ストロベリーラブ *9話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/20 21:36:26
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第九章 『振り絞る勇気。』
一時間目がようやく終了し、私は急いで保健室に向かった。
香理奈の隣には、手を強く握り締めている宮木君の姿───。
「 宮木君…、どう?香理奈。 」
「 いや、まだ目覚まさない。 」
「 …そうかぁ。 」
私はそう呟き、隣の丸椅子に腰をおろした。
安らかに眠っているように見える香理奈の姿…。
なんだか、もう別世界にいる人に見えてしまった仕方がなかった。
「 …香理奈、絶対目覚ましてよね。 」
思わずこぼれてしまった言葉。
私の気持ちを察したかのように、宮木君も呟く。
「 …そうだなぁ。 」
そして、私達の気持ちに気づいたかのように香理奈の睫が動いた。
「 あっ…、香理奈…。 」
香理奈はゆっくりと目を開けた。
「 …あれ、苺華? 」
香理奈は頭を抱えながら、必死に体を起こした。
そして、宮木君の姿に気づいたみたいだ。
「 うわっ…! 」
驚き、そして恥もあった香理奈はまた布団にもぐった。
宮木君はそんな姿を見て笑い、そして言った。
「 長谷川、本当に良かったよ。目覚ましてくれて。 」
「 へっ…?/// 」
香理奈も布団から顔を出し、そして赤面する。
…二人はいい雰囲気に包まれた。どうやら私はお邪魔みたい。
「 じゃ、私はこれで~♪ 」
「 え、苺華… 」
「 じゃっ♡ 」
私はベッドのカーテンを閉めて、保健室から出た。
…なんだか少し心細い気もする。…でも、香理奈の幸せそうな顔を見ると──
そんな気持ちも吹っ飛ぶのだ。
「 よしっ、じゃあ私は教室にっ…… 」
「 斉藤っ……! 」
「 …えっ? 」
低くて、ものすごく安心するこの声…。
振り返ると、そこには大好きな彼が立っていた──。
激しく、息を切らしながら──
「 ど、どうしたの? 」
尋ねると、彼は顔を真っ赤にして言った。
「 そ、その…。大丈夫? 」
「 え…?何が? 」
「 …第二理科室入ったんだろ?毒ガス事件があった… 」
「 あ…、うん、大丈夫… 」
まさか、わざわざ心配してここまで走ってきてくれたの…?
「 …そっか、ならいいんだ。 」
彼はそれだけ言って、背を向けて帰っていった。
…大きくて、大好きな背中。
今すぐ抱きついてしまいたい…、大好きな…背中。
「 …日、村っ… 」
今なら言えるかもしれない…
その優しく振り向き、見せる笑顔に向けて…
「 何? 」
言えるかもしれない…
「 …あのね…あの…私ねっ…日村のことっ… 」
言え…、言え…、言えっ…!!!
「 好き。 」
「 えっ……? 」
※実話ではありません。(続く)
どうなるんでしょう!