Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ #4

斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
─────────────────────────────────────
第四章 『ミルクに包まれたストロベリー。』

「 あ、香理奈ー! 」

「 あっ、苺華ぁ~!おはよぉ~! 」

通学の朝…、私達は待ち合わせ場所で会った。
いつもの風景、いつもの音…なんだか全てが違って見えた。

「 ──でさぁ~、昨日さぁ~.... 」

いつもおしゃべりで、楽しい香理奈の風景までもが変わって見える。

「 …?苺華?どうしたの? 」

「 い、いや…。 」

…なんだか、全てがキラキラして見える。
しまいには、蝉の鳴く声さえもが美しい音色に聞こえる。
私はどうかしてしまったのだろうか…?

―学校到着―
「 ふぅ、着いた着いたぁ~。…?苺華ぁ~? 」

私はある一点の所を見つめ、香理奈の声さえ上の空だった。

「 ………。 」

私の視線を奪う彼───。
いったい彼は何者なのだろうか…?

「 …ふぅん、やっぱそーゆー事なんじゃん。 」

「 っ!//// 」

私の視線をたどり、香理奈の見つめた先は私と同じ場所。
香理奈はニヤニヤしながら私に合図を送った。

「 メ・ア・ド・き・け・ば? 」

小声で、オマケに耳元でそれを言われ、私は赤面した。
男子にメアドなんて聞いたことないし、たぶん聞く事などないだろうと思っていた。
…なのに、何故だ?私はiPhoneを手にしている。

「 お、やるきだねー!いってらっしゃ… 」

「 あれ?香理奈ちゃんじゃんっ! 」

「 あ、宮木くぅ~ん♡ 」

驚いた事に、向こうからこちらに話しかけてくれたのだ。

「 お、苺華ちゃんもいるね! 」

「 ど、どうも…。 」

もちろん、宮木功の隣には気になる謎の彼、日村一樹もいた。
日村は黙り込み、表情も変えず、ただただiPhoneをいじっている。

( 機嫌でも悪いのかなぁ。 )

つい、私は日村を見つめてしまった。…たぶん、穴が開くくらいとはこのことだろう。
それに気づき、察した香理奈は宮木君の腕を強引に掴み、引っ張っていった。

「 さー!向こうで話しましょ!宮木君っ♪ 」

「 あーーーれーーー 」

宮木君は言われるがままに連れて行かれてしまった…。

「 あ、あはは…、すごいなぁ。 」

「 ………。 」

「 …ね、ねえ。宮木君とは仲がいいの? 」

「 …うん、まあ。 」

「 …そ、そっかぁ…。あ、あはは… 」

「 ………。 」

「 ………。 」

気まずい空気になってしまった。
見てて思ってたけど、ものすごいクールなんだなぁ。
…なんか、話しにくいっていうか、とっつきにくい子なんだなぁ。

「 …じゃ。 」

「 あ。 」

彼はスマホをいじったまま、階段を上がっていってしまった。
…せっかくの知り合うチャンスだったというのに、何も話せなかった。
というか、私の好きなタイプではないのかもしれない。…というか合わないのかも?

キーンコーンカーンコーン♪

「 あ、やばっ! 」

チャイムと同時に私は教室に足を運ばせた。

―教室―
「 ふぅ~。疲れたー。 」

だいぶ走って、もう足がクタクタだった。

「 ね、ね、苺華。 」

「 …? 」

背中を指先で叩き、私を呼んだ香理奈。
香理奈はいまだにニヤニヤしながら、私を見ている。

「 …な、何? 」

「 ”何”じゃないでしょ?どうだったのよ? 」

「 …ど、どうって…言われても…なぁ… 」

「 …まさか、何もなかったの? 」

その問いかけに、私はただただ黙って頷くしかできなかった。
私の返答を見た香理奈は深いため息をつき、椅子に座った。

「 しっかりしてよ、せっかくのチャンスをぉ~… 」

「 ま、まあ。好きじゃないし── 」

「 それは恋だっつってんでしょーがぁぁぁぁあ! 」

次の瞬間、香理奈の怒りの鉄拳が飛んだ。

「 …ィタ! 」

「 まあ、もう少し時間かけてもいいけどね! 」

「 …ぅ、うん。 」
殴られた頭を押さえながら、私も席についた。

―放課後―
ザァァァァァァァァァァァアッ…

「 うわ、キツイ雨だなぁ。 」

「 あーあ、苺華、傘忘れたのぉ? 」

「 …まあ。 」 

「 ドーンマイッ☆じゃあ、部活だからぁー 」

「 はぁーい。 」

あーあ、さっきの香理奈の”ドーンマイッ”には触れないでおこうかな。
それより、ヒドイ雨だなぁ…。にわか雨だったら雨宿りして、帰るんだけどなぁ。

「 ……… 」

「 …おわっ! 」

気配が感じるなと思って振り向けば、いたのは日村。

「 …ひ、日村も傘忘れたの? 」

「 …”も”? 」

「 へ?ああ、私、傘忘れちゃったからさー。 」

「 ふーん?じゃあね 」

「 あ、ちょ 」

日村は涼しい顔をして、大雨の中傘もささず走って帰った。

「 …な、なんなの、あの態度。 」

少し傷つきながらも、私は鞄を背負いなおした。
…すると

────ガシャン

「 え? 」

地面に何かが落ちる音がした…。
地面に目をやると、そこにあったのは──

「 こ、これ… 」

真っ黒に染まった傘だった。
取っ手の名札には、きちんと名前が書かれていた。

「 ”日村”… 」

あんな態度とってたくせに、なんなんだよ。
こんなんされたら…

「 期待…しちゃうじゃん…/// 」

大雨の中、真っ黒な傘で真っ赤になった頬を隠し、一人で帰った。
私の耳には何も入らない。…入ったのは、彼の声だけだった。

※実話ではありません(続く)

アバター
2013/08/14 02:58
うはうはw
ドキドキ❤
アバター
2013/07/14 17:13
いいですねー!!

こういう展開うはうはです!



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