ジュエリービーンズ ~読み切り小説~
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/23 21:14:32
君と出会って初めて知った味は、
ジュエリービーンズのように甘酸っぱい味でした。
君と出会って初めて知った想いは…
ジュエリービーンズのように甘酸っぱくて、そしてたくさんの想いでした。
様々な色のジュエリービーンズをくれたのはあなただけだよ。
「ジュエリーンビーンズ」 ~読み切り小説~
ジリリリリリリリリ.....
「ん....」
ジリリリリ....リ..、──カチ。
「ふ…わぁあ~…」
朝…、ピンク色のカーテンから差し込む眩しい光と共に起きた。
大きく鳴り響く目覚まし時計を止め、私は大きく伸びをした。
「ふわぁ~…、じゃあ起きようかな」
重い体を持ち上げ、私は1階に降り、洗面所へ向かった。
顔を洗い、うがいをし終わった私はまた2階に上がった──。
「さてと、今日はどんな髪型にしようかなぁ…」
真っ白なドレッサーの前に腰を掛け、前髪を揃えながら呟いた。
私の栗色の茶髪は、頑固なハネッ毛で、なかなか直らない。
「…もぉお、毎朝コレじゃん」
シュッ!!!シュッ!!!シュッ!!!!
水を取り、私は激しく髪に浴びせた。
だが、頑固なハネッ毛はなかなか直ってくれず結局──…
「もういい!いつもと同じ髪型で!」
…という結論に至ってしまう。
そう、いつもの髪型というのはシンプルに放置する事だ。
毛先は見事にハネて、前髪は強引にピン止めで止めている。
毎回、毎回、コレなのだ。
私の憧れは毎朝「今日の髪型はどうしようかなぁ~?♪」と呟き、
可愛いテッペンお団子にするのが夢なのだ。
…が、そんなのも叶うはずがないのだ。
それに、私はショートカットだし、オマケに頑固なハネッ毛…
「さてと、着替えなきゃ」
クローゼットから制服を取り出し、着用した。
白いブラウスに、黄土色のベスト、そして赤チェックのリボンにスカート。
これだけ聞けばすんごく可愛らしい制服で、いい学校と感じるかもしれないのだが…
実は私はこの学校には行きたくなかったのだ…。
この学校は滑り止めとして受けた学校で、まったく興味のない学校だった。
それに、第一印象は最悪な学校だったのだ…
「南~?来ないの~?」
「行くよっ!」
少し荒れた声を上げ、私は下に降りた──。
リビングに、ドッシリと置かれた木製テーブルに置かれた朝食…
トーストに苺ジャムといった王道な朝食だ。
「いただきまーす」
「はい、どーぞー」
母は長細いコップに牛乳を注ぎながら言った。
そして、差し出した──。
「ゴク…ゴク…ゴク…」
大きく音を鳴らし、牛乳を一気飲みし、そして…
「いってきまーす」
茶色い鞄を担ぎ、家を出た。
ブランド物のローファーに、制服、鞄…
別にこんなのが欲しくて高校受験したワケじゃないのに──。
こんなんなるんだったらレベルを下げて受けるべきだったなぁ~…。
「はぁ」
この後悔、あの日から何度したことだろう…
高校受験の合格発表を見たあの日から…何度後悔しただろう──。
C判定だったのにも関わらず、名誉のために私は無理して受けた…。
私の都市の中でトップを誇る高校で、ここに言ったら将来安定だと思っていた。
──だが、それどころではなかった。
今やもう、名誉などと言ってられる高校ではなかった。
まあまあ頭いい高校で、馬鹿にする人は少ない高校だが…
私は消してこんな高校に行きたかったワケではない、これより上を目指していたんだ。
「……」
やめよう、自分の心がズタズタになるだけだ。
今の私に出来る事は、受かった高校に通い続けること。
これだけだ──。
──学校に到着。
真っ白に輝いた私立高校に到着した。
周りの女子生徒は彼氏と腕を組み、新品のローファーを輝かし、歩いている。
恋だなんてしてる余裕あるのか?…そんな事を思ってしまう。
「……」
まあ、所詮人事だし、ほっとけばいいか。
ダダダダダダダダダッ.....!!!
「ム…?」
後ろから聞こえた激しい足音と共に振り向くと──
「うわあああ!危ないぃぃぃい!」
「へっ!?」
ドッカーーーーーンッ!!!!!
「ぃっ....たぁ....」
「ぃてて...わりぃ!大丈夫!?」
「い、いえ…大丈夫で──」
「うわあああああ!」
「ぇ゛…」
男が悲鳴と共に注いだ視線のほうへ向けると──…
「ぅわ…」
コンクリートの地面には様々な色のジュエリービーンズが落ちていた…
だが…、不思議なことに私はそのジュエリービーンズに引き寄せられた。
様々な色に輝かされ、特にピンク色のジュエリービーンズが輝いていた。
「うわぁ~、クソォ…俺のジュエリービーンズがぁ…」
「あっ、ごめんなさい…、私、ボーッとしてて…」
「ん?ああ、いやいや俺が急いでただけだから気にしないで」
そう言い、男は微笑んだ。
「あ、ど…、どうも…」
「ってヤベー!俺行くね!」
「あ…、うん…」
「じゃ!」
シュッ──…
「っ…」
彼が私の横を過ぎ去った瞬間…微かにジュエリービーンズの香りがした…。
(ジュエリービーンズ男…か…)
その日からなぜか私はジュエリービーンズを買うようになってしまった。
──ある日
あの日から買うようになったジュエリービーンズを鞄に仕組ませ、
私は口にリズムに合わせるように放り込んだ。
「んー♪おいしぃ~なぁ♪」
私のお気に入りの味はピンク色のチェリー味。
甘酸っぱくて、大好きな味なのだ。
ダダダダダダダッ!!!!
「ん?」
後ろから聞こえた激しい足音──…
この足音…、前もどこかで…
「うわぁぁぁぁあ!危ないぃぃい!」
「へっ?」
ドッカーーーーーンッ!!!
「ぃったぁ~…って」
「ぃってぇ…って」
「「うわあああああ!」」
私達の悲鳴と共に注がれた視線の先には──
「「ジュエリービーンズがぁ…」」
もちろん、ジュエリービーンズだった。
私達は顔を見合わせ、笑った。
「あ、そういえばこの前君…俺とぶつかった子…」
「あ、うん、そうだよ」
「…そうか、…まさか君と同じ趣味だったとは」
「えっ…」
「ふふっ、ジュエリービーンズ同盟組む?」
「い、いいよ…」
私は彼が差し出した手を握った。
「よろしくね、南ちゃん」
「えっ、なんで私の名前っ…」
「だって俺、あの日から君の事気になってたんだもん」
「えっ…////」
「あ、顔がチェリー色になってるー♪」
「も、もぉぉぉお!////」
君と出会って初めて知った味は、
ジュエリービーンズのように甘酸っぱい味でした。
君と出会って初めて知った想いは…
ジュエリービーンズのように甘酸っぱくて、そしてたくさんの想いでした。
様々な色のジュエリービーンズをくれたのはあなただけだよ。
様々な味をありがとう。
様々な色をありがとう。
これからも色んな味と色を分け合っていこうねっ。
-END-
※実話ではありません
なんかいつの間にやら上達してる!
描写も上手いし・・・
俺も負けてらんないなw
ジェリービーンズ食べたくなる~
早々と、投稿感謝ですノ*
まだ結果まで時間はありますので、変更してもokです^^
では、失礼します*