最後まで切れない赤い糸~第二部~ #20
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/29 22:13:39
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
・桜木華南…淳平の姉。美人な少し怖い(!?)姉。弟想いの優しい姉でもある。現在23歳。
・美川桃華…突然椿の前に現れた美少女。まだ謎が多い。現在16歳。
第二十章 『通行禁止』
淳平が封筒を破り、沈黙が続いた──。
その沈黙は私を鎖で縛っているかのようにも思えた…
「………」
微妙な雰囲気…
ただただ、淳平のカップを磨く音だけが響き渡る──。
いつも目立たない音なだけあって、よけい寂しさを感じさせた。
…こんなの、耐えられない。
「ちょっと出てくる!」
「えっ、ちょ、椿っ…!?」
───カランカラーン♪
店から飛び出し、私はひたすら足を動かした。
どこに向かっているのかわからないくらい、がむしゃらに走った。
「はぁっ....、はぁっ....」
そんな私がたどり着いた場所は…学校だった…。
あの日、あの時…、私が静かに泣いた場所──…。
あそこだったら、落ち着くような気がした。
────ガラッ。
やっぱり、ここには誰もいない。
…まあ、使われないようになった教室だし、当然かぁ。
「…よっこいしょ」
黒いカーテンの下にもたれかかり、私は座った。
やっぱりこの空間…、ものすごく落ち着く。
「っ........」
昨日寝るのが遅かったからか、眠気が襲ってきた。
…このままだと、寝ちゃう。
「.......ん」
意識が朦朧としたその刹那──.....
───ガラッ....
(ぇっ......?)
ドアの開く音が聞こえた──。
間違いなく、この教室のドアだ。
ヤバイ、誰か入って来たんだ…、どうしよう、大丈夫かな…?
コツコツコツコツコツ....
足音が近づいてきた──。間違いなく、こっちに向かってきてる。
(え、えぇい、こうなったら寝たふりだっ!)
私は顔を伏せて、寝たふりをした…
そして、その足音が私の前でピタリと止まった。
「…はぁ」
深いため息が私の頭にかかる…。
それに、ほんの微かに香る甘い香水の香り──....
この香り…前にどこかで…
「椿ちゃんっ」
「っ…!」
顔をあげた瞬間、そこにたっていたのは…
「も…、桃華ちゃん…」
美川桃華だった…。
甘い香りを漂わせながら、微笑み、こちらを見ている。
「どうしたの?またこんなところで顔伏せて」
「べ、別に何もないよ?」
私は必死に笑った──、バレないように…。
だが、桃華ちゃんは何かを察したかのように微笑み、静かに隣に座った。
そして、まるで優しく息を吹きかけるように──
「…私もさぁ、色々あるんだ」
と、話し始めた──。
そして、こう続けた………
「家庭内事情…ってヤツ?ハハッ、馬鹿馬鹿しいでしょ?」
「…え、えーと」
「コメントに困る?やっぱり…」
寂しそうに呟いた。
その時の桃華ちゃんから、本当の孤独というものが伝わってきた──。
「親に捨てられたのが、5歳の頃…。んで、拾われて外国に引っ越した──。
でも、そこの家のオヤジも最低な人でさぁ…、私を働かせて自分は働かなかった。
「拾ってやったんだから、働け」って言われ続けたんだよ。…だから、逃げてきた。」
「…えっ!?」
桃華ちゃんの口から次々と出てくる言葉…
どれも信じがたくて、逆に信じたくないものばかり。
「…驚いた?そんな風に見えない?」
「…い、いやぁ」
「そんな硬くならなくていいのに…、皆こうなんだよなぁ」
「えっ…」
また、寂しそうに呟いた....。
桃華ちゃんは確かにものすごい美人で、近寄りがたいけど…
ものすごい温かくて、優しい──。
「なんで私のこと捨てたんだろうなぁ、母」
「…う、うぅーん」
「絶対にわからないと。それを調べるために、日本に帰ってきたんだもん。
まあ、逃げるのが目的ってのもあるけどねっ(笑)」
笑って話しているが、絶対に辛いんだ…
「…て、手伝うよ!」
「へっ?」
「なんで捨てたのか…調べるの手伝う!」
「…あ、ありがとう」
「うん!」
桃華ちゃん、大丈夫。
あなたの力になる人はここにいるから.....。
※実話ではありません(続く)

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- ぱち公
- 2013/06/30 23:55
- 続き気になります
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