金狼の重圧 『エデン編』…7
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/30 11:43:07
メトロポリス郊外、13:03…
その派出所からはメトロポリスとオアシスシティの県境がすぐそこだ。数百メートル先には『ようこそオアシスシティへ』という看板がでかでかと見える。
ユウジはその看板を見ながらウルフに近づいていることを信じていた。
派出所の駐車スペースにEMを停止し、辺りを見回す。メトロポリスの中心街から離れていることもありかなり静かな場所で住宅も少ないところだった。
派出所の中には一人の警官が電話対応をしているのが窓越しに見える。シンだった。
「はい、こちらで確認しておきます。お疲れ様です」
電話が終わり受話器を置く、気配を感じたのかシンは入口に目をやった。
「おっす」
「…なんだ、ユウジか」
「なんだはないだろ、おまわりさん」
「からかうなよ」
ユウジがここに来るのは2回目、前回からは数カ月経っている。携帯やメールをせずに会いに来たユウジに、シンは少し身構えて聞く。
「何かもめごとか?」
「ああそうだ」
ユウジはもうもったいぶる言い方はよそうと思っていた。すぐにウルフのことを言う。
「ウルフが復活したかもしれないんだ」
「………本当か?」
「一昨日、店にケンが来てな…金色のEMを見た男に偶然会ったって言うんだ」
もうそれでかつてのEM乗りなら分かる、ただならぬことが起きたと。警察官としての職務を忘れるが如くかつてのEM乗りの雰囲気に一気に戻ったシンは詰め寄った。
「金色のEM?どこでだ?」
「オアシスシティだ、ここからは近いから何か情報があるんじゃないかと思ってな…その感じだと何も知らないよな…」
無言で端末を確認しはじめるシン。警官の職務から逸脱しそうな勢いにユウジは何か申し訳なく思った。金色のEMを見たと聞いただけだ、ウルフを確認したわけじゃない。それなのに熱くなったシンに少し違和感を覚える。
端末を見ながらユウジの方も見ずにシンは話す。
「メトロポリスもオアシスシティも、まあ全国的にだが…EM乗りでチームを組むことは少なくなってきている。今の現役はほとんど単独行動なんだ。だから、昔みたいに情報を共有することがなくなってきているらしい。単独だと警察もなかなか追うことが難しいんだよ」
あまり情報がないらしい。
「たまにEM乗りを捕まえたりするんだが、もうウルフのことも風化している。知らないのがほとんどだ。不思議だよな、あれだけ伝説になった男なのにな」
当時のEM乗りは、ほとんどの人間がウルフのことをタブー視している。頭の片隅に置いて気にかけることさえしないやつもいた、ユウジもそうだった。だが、今目の前にいるシンはそうではない。彼がすぐに熱くなったのは、密かにウルフのことを気にかけていたからだった。
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- kanno
- 2013/07/02 21:39
- みんなウルフのことが気がかりなんだよぅ。。。
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- クルミ
- 2013/07/01 15:04
- ( ^ω^)ワクワク、((o(´∀`)o))ワクワク
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- パン
- 2013/06/30 12:24
- 思いは巡る
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