Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


道端に咲いた花に与えた恋水 ~読み切り~

どうせ、私なんて道端に咲いた小さな花だ。
そこら辺の花壇に咲いた綺麗な花とは比べ物にならないくらいの…花。

―道端に咲いた花に与えた恋水― (※読み切り)
「おはよー」
「おはよぉ~」
今日も飛び交う様々な生徒の声色。
特に、男女同士が交わす挨拶のほうが聞こえる。
この学校がおかしいのか、付き合っている生徒がものすごく多い。
「彩香!おはよ!」
「…ああ、南か」
「”ああ”って何よ!」
「ああ、ごめんごめん。」
自己紹介が遅れたが、私の名前は加藤彩香。
ただいま受験生真っ只中です。
「彩香っていっつもそうだよね!」
両頬を脹れさし、腕を組むこの子は小阪南。
この中学校で知り合ってから、ずっと一緒にいる友達。
「って、聞いてる!?彩香!」
「えっ?あ、いやぁ、ごめん。聞いてませんでした。」
「もぉぉぉお!」
小さな右手で私の背中をポカポカと殴る。
「ィタ、ィタタタ…」
南は弱そうに見えて、こういう時の殴りは地味に痛い…
「あれ?お二人さん、またケンカしてんのか?」
「…この声は」
「仲がいいのか悪いのか、どっちかにしろよー」
「うるっさい!ほっといてよ!」
少し茶色がかったハネた髪を靡かせながら、そう言ってきた男は
立花流星、たぶんコイツの特技、人を怒らすこと。
「立花は本当にムカツクよね」
私は呟く。立花はニシシと悪戯な子供の笑顔を見せた。
「まっ、今に始まった事じゃないでしょ~?」
南は負けじとそう呟く。
「はっ、ほっとけよ。小阪のウザさだって今に始まった事じゃねーだろぉ?」
「はぁ!?なんですってぇぇぇえ!?」
「うわあああ、ごめん!!」
「ハハハッ…」
南は立花を追い掛け回し、教室から出て行ってしまった。
私はそれをただただ笑ってみる事しかできなかった。
あの二人、なんだかんだ言って仲がいいんだよなぁ……。
なんか”お似合いカップル”とか言われてるし。
(ま、私には関係ないんだけど…)
「あぁ~あ、いっちゃったなぁ」
「えっ?何を言っちゃったの!?」
「え?」
いつも立花と仲が良くて一緒にいる男、日野一樹。
このクラスで初めて一緒になって、初めて会った男だ。
「いやいや、そっちの”言っちゃった”じゃなくて”行っちゃった”のほうね」
「…ん、ああ!そうか!」
「あははは、面白いなぁ~」
「え、あ、あはははは…/////」
「どうした?顔赤いけど?まさか、熱…とか?」
「い!いや!ごめん!ちょっと行くわ!///」
私は慌てて教室を飛び出した。
女子トイレに逃げ込み、すぐさま顔を確認した。
…すると、案の定過去最高の赤面だった。
「うわぁ~、バレちゃったかなぁ…」
頬にそっと触れて、私はさっきの事を思い出し、笑った。
実はというと、私は日野一樹に片思い中なのだ。
ずっとずっと進展がなくて、毎日悩んでいたのだが…
今日、初めて会話の過去最高記録を出した。
(うわー、恋の女神様が微笑んでくれたぁ)
トイレで塞ぎこみながら、私は一人で笑っていた…。
これは、私が変体だからとかではない。
───ガラッ。
気を取り直し、教室に戻ると、そこには…
「キャハハッ!やだ、日野おもしろすぎる~」
「え?そうか?」
クラスの美女としゃべっている姿が…
「…」
さっきの喜びから一転し、私は過去最高の悲しみを負った。
―放課後―
…そこから何も言えず、話しかけることさえできず…
自分の素直じゃない所と、不器用さがこんなとこで発揮されるとは…
「…はぁ」
そりゃそうだよなぁ…、うん。
私みたいな奴より、あんな美女にしゃべりかけられたほうが…嬉しいよね。
所詮枯れた花に見向きなんてしない。綺麗に並べられた花壇の花に皆…
目が行くものだろう…。チューリップにバラに紫陽花…。
道端に必死に咲いたって…小さな花なんか誰も見ない。
「…あ」
小さなコンクリートの地面に必死に咲いた黄色い小さな花が目に入った。
「君も…必死に咲いているんだね…」
私はさっき自動販売機で買った天然水をゆっくりと浴びせた。
「頑張ろうね…」
その花に語りかけてるつもりが、まるで自分に言い聞かせている気分
になった。感極まってしまい、気づけば乾いた頬には一粒の涙が零れていた
「…あ、加藤」
「…へ?」
後ろから聞こえたいつも私を夢中にさせる声…
「…ひ、日野」
「ち、ちょうど良かった…。今日言いたかったから」
「…え?」
日野は突然勢いよく頭を深く下げ──…
「会った瞬間恋に落ちました、付き合ってください」
「嘘…」
私は嬉しすぎて、涙が溢れ、体が崩れ落ちた。
「…だ、大丈夫!?なんかごめん!」
「い、いや…、うれし…すぎて…」
「え///じ、じゃあ///」
「私も好き…///」
「っ!///」

君が気づかせてくれた事は
道端に咲いた花に目をやり、恋水を与えてくれる人がいる事だ。


※実話ではありません。

アバター
2013/08/17 17:02
このご時世、草食男子が増えちゃって、

困ったなあ・・・。日野君みたいにできないのかなー(。´・ω・)?

若いって、たとえお話でも、いいねえ。

わかいって、いいわぁww←お前小5だろ<`ヘ´>w
アバター
2013/07/08 13:46
道端で必死に咲く花と自分の気持ちが丁度合ってて良いね^^

やっぱドキドキするわぁw

若いって良いねwwww



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