Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


些細な恋息 ~読み切り~

君の些細な優しさがものすごく嬉しいんだ。

でも、君の些細な冷たさも、ものすごく悲しいんだ…。
恋って不思議だよね、だって、生活の中心がその人でいっぱいになってしまう…。
───────────────────────────────────
―数ヶ月前―
「あっ…ヤバ、やってない」
私はやらなきゃいけない仕事を忘れてしまっていた。
慌てて教室に戻ると、そこにはもう仕事をやっている彼の姿が。
「あ、ごめん…」
やろうとすると、彼は優しく微笑んで──
「いいよ、いいよ。俺がやるから」
と言ってくれた。
…その日から、私の恋は始まっていた。

―現在―
『あなたが好きです。』
頭の中に浮かんできた言葉。
…こんな言葉、正直に言えたら苦労しない。
「…はぁ」
机に塞ぎ込み、私は顔を塞いだ。
朝起きても、学校に行っても、家に帰っても、頭の中はあの人でいっぱい。
本当に、しつこいくらい…考えている。
「今何してるんだろう?」とか「私の事、どう思ってるのかな?」とか…。
アホくさいけど、今の現状がコレなのだ。
「…はぁ、本当に似合わないなぁ」
私には、恋なんて似合わないし、できないって思ってた──。
…でも、そんな事いってる場合ではないくらい、彼にハマっていた。
──キィ...キィ...キィ...
ゆっくり、ゆっくりイスを揺らす音が静かな部屋に響く。
クローゼットの制服に目をやり、思った……
(明日…、明日こそ、進展があるかもしれない)
こんな期待を毎日膨らませて学校に行っているのだ。
馬鹿な話だが、心底くだらないと思っていた学校が、今では楽園のように感じる。
自分の変わりようが笑える…。

―翌日―
「愛華、おはよぉ~」
「お、佳奈ちゃんおはよ~」
学校で仲のいい友達、柊佳奈が挨拶してきた。
まあ、これは自然で、毎日の事なんだけど…
「……」
「…?どうしたの?愛華?」
「あ!いや!なんでもないぃ!」
チラリと彼を見てしまう。…変なの、彼に挨拶される事、すごい期待してた。
されるワケもないのに…。
「おはよー」
「えっ?」
彼の挨拶の声に驚き、振り向くと…
「おはよーっス」
違う男子に言っていたようだった…。
本当に自分最近おかしい。…恋って怖いんだなぁ。
そろそろ夏祭りあるし、告白したい所なんだけど…
こんな状態で告白なんて出来るわけないっ…よね…。
OKだってもらえるなんて到底思ってないし。
「…愛華、元気ないね?」
「そ、そう?元気百倍だけど!」
「…ふぅん、無理しないよーにね」
────ガラッ。
「はーい、じゃあ一時間目始めるぞ~」
「「はーーーい」」

―放課後―
放課後…、私は少し用事があって、居残りだった。
窓を除くと、そこには部活動をしている彼の姿が……
見てつくづく思った。
(私に彼は勿体無いよね…。)
…と。わかっていた事だし、自分に言い聞かせていたはずなのに…
なんで…?どうして…?こんな自分が恋に一途だとは思わなかった。
「っ…」
自然と溢れそうになる涙をこらえながら、私は机に塞ぎこんだ。

―翌日―
「おはよぉ~」
「おはよー…」
「あれ、愛華、元気ないね?」
「…ごめん、今日は確かに元気ないかも。」
うつむき、私は鞄を机に置いた。
「おはよう」
後ろから聞こえた彼の挨拶…。
だが、また誤解に決まっているのだ。
「ちょっと、愛華!挨拶無視するとか最低だよ!?」
「えっ!?わ、私?」
振り向くと、私の顔を見て笑顔を見せている彼…。
その笑顔は私の心を一転させた…。
「…お、はよ」
状況がつかめなくて、私は挨拶もまともに返せなかった。
だが、彼はずっと優しく微笑んでくれていた。
…もう、やめてほしかった。…私になんて、無理なんだから。
…早く、諦めさせて───
「ほいっと」
「へっ?」
彼は通りすがりに、私のポケットに手紙を入れた。
「な、何コレ」
「…手紙」
小さな声で呟いた彼は、そのまま教室から飛び出してしまった。
4枚にたたまれた手紙を、開くとそこにはただ一言書かれていた。

「好きです」

────ドクンッ....
「うっ、嘘っ////」
喜びのあまり、私は腰が抜けた。
後ろには丁度イスがあったからコケはしなかったし、バレなかったが…
もちろん、喜んでいる様子もバレなかったようだ。
…だが、心の中はもうパレード状態だった。
(入れる人間違ったとかじゃないよね?私じゃなかったとかないよね?)
心の中で何度も何度も自問自答を繰り返した。
だが、答えはやはり間違っていなかった。
彼は次の休み時間、私に近づき小さく呟いた。
「…返事、もらってもいい?」
「…は、はいっ」
「……ど、どう?」
「えーと、一言だけいいかな?」
「な、何?」
「ずっと、言いたかったんだけどさ…」
やっと、自分の口から言える…、吐き出せる…。
あの日からずっとずっと君が気になっていた。
君が些細な優しさという名の恋息とかけた瞬間、私は恋に落ちたんだよ。
あの日から言いたかったんだ。
「…私も好き」
「ぇっ!?////」
「//////」
「//////」
そのまま黙り込み、二人はうつむいた。

君の些細な優しさがものすごく嬉しいんだ。
でも、君の些細な冷たさも、ものすごく悲しいんだ…。
恋って不思議だよね、だって、生活の中心がその人でいっぱいになってしまう…。

これは、全て君が初めてくれた想い…。
ありがとう、この想いをくれて。
ありがとう、この幸せを───……。

※実話ではありません。



アバター
2013/07/14 16:58
いいですね~!!!!

面白かったです!!!^^
アバター
2013/07/10 20:24
面白かったです!

青春ですね!!



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