロベリーラブ *14話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/23 21:56:57
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第十四章 『 甘い香りのオレンジブロッサムと棘だらけの薔薇 』
「 …すみません、もういけます。 」
「 はい。では… 」
呼吸が整った私は、看護師にそう伝えた。
看護師は一礼をして、病室から出て行った──。
私は重い重い体を起こして、香理奈のそばに駆け寄った。
「 …香理奈。 」
声をかけても、ピクリとも動かない香理奈──。
前みたいに笑顔で「 何? 」という香理奈の姿は…今はないんだ。
「 ……。 」
私はもう、黙って香理奈の横に座るしかできなかった。
私の短い髪の毛だけが静かに風に揺らされる──。
病室には私のシャンプーの香りしかせず、見舞いの花などは置かれていない。
「 …買ってこようかな。 」
ポツリと呟き、私は病室を後にした──。
iPhoneを覗くと、今の時間は午前9時くらいだった…。
それほどあれからパニック状況に陥らされていたんだな。
( 病院の横に綺麗な花屋さんがあったな。…そこ行くか。 )
私は鞄を手に、病院の横にある花屋さんの
【 Fairy flower 】へと足を運んだ。
──カランカラーン♪
「 いらっしゃいませぇ~♡ 」
「 ゲッ…!!! 」
「 あぁ~らぁ~!!斉藤さんじゃないのぉ♡ 」
…どうしてかはわからない。本当に偶然だとは思っている。
でも、これはいくらなんでも最低最悪なシチュエーションではないか…?
「 んふふっ♡ 」
「 …一条。 」
「 あぁ~、呼び捨てしたぁ~!!一条”先生”でしょっ!? 」
うわぁー、出たー、あのふくれっ面。
もうマジでいまそーゆー気分じゃないからやめてほしい。
「 …はいはい、一条玲菜せんせ… …!!! 」
今気づいた…。一条と玲奈ちゃんって同じ名前だったのか…。
うわぁ。いまそれ気づかすとかどんだけタイミング悪いんだよ、コイツ。
「 斉藤さーん? 」
「 …すみません、お店の人いますか。 」
「 いますよぉ!!!こ・こ・にっ♡ 」
一条は自分を指で指す。
…私は何か悪夢でも見ているのだろうか?
「 すみません、こっちは真剣なんです。 」
「 ええ?本当よ?ここ私の実家だもぉ~ん♡今日は休みだから手伝ってるの!! 」
「 え、嘘でしょ…。 」
一条はニコニコしながらこちらを見ている。
私はただただ顔を引きつらせるばかり。
「 …じゃ、じゃあ、あの…。 」
「 はいぃ!! 」
「 オレンジをイメージさせる花ってありますか? 」
「 オレンジって…果物のぉ? 」
「 はい。 」
「 んー… 」
一条は眉間にシワを寄せ、腕を組んで考えた。
そして、やっとひらめいた様子。
「 そうだわ!!来て来てっ♪ 」
「 …? 」
一条に連れてこられたのはお店の倉庫。
ダンボールの山済みになっていて、まだ未開封の物ばかりだった。
そして、一条が手につけたダンボールからは微かにオレンジの香りがした。
「 実はね、広島のおばちゃんから送られてきたんだけど… 」
一条はダンボールの中から真っ白な花を出した。
微かにオレンジの香りがし、その色はまさに透き通るような白さ…
「 お店に出してみたら?って言われたの。よかったらコレ… 」
「 買います!!! 」
「 …そんなにこれが欲しいのぉ? 」
「 はい!!! 」
そう答えると、一条は微笑んで私に白い花を差し出した。
「 え…? 」
「 これね、オレンジブロッサムっていう花なのよ!!ちなみに、花言葉はね… 」
一条は私の耳元まで口を近づけて言った──
「 花嫁の喜び。 」
「 え゛… 」
「 んふふふっ♡彼氏にあげるのぉ?んふふふふ♡ 」
「 …何円ですか? 」
「 いいわよ、あげる。値段決めてないしっ。 」
「 そうですか、ありがとうございました。 」
──カランカラーン♪
店を出て私は思った。
( うざさは変わらないけど、少しありがたいと思えた。 )
そう思いながら、私はオレンジブロッサムの花束を抱えながら
もう一度、香理奈の病室へと尋ねた。
──コンコン。
「 はぁい、どうぞ。 」
「 っ!!!! 」
今の甘ったるい声…、まさか…。
え、嘘、もう…?もうあの子に情報が…?
───ガラッ。
「 どうしたの…?入らないの? 」
「 っ…!!! 」
長谷川…玲奈ちゃん…。
「 ? 」
「 は、入るよ。 」
私は玲奈ちゃんを押すかのように、入った。
花瓶の中を見ると、もうすでに花が添えられていた。
…それはまるで、香理奈を刺激するかのように添えられた花だった。
「 …薔薇 」
「 ああ、綺麗でしょ?隣の花屋で買ってきたんだぁ♡ 」
「 …香理奈ってさ、薔薇嫌いじゃなかったっけ? 」
「 えぇー!?嘘ぉ!? 」
わざとらしく、両手で口を覆う。
まさかこの子、ワザと…薔薇を添えたのか…?
待てよ、あの時…香理奈が告白をOKしようとした瞬間入って来たってことは──
玲奈ちゃんは告白を聞いていたっていう事になるのか───?
「 どうしたのぉ? 」
「 …… 」
双子の妹とはいえこの子…恐ろしいな。
玲奈ちゃん可愛い顔してやる事昔からエグかったもんなぁ。
「 きゃあ~♡その花可愛いねぇ♡ 」
「 え?あぁ、オレンジブロッサムって言うんだけど… 」
「 へぇー、珍しい花だねぇ!! 」
「 うん、なんか香理奈のイメージってオレンジだからさ…。これがいいかなって 」
「 えー?そう?香理奈のイメージがオレンジとかありえなぁーい。 」
「 え? 」
その時の玲奈ちゃんの目は…あきらかに怒りが表されていた。
そして、その矛先はずっと香理奈のほうを向いていた。
※実話ではありません(続く)
これを見た男性の方、
女性は怒らせちゃこわーい生き物ですよ?w
ごめんなさい、
とても気に入ってて…(;゜∀゜)
続き気になります