ストロベリーラブ #4
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/13 20:40:37
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第四章 『ミルクに包まれたストロベリー。』
「 あ、香理奈ー! 」
「 あっ、苺華ぁ~!おはよぉ~! 」
通学の朝…、私達は待ち合わせ場所で会った。
いつもの風景、いつもの音…なんだか全てが違って見えた。
「 ──でさぁ~、昨日さぁ~.... 」
いつもおしゃべりで、楽しい香理奈の風景までもが変わって見える。
「 …?苺華?どうしたの? 」
「 い、いや…。 」
…なんだか、全てがキラキラして見える。
しまいには、蝉の鳴く声さえもが美しい音色に聞こえる。
私はどうかしてしまったのだろうか…?
―学校到着―
「 ふぅ、着いた着いたぁ~。…?苺華ぁ~? 」
私はある一点の所を見つめ、香理奈の声さえ上の空だった。
「 ………。 」
私の視線を奪う彼───。
いったい彼は何者なのだろうか…?
「 …ふぅん、やっぱそーゆー事なんじゃん。 」
「 っ!//// 」
私の視線をたどり、香理奈の見つめた先は私と同じ場所。
香理奈はニヤニヤしながら私に合図を送った。
「 メ・ア・ド・き・け・ば? 」
小声で、オマケに耳元でそれを言われ、私は赤面した。
男子にメアドなんて聞いたことないし、たぶん聞く事などないだろうと思っていた。
…なのに、何故だ?私はiPhoneを手にしている。
「 お、やるきだねー!いってらっしゃ… 」
「 あれ?香理奈ちゃんじゃんっ! 」
「 あ、宮木くぅ~ん♡ 」
驚いた事に、向こうからこちらに話しかけてくれたのだ。
「 お、苺華ちゃんもいるね! 」
「 ど、どうも…。 」
もちろん、宮木功の隣には気になる謎の彼、日村一樹もいた。
日村は黙り込み、表情も変えず、ただただiPhoneをいじっている。
( 機嫌でも悪いのかなぁ。 )
つい、私は日村を見つめてしまった。…たぶん、穴が開くくらいとはこのことだろう。
それに気づき、察した香理奈は宮木君の腕を強引に掴み、引っ張っていった。
「 さー!向こうで話しましょ!宮木君っ♪ 」
「 あーーーれーーー 」
宮木君は言われるがままに連れて行かれてしまった…。
「 あ、あはは…、すごいなぁ。 」
「 ………。 」
「 …ね、ねえ。宮木君とは仲がいいの? 」
「 …うん、まあ。 」
「 …そ、そっかぁ…。あ、あはは… 」
「 ………。 」
「 ………。 」
気まずい空気になってしまった。
見てて思ってたけど、ものすごいクールなんだなぁ。
…なんか、話しにくいっていうか、とっつきにくい子なんだなぁ。
「 …じゃ。 」
「 あ。 」
彼はスマホをいじったまま、階段を上がっていってしまった。
…せっかくの知り合うチャンスだったというのに、何も話せなかった。
というか、私の好きなタイプではないのかもしれない。…というか合わないのかも?
キーンコーンカーンコーン♪
「 あ、やばっ! 」
チャイムと同時に私は教室に足を運ばせた。
―教室―
「 ふぅ~。疲れたー。 」
だいぶ走って、もう足がクタクタだった。
「 ね、ね、苺華。 」
「 …? 」
背中を指先で叩き、私を呼んだ香理奈。
香理奈はいまだにニヤニヤしながら、私を見ている。
「 …な、何? 」
「 ”何”じゃないでしょ?どうだったのよ? 」
「 …ど、どうって…言われても…なぁ… 」
「 …まさか、何もなかったの? 」
その問いかけに、私はただただ黙って頷くしかできなかった。
私の返答を見た香理奈は深いため息をつき、椅子に座った。
「 しっかりしてよ、せっかくのチャンスをぉ~… 」
「 ま、まあ。好きじゃないし── 」
「 それは恋だっつってんでしょーがぁぁぁぁあ! 」
次の瞬間、香理奈の怒りの鉄拳が飛んだ。
「 …ィタ! 」
「 まあ、もう少し時間かけてもいいけどね! 」
「 …ぅ、うん。 」
殴られた頭を押さえながら、私も席についた。
―放課後―
ザァァァァァァァァァァァアッ…
「 うわ、キツイ雨だなぁ。 」
「 あーあ、苺華、傘忘れたのぉ? 」
「 …まあ。 」
「 ドーンマイッ☆じゃあ、部活だからぁー 」
「 はぁーい。 」
あーあ、さっきの香理奈の”ドーンマイッ”には触れないでおこうかな。
それより、ヒドイ雨だなぁ…。にわか雨だったら雨宿りして、帰るんだけどなぁ。
「 ……… 」
「 …おわっ! 」
気配が感じるなと思って振り向けば、いたのは日村。
「 …ひ、日村も傘忘れたの? 」
「 …”も”? 」
「 へ?ああ、私、傘忘れちゃったからさー。 」
「 ふーん?じゃあね 」
「 あ、ちょ 」
日村は涼しい顔をして、大雨の中傘もささず走って帰った。
「 …な、なんなの、あの態度。 」
少し傷つきながらも、私は鞄を背負いなおした。
…すると
────ガシャン
「 え? 」
地面に何かが落ちる音がした…。
地面に目をやると、そこにあったのは──
「 こ、これ… 」
真っ黒に染まった傘だった。
取っ手の名札には、きちんと名前が書かれていた。
「 ”日村”… 」
あんな態度とってたくせに、なんなんだよ。
こんなんされたら…
「 期待…しちゃうじゃん…/// 」
大雨の中、真っ黒な傘で真っ赤になった頬を隠し、一人で帰った。
私の耳には何も入らない。…入ったのは、彼の声だけだった。
※実話ではありません(続く)
ドキドキ❤
こういう展開うはうはです!