兄と妹2
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/07/05 23:44:08
「うがぁあああああああ」と、オレはコブシを握り、エルシャに向かって動いた。
オレは一歩も動けていなかった。
動いた。と、思っただけで…エルシャに気合負けしていた。
今までと逆だ。
悪鬼羅刹と、オレを恐れ、動けない敵はいくらでもいた。
気合負けなど一度たりとてしたことがなかった。
そんなオレが…妹の放つ不思議な気に気合負けした。
「一歩も動けないんだから…私の勝ちだね。」
「ああ、お前の勝ちだ。オレは…悪鬼羅刹で、殺人者だ。だが…それでも救われたい」
「おかえり、お兄さん」
オレは妹を抱きしめていた。
妹の嗚咽が伝わってくる。
オレも声ならぬ声を上げて泣いていた。
オレは妹のおかげで気づいた。
闇は光だった。と。
自分は光の世界にこれた。と。
完。