Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ #8

斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第八章 『太陽に照らされないオレンジ。』

「 香理奈に伝えなくちゃっ…! 」

私はあれから大急ぎで香理奈のいる教室へ向かった。
静かな廊下で響く私の大きな足音……。

そして、やっと教室に着いた。

「 香理奈ぁっ…! 」

勢いよく教室を覗くと、クラスメイト達の視線が全てこっちに向く。
そして、その中で一人…挙手をして呟くように言った。

「 あのぉ…、”香理奈”って長谷川さんの事だよね…? 」

「 え…、う、うん。そうだけど…。 」

そう答えると、その子は胸に手を当てて、うつむきながら言った。

「 …長谷川さん、ついさっき教室を飛び出しちゃったんだ…。 」

「 えっ…!? 」

「 し、しかも…ものすごく辛そうだったよ…。 」

「 …香理奈っ。 」

私も大急ぎで、教室を飛び出し、香理奈を探しに行った──。
階段を上がり、左右を見渡し、窓から外を見る…。
だが、一向に香理奈の気配がないのだ。

「 …人気のない…4階…? 」

唯一探してない場所がそこだった…。
”まさか”と思いながら、私は4階へと足を運ばせた。

人気のない廊下で、ただただ私のローファーの音だけが響く。
左右を見渡し、私はもう使われていない『 第二理科室 』の中を見た。

すると、そこにはぐったりとした香理奈の姿があった──。

「 香理奈ぁ!!!!!!! 」

私はドアを開けて、倒れている香理奈を起こした。
意識はあったが、すごく顔色が悪い。

「 どうしよう…、とりあえず保健室にっ… 」

私は香理奈を抱えて、教室から出ようとした瞬間──…

────フワッ....

「 …えっ 」

第二理科室の前に現れたのは、宮木功君だった。

「 …宮木君。 」

「 さっき教室来た時様子おかしかったから、追いかけたらやっぱこーゆーことか。 」

「 え? 」

そう言って、宮木君は香理奈をお姫様抱っこした。

「 あ、あの、宮木君…。 」

「 ん? 」

「 …香理奈を傷つけないでね。 」

「 …傷つけないよ。だって俺、長谷川の事好きだし。 」

「 ならいいんだけど。 」

よかった…、宮木君の本音を聞けてホッとした。
あとは、香理奈が目を覚ますのを待つだけだ───。

そして、1階にある保健室に到着。

「 あら!長谷川さんどうしちゃったの!? 」

「 すみません、第二理科室で倒れてて… 」

「 まーまーまー!それは大変ね!いますぐベッドに移しましょ! 」

保健室の先生の手を借りて、ベッドまで移した。
香理奈は毛布に包まれ、おでこには温かい布を置いた。

「 …これで一安心よ。 」

保健室の先生が笑顔でそう言った。
私もその言葉と同時にホッとした───。

「 ありがとうございます、本当。 」

「 いいえ、でも…一足遅かったら危なかったかもねえ。 」

「 え、本当ですか…? 」

「 ええ、なんか理科室で変な空気吸っちゃったみたいねえ。 」

「 変な…空気…? 」

そう尋ねると、保健室の先生はイスに腰をかけ、眉間にシワを寄せた。
そして…内緒話をするかのように声を小さくしながら言った。

「 昔ね、事件があったの。…毒ガス事件。 」

「 えっ!? 」

「 もう数年前だから…片付いてはいたんだけどね。
でも…発生源の第二理科室だけはどうしても最後までは片付かなかったみたいで…
ずっと封鎖していたのよ。入れないように。でも…今回、長谷川さんが入ってしまった。 」

「 まっ、待ってください!私も入った… 」

「 少量ならいいのよ。…でも長谷川さんはたぶん長時間いたんでしょうね。 」

「 …そんなぁ、香理奈。 」

私は胸に手を当て、香理奈を見つめた。
すると、保健室の先生は私の頭を撫でて言ってくれた。

「 大丈夫よ、もう安心だから。 」

そして、笑った。

「 …はい! 」

その言葉を聞いて私も笑った。

「 …よしっ、じゃあもう帰りなさい?授業始まるわよ? 」

「 はぁーい!宮木君、帰ろう~ 」

「 …俺はもう少しいるよ。 」

「 え? 」

宮木君は大事そうに香理奈の手を握って言った。

「 俺は…目が覚めるまでこの子の隣にいたい。 」

「 …っ 」

その時の目は確かに、本物だった。
保健室の先生は私を見て、言った──。

「 あなたもいる? 」

…だが、私は横に首を振った。

「 私はいいです。 」

きっと、私と宮木君がいるより、目を覚ました時には宮木君がいたほうが…
香理奈も嬉しいはず。目を覚まして、手を握ってくれる宮木君だけがいたほうが…ね。

「 …さてと、急がなきゃ。 」

私は小走りで教室に向かった。
後ろ髪が引っ張られる気持ちだったが、1度も振り向かず…向かった。

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/07/20 17:33
こちらにすいません。


コメント感謝です。

私は、好きな人の友達に聞いてもらいました。
「○○(私)に教えてもいい?」
ってメールで聞いたら「いいよ」と言ってくれたそうなので。
アバター
2013/07/19 20:12
続き楽しみです!!



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