Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


最後まで切れない赤い糸~第二部~ #19

主な登場人物
・新井椿…真二と亜美の娘。顔立ちが真二と似て凛々しく、整っている。現在16歳。
・横山陽菜…横山と亜美香の娘。亜美香に似て美人。現役アイドル。現在16歳。
・宮城湊…猟牙の息子。顔が異常なくらい整っており、大人気。現在16歳。
・立花林檎…莉子の娘。林檎と可愛らしい名前で有名。美人。現在16歳。
・桜木淳平…イケメン&人気キャラで少しチャラい。椿の元カレ。現在16歳。
・桜木華南…淳平の姉。美人な少し怖い(!?)姉。弟想いの優しい姉でもある。現在23歳。

第十九章 『突然の言葉』

「…えっ」

突然のプロポーズに体が固まった…。

淳平は私をまっすぐ見て、真剣な事を証明した──。

「っ…」

ふいに私はうつむいてしまった──。

淳平の揺ぎ無いまっすぐな瞳に返す表情すらなかったのだ…。

情けない…、私は微笑んで「喜んで」という一言でさえ出せなかった。

決して、淳平を愛していないワケではない。

…でも、今の状況で、プロポーズを受けるなんて非常識すぎる。

「…まあ、今すぐにとは言わないよ、返事」

「えっ…」

まるで、淳平は何かを察したかのように微笑み、そう呟いた。

まただ…、また私は淳平の心にトゲを刺してしまった──。

淳平は今笑ってくれてるけど、それが本心とは限らない…。

何しているんだ、私は…

「じゃあ、そろそろ寝ろよ。疲れてるだろ?」

そう微笑みながら言い、私の頭を撫でた。

その時の淳平の手は…、ものすごく温かかった。

「…うん、お休み」

「はい、お休み~」

タッタッタッタッタ........

2階に上がり、私は静かに就寝した──。

今日は不思議とぐっすり眠れた。

…まあ、疲れてるっていうのもあると思うけど。


-翌朝-

「ん…ふわぁ~…」

ただいまの時刻、8:00。

ああ、本当に今日が休みで良かったなぁ~…。

今日が学校だったら100%倒れてたから──。

「さてとっ…と」

私は着替えを済ませ、1階に降りた。

淳平はもう起きてるだろうか…?今日はたしかカフェが定休日だったけど…

そんな事を考えながら、カウンターを除くと──…

「あれっ?」

淳平がいつも通り、食器を磨いていた。

丁寧に、丁寧に、一つの汚れも見逃さず磨いていた。

「…おはよ、淳平」

「お!おはよ~!ちゃんと寝れたか~?」

「…うん」

いつも通りだ…まるで昨日何もなかったかのように笑う淳平。

まあ…、これも淳平の気遣いなんだろうけどね…。

知ってる、知ってるよ…、でも…なんかさぁ…

「昨日は悪かったな」

「…えっ?」

「いや、いきなりあんなん言って悪かったなぁーって!」

「う、ううん…、気にしてないよ…」

「そうか?ならいいんだけど」

そういい、また微笑んだ。

…そういえば淳平、顔が少しゲッソリしてる…?

まさか…寝てないの…?

いや、違う。…寝れなかった…の…?

「じゅ、じゅんぺ──…」

───カランカランカラーンッ♪

「お疲れ~!起きてるか~い?」

「あー、すみませーん、今日は定休日でーす」

「も~、それが姉に対する態度か?」

「お姉さん…、おはようございます」

「あらっ!椿ちゃんじゃな~い!おはよぉ~♪」

明るい茶色のウェーブ髪をクルンッ、クルンッとなびかせ、

ニコッと微笑んだ。…その笑顔、本当に淳平に似ている。

「…んだよ、姉ちゃん。何しにきたんだよ」

「はぁ~~、別に良くない?理由とか…」

「ざけんな!早く理由言えよ!」

「あー、はいはい。…今日はねぇ、実はこんなもの預かって来ました~♪」

「…ん?」

華南さんは、鞄から茶封筒を取り出し、淳平に差し出した。

「…どれどれ?」

淳平は一通り目を通すと、手紙を折りたたみ、封筒に直した。

そして、それを…

────ビリッ。

「「ああああああっ!」」

…破った。見事に真っ二つに破った。

「ちょ、アンタ正気なの!?大事なパパのっ…」

「るせぇなぁ!こんなものいらねーだろ!?」

「ちょっ、アンタいい加減にっ…」

「…なんで、姉ちゃんはアイツの肩を持つ?」

「えぇ?何でって…」

「…答えないなら帰れ」

「っ!?」

淳平は華南さんをまるでナイフで刺すかのように睨みつけ…

「帰れ」

ドスの利いた声で言った。

「…わかったわよ。」

華南さんはそう呟き、真っ二つの封筒を大事そうに持って帰った。

…あの封筒には何が書いてあったのだろう?何が入っていた…?

「…ね、ねえ、淳平…」

「あー、気にするな。ごめんな?俺の姉ちゃんが~…」

「っ…」

ダメだ…この雰囲気…。

「もうこれ以上入って来ないで」っていう合図だ…。

「ううん、気にしてないから」

私はその合図に従うかのように、そう呟き、その後何も尋ねなかった。

お互い…、何も聞かなかったし、言いもしなかった。

まるで鎖に縛られたかのように…なにも…。

※実話ではありません(続く)




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