最後まで切れない赤い糸~第二部~ #19
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/25 17:53:39
主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
・桜木華南…淳平の姉。美人な少し怖い(!?)姉。弟想いの優しい姉でもある。現在23歳。
第十九章 『突然の言葉』
「…えっ」
突然のプロポーズに体が固まった…。
淳平は私をまっすぐ見て、真剣な事を証明した──。
「っ…」
ふいに私はうつむいてしまった──。
淳平の揺ぎ無いまっすぐな瞳に返す表情すらなかったのだ…。
情けない…、私は微笑んで「喜んで」という一言でさえ出せなかった。
決して、淳平を愛していないワケではない。
…でも、今の状況で、プロポーズを受けるなんて非常識すぎる。
「…まあ、今すぐにとは言わないよ、返事」
「えっ…」
まるで、淳平は何かを察したかのように微笑み、そう呟いた。
まただ…、また私は淳平の心にトゲを刺してしまった──。
淳平は今笑ってくれてるけど、それが本心とは限らない…。
何しているんだ、私は…
「じゃあ、そろそろ寝ろよ。疲れてるだろ?」
そう微笑みながら言い、私の頭を撫でた。
その時の淳平の手は…、ものすごく温かかった。
「…うん、お休み」
「はい、お休み~」
タッタッタッタッタ........
2階に上がり、私は静かに就寝した──。
今日は不思議とぐっすり眠れた。
…まあ、疲れてるっていうのもあると思うけど。
-翌朝-
「ん…ふわぁ~…」
ただいまの時刻、8:00。
ああ、本当に今日が休みで良かったなぁ~…。
今日が学校だったら100%倒れてたから──。
「さてとっ…と」
私は着替えを済ませ、1階に降りた。
淳平はもう起きてるだろうか…?今日はたしかカフェが定休日だったけど…
そんな事を考えながら、カウンターを除くと──…
「あれっ?」
淳平がいつも通り、食器を磨いていた。
丁寧に、丁寧に、一つの汚れも見逃さず磨いていた。
「…おはよ、淳平」
「お!おはよ~!ちゃんと寝れたか~?」
「…うん」
いつも通りだ…まるで昨日何もなかったかのように笑う淳平。
まあ…、これも淳平の気遣いなんだろうけどね…。
知ってる、知ってるよ…、でも…なんかさぁ…
「昨日は悪かったな」
「…えっ?」
「いや、いきなりあんなん言って悪かったなぁーって!」
「う、ううん…、気にしてないよ…」
「そうか?ならいいんだけど」
そういい、また微笑んだ。
…そういえば淳平、顔が少しゲッソリしてる…?
まさか…寝てないの…?
いや、違う。…寝れなかった…の…?
「じゅ、じゅんぺ──…」
───カランカランカラーンッ♪
「お疲れ~!起きてるか~い?」
「あー、すみませーん、今日は定休日でーす」
「も~、それが姉に対する態度か?」
「お姉さん…、おはようございます」
「あらっ!椿ちゃんじゃな~い!おはよぉ~♪」
明るい茶色のウェーブ髪をクルンッ、クルンッとなびかせ、
ニコッと微笑んだ。…その笑顔、本当に淳平に似ている。
「…んだよ、姉ちゃん。何しにきたんだよ」
「はぁ~~、別に良くない?理由とか…」
「ざけんな!早く理由言えよ!」
「あー、はいはい。…今日はねぇ、実はこんなもの預かって来ました~♪」
「…ん?」
華南さんは、鞄から茶封筒を取り出し、淳平に差し出した。
「…どれどれ?」
淳平は一通り目を通すと、手紙を折りたたみ、封筒に直した。
そして、それを…
────ビリッ。
「「ああああああっ!」」
…破った。見事に真っ二つに破った。
「ちょ、アンタ正気なの!?大事なパパのっ…」
「るせぇなぁ!こんなものいらねーだろ!?」
「ちょっ、アンタいい加減にっ…」
「…なんで、姉ちゃんはアイツの肩を持つ?」
「えぇ?何でって…」
「…答えないなら帰れ」
「っ!?」
淳平は華南さんをまるでナイフで刺すかのように睨みつけ…
「帰れ」
ドスの利いた声で言った。
「…わかったわよ。」
華南さんはそう呟き、真っ二つの封筒を大事そうに持って帰った。
…あの封筒には何が書いてあったのだろう?何が入っていた…?
「…ね、ねえ、淳平…」
「あー、気にするな。ごめんな?俺の姉ちゃんが~…」
「っ…」
ダメだ…この雰囲気…。
「もうこれ以上入って来ないで」っていう合図だ…。
「ううん、気にしてないから」
私はその合図に従うかのように、そう呟き、その後何も尋ねなかった。
お互い…、何も聞かなかったし、言いもしなかった。
まるで鎖に縛られたかのように…なにも…。
※実話ではありません(続く)