◆ 海に宿る月 えぴろーぐにゃ
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/21 13:40:35
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1016286&aid=51213943 からの続きにゃ
◆◆◆◆◆
台風の通り過ぎた縁側が、陽の光を浴びて乾いてゆく。
「佐和子、佐和子?」
「……ん?」
「あんたなんていう所で寝とるの。もしかして一晩中ここにおったの?」
「え? そんなわけないじゃない。ちゃんと布団で寝たわよぉ」
「やったらええけど……早く起きすぎて掃除でもしよったの?」
「うーん……」
はっきりとしない寝起きの娘を心配して
「朝食は私が作るから、早ぉ顔でも洗っておいで」と母親が急かす。
鈍く重たい体を引きずるように動かすと、縁側に赤いしるしがついた。
慌ててトイレに駆け込む。
「おかーさん、私生理始まったみたい」
「えぇ?」
「どうしよう」
「とりあえず私の……」
暑さはトンボが姿を消す季節と共に一段落し、山が蜜柑で染まる。
二学期が始まり、佐和子も制服のスカートを翻し、自転車を漕ぐ。
「ヨシ婆ちゃーん」
いつもの筏でいつも通り、ヨシ婆は網を縫っている。
「スーパーで特売の饅頭買ぉてきたよ、一緒に食べんね」
桟橋に足を踏み入れる佐和子を、ヨシ婆は驚いて迎えた。
「佐和ちゃん、ようこっちに来れたなぁ」
「何?」
佐和子にはヨシ婆の驚く意味が解らない。
「海、いけんかったやないか。こんな桟橋もよう渡れんくらい」
「そうやったかなぁ」
佐和子の記憶から、怖かった海はもう無い。揺れる筏にちょこんと座り、饅頭を「はい」と手渡す。それを受け取りながらヨシ婆はふっと呟いた。
「海神様んでも合ぅたかねぇ」
小さな呟きだったが、波音に消されることなく、それは佐和子の耳に届いた。
―― 海神様か知らんけど ――
今は何故だか、ひたすらに海が恋しい。
「何か大事なもんは、あったような気かするわ」
ふっと沖を見つめて佐和子も呟いた。
夏を過ぎて妙に大人びた顔を見せる佐和子に、「まぁそんな事もあるわなぁ」と、ヨシ婆は網を縫う手を休めて饅頭を頬張った。
その働く手を見つめながら、佐和子は涼しい潮風を頬に受けながら、黙って笑んだ。
いつかまた、会えるだろうか……
手と手を繋いで歩いた、あの日に……
◆◆◆◆ 了 ◆◆◆◆
お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。ぺこり
最後まで読んでくださってありがとう~(´▽`)
年寄と子供は、どうやらあたしの書く物のメインテーマのようです(^_^;)
海と宇宙は、知識が少々足りなくても、ファンタジーという位置づけすることで
かなり大胆に展開できるので好きです(マテ)
最後まで読んでくださってありがとう~(´▽`)
ごめんね!><
何でか時々コメントに気付かないでスルーしちゃってます!><
気付けて良かった~
また気持ちの良いお話が出来たら掲載しますね^^
ありがとう
最後まで読んでくださってありがとうございました~(´▽`)
思い出は遠ざかっても、大切な気持ちをはぐくんだ記憶は
大切に残されるといいなぁ^^
海辺の辺鄙な情景がいいなぁ~って思っていたら、思わぬ展開でちょっと驚きました(@w@
深海はまだまだ謎だらけだし、なにかが潜んでいてもおかしくないよね。
ヨシ婆がいい味だしてるなぁと思っていたけど、締めも彼女でしたか^^
面白かったです^^
季節は巡り、思い出は遠去かる・・・
読んでくれてありがとう~(´▽`)
元が同じ種族だから遺伝子的には問題ないだろうから
あとは進化途中での変化への対応かぁ~
卵子がオスの体内にいる間に適応する! というのではどうだろう(^_^;)
女も男も、役割分担があいまいな時代になったような気がします~
育児しないんならしっかり稼いでこいやぁとか言えたららなぁww
子育てしてくれると助かるにゃ~~
けどさ・・・
もともとが 同じ種族なら子供はできるのか?←
ちょっと疑問・・・
北みたく拉致する???
もしかしたら、私達が知らないだけで海の底には実際に居るのかもしれません^^
海は宇宙と同じくらいに謎です~
いつかまた会えるなら…と匂わしながら終わらせるの、
どーしようと悩んだのですが、やっぱりこれで良かったのかな^^
最後まで読んでくださってありがとうございました♡
見事な落としどころでした。
彼女のなかにも、僕のなかにも、海が特別の想いを込めて漂っているんですね~
もう海が怖くないなら、いつかまた会えると信じたい^^
ドロドロのメロドラマ的展開に!
でも小さい子供がお母さん恋しさにやってくる頃には、
お父さんの方は既に海の藻屑だろうから問題ないかしらww
最後まで読んでくださってありがとうございました^^
タツノオトシゴにたまごを提供するとは!
将来、恋人とあるいていると、小さい子供が来て、「ママ~」とか言いそうで……w
最後まで読んでくれてありがとうございます♡
何て言うか…あたしの書くものって、婆ちゃん率が高いですねぇw
今別口で書いてるのも主役は婆ちゃんと小学生の子供ですよ^^;
あぁ…サークルのお題も練れてるのに、書いてる時間が無い~><
・少年のような超自然の生命体を軸に何作も展開していけば、
手塚の火の鳥三部作などとは一味ちがった、
海を舞台にした壮大なオペラ物まで作れそうですね。
・常に現在の時空に引き戻す役割の、ヨシ婆の設定がいい♪
・いつものことですけど、死と性愛のはざまの描写がお上手♪
・タツノオトシゴ持ち出すことで、懐胎がベタなエロスにならず、
水棲動物の胎児が、海中で生きていく世界が垣間見えそう。
・
最後まで読んでくれて、ありがとー><
や、七夕と聞いて、昔こういう話書いたなーと思って探してみたら
かなーり稚拙なものが出てきたので、ちょっと書き直してUPしただけなので
負担は殆どなかったので大丈夫です(´▽`)
十五夜は…どうなるか解んない(^_^;)
模擬、どうしよう~
介護福祉士の時は会社が負担してくれたけど、
ケアマネは経費の対象外だからなぁ(^_^;)
個人で行ける、交通費とかかからない所の講習だけ、やってます~
ウサギさんじゃなくてごめんなさいなのです~
海は生命の源なので、今でも新しい種族を生み出しているような気がします^^
いずれ私達を脅かす何かも、産まれてきそう…
最後まで読んでくださってありがとうございました(´▽`)
うむ、20年後には海の種族も繁栄に成功して増えているだろうから、
陸の種族と交わろうとして進行したら戦争になっちゃって、
佐和子の息子が、父さんと母さんが出会わなければこんな戦にはならなかったのに!
と後悔して深海を彷徨ってたら時空の歪みを発見して、過去に戻る事が出来て
父母が出会う前に行っちゃって、
二人が出会ったら戦争が起こる…と、母を殺そうとするんだよ!
的な展開を誰か書いてくれないかなぁ…
戦争関連は武器とか色々、知識が無いので書けません~(ノДT)
最後まで読んでくださってありがとうございました(´▽`)
最後まで読んでくださってありがとうございました~(´▽`)
ニコで三回以上かかる連載をするのは、やっぱり勇気が要りますねぇ^^;
皆さん毎回コメントくださって、逆に申し訳ない…
それにふさわしい読み応えのあるものが書けていたなら、と思います^^
まぁ…ビジュアル的には、くらげのお化け…?ww
思いつきでふった七夕のお話・・・書いて貰って本当にありがとうです\(^o^)/
毎回ワクワクで、楽しみで、またまた、作品書いて下さいね。
秋になったら、十五夜のお話書いてほしいなぁ~~~
って、やはり月が関わってくるのかしら・・・
試験が終ってからでいいからね(*^_^*)
9月1日は模擬受けるのかしら・・・??(^_^;)
なんつーか・・・深いです・・・
てっきりうさぎさんかと思ってたら・・・
海は神秘的な存在だから、きっとどんなものがいたって
不思議じゃないんだろうなあ~・・・としみじみ。
20年後に海の一族が地上に進行するとき、地上人側についた佐和子の息子の物語はいつからはじまるの?
すんごくいいお話やったよ~^^
うんうん^^ 少年の正体は海神さまやったんやね・・・^^
やから幼い佐和子を助けて、その後も見守って来てくれてたんやね。
てっきりくらげのお化けかと思ったよ・・・^^; ごめん^^;
同時進行で別口に書いてる作のお婆ちゃんが「佐代子」(>▽<)ノアハハハハ